声に出して読みづらいロシア人

主旨

「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。

第12回 プルジェヴァリスキー

2010.07.09更新

Никола́й Миха́йлович Пржева́льский

この連載、名前の長ったらしさだけで人選を進めると、なぜかポーランド系ロシア人に行き着くことが多い。
このニコライ・ミハイロヴィチ・プルジェヴァリスキーも、ロシア生まれのポーランド系ロシア人。「声に出して読みにくい」というなら、ポーランド人についての連載の方がよかったのかもしれません(あまり知りませんが、ポーランド人)。

さて、ユーラシア大陸中央に広がる中央アジア地域について、19世紀から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ人による探検ブームが起きたことがあります。
有名な敦煌莫高窟、楼蘭、ロプ・ノールの発見などもこの時代のことです。

中央アジアを支配しようという「グレート・ゲーム」の一環でもあったこのブーム。
スウェーデン人のヘディン、イギリス人(ハンガリー出身)のスタインなどが有名ですが、そのロシア代表がプルジェヴァリスキーというわけです。
教科書で、「ヘディンやスタイン、プルジェヴァリスキーなどが西域の探検を行いました」などと載っているのを読んだとき、「明らかに一人、おかしな人がいる!」と思ったものです。

日本で探検家といえば川口浩が浮かびますが、ロシアで探検家といえば彼が浮かぶというくらい有名な人(川口浩と比べるな、という話も)。
数度にわたって中央アジア地域を踏破。その見聞録はロシアだけでなく、西欧でも話題になりました。
さらにこの人、とても立派なおひげの人物で、
実は彼の隠し子がスターリンだった、という都市伝説があるそうです。
似てるのヒゲだけじゃん、とか思わないでもないが。

発音の際は、最初の「プルジェ」(przhe)が一音節なので、ここが難関です。
口の中でもごもごと、ちゃんと言ってるのか言ってないのかわからないくらいに発音する方が、ロシア語っぽく聞こえます。

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松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

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