声に出して読みづらいロシア人

主旨

「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。

第39回 ボリス・アクーニン

2012.10.19更新

Борис Акунин

実はロシアは結構なミステリー大国だったりします。
前に紹介したマリーニナの他に、有名なのがボリス・アクーニン。
「ファンドーリンの捜査ファイル」シリーズが有名で、邦訳も出ています。

1956年生まれのアクーニンさん、実は相当な親日家・知日派です。
大学で日本学を専攻し、三島由紀夫やら島田雅彦やらのロシア語翻訳もしたほど。
つまり日本語はペラペラ。
そんな人物がソ連崩壊後に初めて探偵小説を書き、ベストセラーとなったわけです。
なんだかちょっと、嬉しくなる話です。

アクーニンという名前は「アクーナ」という語が語源、のはず。
知らない単語だなぁと思ってロシア語の辞書を調べてみるも、これが載ってない。
実はこのアクーニン、グルジア人とのことで、本名は「チハルチシヴィリ」。
ってことは由来はグルジア語かなぁ、などと思っておりました。

そうしたら、後になんと日本語の「悪人」から来ていることが判明。
「悪人」→「アクーニン」
冗談みたいなほんとの話らしいです。

それはともかく、数ある日本語のなかからなぜ「悪人」を取ったのか?
そういえば、「くたばってしめえ」からペンネームをつけたという二葉亭四迷もロシア文学者でした。
ロシア文学には人を自虐的にする何かが潜んでいるのかもしれません。
だとしたら、いやだなぁ。

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松 樟太郎(まつ・くすたろう)

「四面楚歌」をモットーとする編集者。
1975年、ザ・ピーナッツ解散と同じ年に生まれる。某大学ロシア語科を出るも、その後は特にロシアとは縁のない仕事と日常を送る。そのためロシアに関する知識が間違ってたらすいません。そろばん3級。
KYOTO的では、「マックスコーヒー1人旅Y」を連載。全国のファンに惜しまれつつ最終号を迎えた。

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