新人だった。

第12回 親の力み

2014.05.29更新

 こんにちは。
 この時期は緑が青々と繁っていて本当に清々しいですね。私はこの時期が一年のうちでもっとも好きといってもいいかもしれない。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 相変わらず仕事とプライベートの両立に必死な毎日ですが、少しずつどこを締めて、どこの力を抜けばいいのかが、わかってきたような気がします。ほんの少しだけ。
 仕事については、育児休暇を取得する前の感覚が戻りつつあるのですが、子が相手となるといかんせん力が入りすぎているときがあるようで・・・。ホントに、駄目ですねえ。反省することもしばしばです。

 そういう「親の力み」はどうしても子どもに伝わってしまうようです。それゆえ親のタイミングで何かをさせようとすると激しい抵抗にあってしまったり、時間に追われて急かすとわざとちがうことをしようとしたり。
 とにかく一筋縄ではいかないのが「子ども」なんだな、と日々痛感しています。親は心の余裕が必要です。

 さて。先日、弊社で放送している「世界ではたらくお父さん」という番組のナレーションを担当しました。(放送は終わってしまいました、すみません)
 手前味噌ですが、これがまた涙なくして見られない素晴らしい番組でして。これまでにシリーズで数回放送しているのですが、自分でナレーションを入れる作業に携わったのは初めてでした。
 
 番組の内容は、端的に言えば遠い国で単身赴任しているお父さんのもとに、サプライズで子どもが会いに行くという番組です(こうやって集約すると事実関係しかなくって、冷たく聞こえますね)。
 多くの方があまり編集スタジオに足を踏み入れることはないと思いますし、役者や音楽業界など、特殊な仕事に就いていなければ、あまりスタジオの中に入る機会はないのが普通かと思います。

 でも、恐らく一度くらいはテレビなどでご覧になったことがあるのではないでしょうか。
あの独特の空間を。ミキサーや音声さんのいるスタジオの外と演者やミュージシャンなどの入る中はドア一枚を挟んで完全に別空間になっています。
 しかも、私たちアナウンサーやプロのナレーターが声を入れる「ナレーションブース」というのはその一角、もしくは廊下を挟んだ隣などにあることが多く、これまた特殊な空間です。とにかく狭い。だって声を入れるだけですからね。それほど広さを必要としないのは確か。
 基本的には映像を見られるモニターやヘッドフォン、手元を照らす照明等がある程度です。イメージとしてはデスクが1つ置かれた完全に静謐なる自習室、みたいな感じでしょうか。そうだ、お仕置き部屋みたいな感じとも言えなくもないかも。

 そんな特殊な空間に入って、原稿と映像を見比べながら声を当てていくわけです。
 ヘッドフォンを通して自分の声はダイレクトに返ってくる。表現していても、途中で噛んでしまい、録り直しになることもある。そもそも音楽が乗る前の段階で、世界観を想像し、自分のなかで膨らませながら声を当てることだってある。

 その都度条件はちがいますが、完全に映像の世界に自分を入り込ませて、自分ならではの表現を繰り広げるというのは、とても独特です。空間が閉じられていて若干の孤独感はありますが、同時にとてもやりがいがあっておもしろいのは確かです。

 そんななか、声を当てながら、今回は初めての事件が起きました。
 涙で声が詰まり、「すみません、もう一回お願いします~」と言われてしまったのです。感情移入しようとしているというよりは、感情が溢れてきてしまって、制御不能になってしまったのです。
 こんなこと初めてで、自分としてもビックリでした。

 遠く離れている親子の愛を、ディレクターたちが、それはそれはうまいことビデオに収めてくれているんですよ。どう堪えても感情移入してしまって・・・。家族っていいなあと思わずにはいられませんでした。

 年をとると涙腺が弱くなるとはよく言いますが、それもあるのかもしれないし、それよりなにより自分が親になってからというもの、ダメなんですよね。すぐに涙が溢れてしまって、感激屋になってしまっている気がします。
 新しい一面ができた、というよりは、子をもつ親になってそういう一面が顔を出しやすくなっているということなんでしょうね。自分でも自覚があります、その辺は。
 
 しかし、なんだか今回は番宣みたいになってしまいましたね。失礼しました。
 ではまた来月お会いしましょう!

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倉野麻里(くらの・まり)

上智大学数学科卒。2002年テレビ東京入社。WBS6年、夕方ニュースMC5年担当するなど、入社以来報道畑を歩む。座右の銘は『何かを始めるのに遅すぎるということはない』うどん、鶏肉、奈良漬が好き。趣味は散歩、料理、旅行。

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