声に出して読みづらいロシア人

第38回 アレクサンドラ・マリーニナ

2012.09.21更新

Александра Маринина

ロシア文学は好きだった私も、ソ連時代のロシアの小説はなんというか「イデオロギー!」という感じで、あまり好きになれなかったものです。
「ビバ労働」
「庶民ラブ」
「ブルジョア爆発しろ」
って感じで。
まぁ、実際に読んでみるとそうでもないのですが、イメージです、イメージ。

だからこそ、1999年に「ロシアで大ベストセラーのミステリー作家」なんて触れ込みで現われたアレクサンドラ・マリーニナの小説『盗まれた夢』の邦訳には衝撃を受けました。
ロシア文学なのにミステリーで、しかも女流作家!
大げさでなく、「ああ、やっぱりソ連の時代って終わったんだなぁ」としみじみ思ったものです。
すでにソ連崩壊後8年も経っておりましたが。

マリーニナは1953年生まれで、デビュー作である本書の発刊はソ連崩壊後の1993年。
ソ連内務省アカデミーで犯罪心理学を学んだそうで、この内務省というのはまぁ、国内の治安などを管轄する省。
ずっとさかのぼると悪名高きソ連秘密警察チェーカー(チェカ)に至ります。
あれ、実はバリバリにソ連引きずってますか?

で、この『盗まれた夢』ですが、ロシアびいきの私が読んでも正直、そんなに面白いとは感じなかったのも事実。
でもやはりこの本の登場はロシア人にとっても大きかっただろうし、私のような人間にとってもひとつの衝撃だったのでした。
そんなこんなも踏まえつつ、彼女の本を読んでみていただけると嬉しいです。

ちなみにこの名前の由来はマリーナで、実は彼女の本名(マリーナ・アレクセーエヴァ)。
これを苗字化して、男性の苗字にしたのがマリーニン。
それをさらに女性の苗字にしたのがマリーニナ。
なんとも七面倒な名前です。

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松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

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