新人だった。

第3回 今年の父の日

2013.06.21更新

こんにちは。
6月だというのになかなか雨が降らないなあと心配したかと思えば、
しとしと雨続きでじっとり・・・
雨が止んだらうだるような暑さ。
こんな日々だと体調管理が難しいですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて。
うちの母が鬼の目をしている一方で(前回の話参照)、
父はいったいどんな人なのかというと、人前に出る職業に就いた私とは真逆で、
人前に出るのは大の苦手だ。
面と向かって聞いたことはないけれど、あまり向いていないのは間違いない。

「いや、言葉数は少なくても眼光鋭く物事を観察しているのかもしれないよ」
と仰るかもしれないが、残念、そういうタイプでもない。
少なくとも鬼の目ではないことだけは確かだ。
柔和な雰囲気でふわっとしているような気もするし、ぼんやりしているような気もする。
何事も流されて人に合わせるタイプなのかというとこれがまたそうでもなく、
根は相当な頑固者だ。
その辺は母が骨身に沁みてよく知っている。
感情をはっきり出せる母と、淡々としていてあまり表にしない父。
でも二人に共通するのはとても照れ屋であり、
言葉にする前にわかってほしいというタイプであるということ。

母を瞬発力の人とすると、父は持続力の人で、一度自分のツボにはまったものは
ずっと続けることが得意だ。
趣味で始めたテニスも実力のほどはさておいて、
かれこれウン十年やっているのではないか。
物持ちもいいし、使っている男性用の身だしなみ用品だって、
私が物心ついた頃からずっと同じブランドのものなんじゃないだろうか。
うん、きっとそうに違いない。
幼い頃から同じようなデザインのラベルが私の脳裏に焼き付いているから。

AB型で飽きやすい私からすると「一つのことをずっと続けられる」能力は
羨ましくもあり、大人になった今となってはかなり尊敬に値する。
恐らく本人はそこまで深く考えていないのだろうが、
さりげなく出来てしまうなんて、立派な才能だ。

今はすんなりそう思えるけれど、武闘派だった思春期には
自分と相容れる部分の少ない父を見ては、物事の感じ方や見方の違いに
イライラ度全開だった。
それが、親と自分とは家族だけれど個としては他人なのだと
素直に認められるようになったら、父親の性格にイライラするどころか、
どれも自分に欠けているところばかりではないかと素直に思えるようになった。
しかも今まで酷いこと言ってごめんという気持ちがむくむくと芽生えてきた。

先日サッカーW杯予選で日本代表が予選突破を決めた日、DJポリスが話題となった。
ユーモアとウィットに飛んだ警備誘導アナウンスが受け、
人々は素直に彼らの指示に従ったというあのニュース。
私も伝え手のプロの端くれだし、とても勉強になるなあと思いながら
そのニュースを見ていたのだが、
やっぱり素直なのが一番なのだなと至極ストレートに納得していた。

と言いつつ、いざ伝えようとすると、どのように伝えるかが難しいからこそ
技術が必要になるのだけれど、言葉にすることは誰にでも出来る。
しかもいま、伝えようとしている相手は身近な家族なのだ。
技術よりなにより気持ちが大事なはず。

これまでなんだか気恥ずかしいのを理由に、感謝していることを
ちゃんと伝えてこなかったような気がするがそれじゃダメだな。
照れている場合じゃない。
これからはどんどん言葉にしていこうと思う。
・・・なんて言いつつ、今まではたった一言「いつも、ありがとう」を言うより
父親について語ることの方がずっと恥ずかしかったので
今回テーマに選んだだけでも私なりの「素直」なつもり、なのでした。

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倉野麻里(くらの・まり)

上智大学数学科卒。2002年テレビ東京入社。WBS6年、夕方ニュースMC5年担当するなど、入社以来報道畑を歩む。座右の銘は『何かを始めるのに遅すぎるということはない』うどん、鶏肉、奈良漬が好き。趣味は散歩、料理、旅行。

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