声に出して読みづらいロシア人

主旨

「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。

第16回 アブラモビッチ

2010.11.04更新

Роман Аркадьевич Абрамович

前回取り上げたベレゾフスキーやホドルコフスキーと違い、「なんか悪そうな名前をした新興財閥(オリガルヒ)」のなかでも、うまく世を渡ってきた人もいます。
その代表がロマン・アルカージエヴィチ・アブラモビッチ。

なんかもう、名前を見ただけで、脂ぎった成金のオヤジを思い浮かべざるを得ません。
そのくせ名前は「ロマン」なんだから、ものすごくどす黒いのに、妙にファンタジーな野望とか持ってそうです。

彼は前回取り上げたベレゾフスキーの部下として頭角を現し、ベレゾフスキーの国外逃亡後はその後釜に。
当然、プーチン政権から狙われる立場であったはずです。

そんなとき彼が行ったのが、イギリスのプロサッカーチーム、チェルシーの買収。
さらにポケットマネーで派手なチーム強化を行い、彼の名は一躍世界中に轟き渡りました。

この買収は、彼の将来の亡命を見越してのこと、という説もありましたが、逆にこうして世界に名を知らしめることで、プーチンが手出ししにくくなることを狙っていたような気もします。
ともあれ、いまだにプーチン政権と良好な関係を保っているあたり、かなりの策士なんでしょう。

アブラモビッチとは、「アブラハムの子」という意味。
なんとなく想像つくように、ユダヤ系ロシア人です。
てか、実はベレゾフスキーもホドルコフスキーもユダヤ系。
「なんかユダヤってすごいな」
と思わざるを得ません。

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松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

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