特集

平日開店 ミシマガジン 創刊'ちゃぶ台'座談会

2009.07.01更新

単行本出版社として日々地道な活動をつづけるミシマ社が、ウェブ雑誌を創刊!?
しかも、メンバーの数はこれまで通り7人のまま。
本当に、「平日」毎日更新できるのか?
そもそも、どうやって運営していくつもりなのか?
一体、何を考えているんだ、ミシマ社!!
ちゃぶ台を囲んで、張本人たちから、意気込みやら方針やらを尋ねてみました。

(聞き手:松井真平)

1カ月かけて完成する月刊誌

今回のミシマガジンは、今までのKYOTO的とどんなところが違うんですか?

三島KYOTO的は、それぞれの所属を超えた有志の人たちで「新しい雑誌を作りましょう」と始まった雑誌でした。
今回のミシマガジンは、ミシマ社オフィシャルのウェブ雑誌として運営していきます。そこが一番の違いですね。

渡辺それと、月刊誌でありながら、毎日更新していくっていうのもKYOTO的との違いですね。

三島そうですね。KYOTO的は、基本的に15日更新だったんですが、これからは毎日、朝10時半に更新されていきます。それで1カ月経った時点で月刊誌が完成しているというつくり方をしていこうと思っています。

なるほど。なんか新しいですね。では、月末にひとつの区切りがつくんですね。

三島そうですね。毎日ひとつひとつ積み上げていく感じで、7月号が完成するということです。

雑誌特有の表紙がない気がしますが、トップページが表紙ということになるんですか?

三島トップページが、カレンダーであり、目次であり、台割であり、表紙になっています。

座談会イメージ

窪田まぁ イメージとしては店頭にいきなり表紙が並んでいるという感じですね。

渡辺いきなり表紙がならんでいるのは当り前だよ。

窪田間違えた。いきなり目次が並んでいるということですね。

三島「カバーとっちゃいました」っていう感じです(笑)。

目次の文字をクリックすると、すぐそのページに飛べるんですよね。これはわかりやすいですね。

木村そうですね。私、アナログ人間なので、ときどき、読みたい人にどういったら良いかわからない組み立てのウェブ雑誌があるんですね。
でも、これだと、誰でも読みたいところにすぐいけるんじゃないかと思います。それに、毎日更新されていくから、毎日1ページずつ読むことができるっていうのも楽しみのひとつにもなりますし。

三島カレンダーの通りに更新されていきますから、その日の朝10時半になったらクリックできるようになります(たぶん・・・)。
それで、トップページが来月8月になったら8月のカレンダーに切り替わって8月号になります。そこからまたひとつずつ積み上げていく月刊誌になります。

なるほど。毎日積み上げていくというつくり方は、もしかして何か突発的に「こういうの載せたい・・・」という人がいた場合でも、対応できてしまうんですか?

大越面白ければどんどん載せます。

三島月の始めにカレンダーに載ってなくても途中で「これは・・・」と思ったら緊急更新したいですね。号外っていう感じで。

大越だから、実は月の最初の予定と実際に月末になって載せたものが全然違うこともあるかもしれない。そんなわけで、ぜひ毎日見てほしいですね。

三島本音を言うと、ルールとしては「毎日ひとつは更新されるけれども、この通りじゃないかもしれませんよ」と(笑)。

大越最初は一応の予定です。

窪田なるほど、すごい流動的ですね。でも、月末に締めがあるんだから、最後に編集後記的なものとかあるんですか?

座談会イメージ

大越そういうのはあってもいいかもね。

窪田雑誌としての区切りとして「今月の見どころ」とか。

三島そうだね。編集後記、最後にやっぱり入れようか。

見どころが一番最後にわかるんですね。

三島過去形で「今月の見どころはここだったね」みたいな。

窪田たしかに、最初には言えないですよね。わからないから。

三島編集後記座談会入れてもいいかもね。

曜日ごとに'個性'があります

毎日更新ということですが、土日も更新されるんですか?

大越基本的にはお休みです。

三島季節感とか、週のリズムを大切にして、雑誌にも休みをつくろうというのが、ウェブ新聞とも違うところですね。

なるほど。ではここで、作り方について少しお聞きしたいのですが、特集や連載はどういうかたちで進んでいくのでしょうか?

大越特集は、うちの新刊のテーマやその時話題のトピックに合わせて、気になる人物にインタビューしたり、対談をしてもらいながら作っていきます。
それで、月曜日が特集や対談のコンテンツが集まる曜日になります。

曜日によってそれぞれ特徴が決まっているんですか。火曜日はどうなるんですか? 

大越仕掛け屋と営業の話がきます。

三島火曜日は読者との交流の日みたいな感じですね。

私はけっこう、この火曜日の読者交流デーを大切にしたいなと思っています。
こないだのイベント(寺子屋ミシマ社)でも感じたことですが、一人ひとりとお会いして「あの人が作ってるんだなぁ」っていう顔が見えると、お互いの繋がり方や印象もまったく変わると思うんですね。なので、雑誌でもそういう繋がりをつくれたらいいなと思います。

窪田雑誌の読者投稿ページみたいな感じにもしていきたいですね。

それでは、水曜日はどんなものが来るのでしょうか?

大越水曜日が連載の曜日になります。

コラム道、遊牧夫婦、スポーツ紙バカ一代、ミシマ社の話・・・とありますが、どういったコンテンツになるのでしょうか?

三島作家さんや今後書籍にしていく可能性のあるもの、長期連載していきたいものを取り上げていきたいと思っています。人によっては週1回から月1回ペースで更新していきます。

木曜日はどうでしょう?

三島この一年は、「本屋さんと私」という連載をやろうと思っています。
毎月ひとりの著者に本屋さんにまつわるエピソードを聞いて、それを毎週更新していきます。実は、作家さんが本屋さんでどういう本を手に取って今に至るか、ということって案外知られていないように思うんですね。
僕たちも、編集者として本づくりをしていても、そこまで聞くことはあまりなかったりします。でも、たまに聞くとすごくいい話をしてくれるんですね。だから、そういう話を語ってもらえたらと思っています。
その意味で言うと、本屋さんは毎日登場するんだよね。

窪田そうですね。この連載の他に、本の紹介を日本全国の店長(書店員)さんにやっていただこうと思っています。
それは一人の店長(書店員)さんに5冊のお薦め本をセレクトいただいて、月火水木金と一日一冊紹介していきます。そして、翌週にはまた別の店長(書店員)さんに紹介してもらうというかたちでやっていきたいと考えていますね。

三島「書店ミシマガジン"今週の店長さん"」みたいな感じですね。

最後、金曜日はどうなりますか?

窪田金曜日は旧KYOTO的のコンテンツを中心に更新していこうと思います。それ以外にも、木曜日と金曜日は似てくる感じですかね。

いろいろ盛りだくさんで、他にもたくさんコンテンツがありますね。編集長一押しの注目コンテンツは何ですか? 

大越うーん、たくさんあって、どれもオススメですが、新連載の「スポーツ紙バカ一代」は面白いと思いますよ。現役ばりばりのスポーツ紙、プロ野球担当記者が、紙面に書けないバカ話を執筆します。実は筆者は、私の中学時代の塾からの友人で、本人は「毎週でもいい」と気合が入ってます。

三島隔週くらいでも可能ならやってもらえたらいいですよね。紙面に書けなくてもこっちには書けるという内容で(笑)。

大越あとは、新婚旅行で5年間世界中を旅した夫婦の旅行記ですとか、ミシマ社のウェブサイトで既に大人気の小田嶋隆さんの「コラム道」や、注目の劇作家の方々へのインタビューなども予定しています。

おもしろそうですねー。では、亜希子さんの一押しはどこですか?

亜希子私一押しのポイントですか? 私も木村さんと一緒でアナログ人間なので、トップを見てそのまま読めるというのが一番のポイントだなと思っています。
あとは全体的に、「経済の流れ」という感じじゃなくて、人とのコンテンツばかりなので、向こう側にいる人たちの様子を一緒に感じられるサイトっていう気がしています。なんかこう、一方的に与えられるものではなくて、一緒に感じながら育っていくっていうのが良いのかなと思いました。

渡辺さんの一押しポイントはどこになりますか?

渡辺私の一押しは、大越編集長のブログですかね。

座談会イメージ

大越ないない。

渡辺あ、ないんですか?

三島ないない(笑)。

渡辺ま、大越さんだけですかね、ミシマ社のなかで、ブログに縁遠い人は。

窪田亜希子さんも。

亜希子あぁ、私は表に出ないから。

渡辺亜希子さんも連載もったらどうですか?「今日の経理」とか。
「今朝の勘定科目」とかね。

亜希子「貸方、借方あわず・・・ 残念・・・」みたいな(笑)。

渡辺意外とおもしろそうですねぇ。とまぁ、こういうふうにですね、ヨタ話みたいなところからもそれが何か「ミシマガジン」の企画として形になるかもしれないという、そういう器としての柔軟性ですかね。
一冊の本にはできないけれど面白いことってたくさんあると思うので、そういうのがどんどん形になっていくだろうと、この期待感こそが、それはわれわれも含めてなんですけども、ミシマガジンの魅力の最大のところかなと思っています。

(創刊からなんですが)ミシマガジンは永久に不滅です(笑)

これからこのミシマガジンをどんな雑誌にしていきたいですか?

大越読者をたくさん集めるというよりは、「あのサイトはおもしろいよね」と気に入ってくれる人が、訪れてくれた人の10人に1人でもいてくれればいいなと。そしてそういう人が増えていってくれればいいなと思います。
一時的な読者を集めると言うよりは、雑誌自体を好きになって、生活と一体となってくれるとうれしいですね。

三島「この雑誌を育ててるのはワシやで。知ってるか? あれワシが育てたんやで」っていうようなね。

窪田おぉ~ なぜか関西のおっさんになりましたけど。

大越将来的にはなんかそういうような人を集めて運動会をやってみたりとか。

三島綱引きとかいいですよね。夏とかお祭りやりたいですね。

大越これまで話題に上がってまだできてない「ナンバ祭り」とかね。

☆編集部注:ナンバとは、「ナンパ」ではなく、日本古来から伝わる身体運用法のこと。ご興味ある方はぜひミシマ社刊の『仕事で遊ぶナンバ術』『ナンバ式!元気生活』を参照ください。

三島できてないですねぇ~ 2年前から企画はあるんですけどね。

窪田そうなんですか?

三島多摩川を全員ナンバ走りするっていう企画があるんです。

窪田なんか歩兵みたいですね。

それと、ミシマガジン発で著名になる人たちが増えていったらいいですよね。

大越それはあるね。世間に知られていないけど面白い人を発掘したいよね。
埋もれている面白い人で、われわれと同世代くらいの人をどんどん取り上げていけたらいいですね。
というのも、いまの雑誌とかを見ていても、10年前とそれほど書き手が変わってないんですよね。雑誌が売れなくなったと言われていますが、若い人が雑誌を読んでも面白くなくなったからではないか。ウェブにはたくさん面白い書き手が現れていますし、何かまだ知られていない才能を持った人に、どんどん登場してもらえればいいなと思いますね。

林 自分が好きな地元のマイナーなお店とかでも、たくさん集まったらおもしろいですしね。

渡辺ま、それは従来のブログとかでも持っている特徴だから、ミシマガジンのクオリティーの高さというか、読み物として骨太のものが中心となってくるんですかね。

三島ブログとの最大の違いは、編集の目が通ってるか通ってないかというところですね。そこに尽きると思います。
基本は、こちらと著者とのやり取りの中から生まれてきたコンテンツです。だから、日々の日記とか雑記を書くのとは少し違います。編集部として「これいいね」っていうのを掲載していくところが、違うポイントかなと思います。

大越あとは、雑誌なので時事的なテーマを必ず入れていこうと考えています。やっぱり時事性が本と雑誌の大きな違いだと思うので。

三島書籍だけでできなかったことをこっちでやれるといいですね。
あと、他のウェブ雑誌との違いで言うと、(まずは)広告を全然入れないで始まるところです。それはすごく大きいと思っています。結構ウェブ雑誌を見ると、「あ、広告タイアップ記事なんだ」というのがすごく多いと思うんですね。最終的には、その商品を売るための記事だったりします。でも、ここでは、書き手と編集者とのやりとりで「このコンテンツおもしろいんじゃない」ということをやっていきたいですね。

それでは最後に、何年続けますか?

座談会イメージ

三島もうこれは、永久にですよ。ミシマ社あるかぎりやり続けたいと思いますね。

窪田ということは、最低100年ということですね。

三島でもタイアップせずに、どうやって運営していくかですよね?

渡辺そうですよね。雑誌の収入の大きな柱を占めている広告がないということですからね。

大越販売収入もないわけですからね。どうしましょうかね。

カレンダーの下に、ショッピングのバナースペースがありますね。

三島おお、いいとこついてきますね。

大越まぁ少しですね、実はビジネスモデルとしてミシマ社特製Tシャツを販売するというスキームもつくっておりまして。

三島おお~ えらいたいそうな言葉が出てきましたね(笑)。

では、少しまぁ、これまでとは違ってのんびりとしているだけではなく?

窪田いやもう、やっぱりそこらへんは全然違いますね。もうガッツリ行くような、殺伐とした感じで攻めていきたいですね。

大越上場も視野に入れて。

三島どこかのまねみたい(笑)。
冗談はさておき、実際のところ、当面はまずTシャツ買っていただいて、につきます。これだけがこのウェブ雑誌を運営する命綱です、文字通り(笑)。
そこで今回、何種類かの色のTシャツもつくります。

窪田マジすか。

亜希子買った色で体育祭の色が決まるかもしれないので。

窪田なるほどなるほど。赤組とか。

木村いやー 思わぬところに行きましたね。

大越というわけで、僕ら自身も、この雑誌がどんなふうに展開していくのか予測もつきません。

三島そんなたよりなさげな雑誌ではありますが......

一同「平日開店 ミシマガジン」本日より開店です。末永きおつきあいのほど、心よりお願い申し上げます。

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