声に出して読みづらいロシア人

主旨

「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。

第18回 ソルジェニーツィン

2011.01.06更新

Александр Исаевич Солженицын

ロシア人の名前で一番かっこいいのを挙げよ、と言われたら、5秒くらい悩んで、この名前を挙げると思います。
アレクサンドル・ソルジェニーツィン。
ソ連―ロシア時代に活躍した作家です。

1940年代半ば、もっともスターリン崇拝がエスカレートしていた時代に、スターリン批判をしたとして流刑に。
その後「雪解け」時代が始まると、その収容所体験を元に書いた『収容所群島』『イワン・デニーソヴィチの一日』などが国内外で話題になりました。
そしてノーベル文学賞を受賞するも、結局、ソ連を追放されることになった作家です。

ソ連を追放された後も、積極的に政治的な発言を繰り返し、カリスマ的な人気を博しました。
そしてその発言はペレストロイカにも大きな影響を与え、意気揚々とソ連崩壊後のロシアに帰国した彼は、間違いなく新生ロシアで大きな役割を果たすはずでした。

ですが皮肉なことに、ソ連が崩壊して帰国すると、逆に日に日に発言力は低下。
忘れ去られたように2008年、死去しました。

その要因はいろいろあって、ちょっと書ききれないのですが、やはりソ連崩壊後のロシアの変化が、彼の想像をはるかに超えていた、ということになるのでしょうか。

もっとも、あまりに活躍しすぎて、「ソルジェニーツィン大統領」とかになったら、長ったらしくてマスコミ的には大変だったでしょう。
「ソ大統領」とか略されて、嫌いだった「ソ連」と同じようなことになったりしそうです。

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松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

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