声に出して読みづらいロシア人

主旨

「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。

第19回 ブブノワ

2011.03.03更新

Варвара Дмитриевна Бубнова

ロシア人名には「ブハーリン」「ドブロリューボフ」など、「バ行」が多い気がします。

以前、ロシアの詩について「有声音(日本語で言うところの濁音)が多い方が、ロシア人にはかっこよく聞こえる」という話を聞いたことがあります。
詩と日常言語ではちょっと違うのかもしれませんが、ロシア人がガ行やバ行を、少なくとも日本人よりは好んでいることは事実のようです。

で、まぁ、この「ブブノワ」さんなわけです。
ワルワーラ・ドミートリエヴナ・ブブノワ、女性です。
でも、どんな美人でも、
「こんにちは、ブブノワです」
と言われた瞬間、美しさが二割減する気がします。
まぁ、ロシア人はそうは思わないでしょうが。

しかしこのブブノワさん、こともあろうに外国(日本)にやってきてしまったのです。
彼女は帝政ロシア時代に美術を学んだ画家で、その後日本の展覧会で入選したのを機に来日。
そこで白系ロシア人(ソ連から逃げてきたロシア人)と結婚したこともあり、その後30年ほど日本に滞在することになります。
画家として活動するとともに、ロシア語教師も務めるなど、美術界だけでなく、日本のロシア語教育界にも大きな足跡を残した人です。

私も自分のロシア語の先生から話を聞いたことがあります。
私も孫弟子(ひ孫弟子?)ってことになるのでしょうか?

「やーい、ぶぶづけ、ぶぶづけー」
などと名前をいじられまくったからでもないでしょうが、晩年はソ連に戻り、それなりにのんびりした余生を過ごしたようです。
日本に、いろいろな意味のインパクトを与えた人物でした。

お便りはこちら

みんなのミシマガジンはサポーターの皆さんと運営しております。

松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

KYOTO的
マックスコーヒー

バックナンバー