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巫女さんに聞く! 神社のあれこれ(後編)

2009.12.29更新

誠意をもってつきあう

―― 初詣でいただくお札、お守り、おみくじについて教えてください。

お守りやおみくじ

お守りやおみくじ

お札は、そのまま神棚に祀るものですよね。いのちの根源、一番中心が天照様なので、神棚の中心にお祀りして、日々のご加護をいただきます。お札は南か東に向けて、目線よりも高い位置、息のかからない清浄なところにおいていただきます。換えるときは、お祀りしたお札をおさげして、白い紙か布で包んで、納札所で納めていただいてから、新しいお札をお受けしてお祀りします。

―― お守りは毎年変えなくてもいいですか?

お宮さんによっては一年間というところもあるのですが、雄山神社では、お守りは神様の寄り代なので、ちょっと布が汚くなったら、一年と限らずに取り換えましょうとお伝えしています。でも、一年以上持っていても大丈夫です。なんで一年かというとご神徳を改めるということもあって、一年とお伝えしているんですけど、はっきり決まっているわけではないです。

―― 別々の神社からもらったお守りやお札も、近所の神社にまとめて納めて大丈夫ですか?

大丈夫です。ただ、お寺さんとは別にしてくださいとお伝えしています。お寺と神社が一緒のところはまとめても大丈夫だと思いますよ。

―― 素朴な疑問なんですけど、お守りって中身を見てもいいんですか?

基本的にだめです(笑)。

―― なんとなく見ちゃいけないものだよな。でもどっちなんだろう? という疑問があって。

やっぱり目に触れないものだと思いますね。お神輿に神様入れたら絶対上からのぞいちゃだめだって言われたりしますよね。ああいうのと一緒で人目に触れないようにするというのがあると思います。

―― おみくじって結ぶ人もいれば、持ち帰る人もいるじゃないですか。持ち帰ったあと、どのように取り扱えばいいのでしょう?

おみくじは神様の御言葉になるので、お守りと同じ扱いでいいと思います。お財布などに入れて、ときどき読みかえすというのはいい持ち方だと思いますし、もし自分にとって、このおみくじとはさよならの時期だなーと決めたら、ごみの扱いとは別にして、納札所に納めていただければ。神様の御言葉に対して、自分の誠意をもったそれぞれの扱い方でいいと思います。あと、おみくじで、内容があまり好ましくないこともありますよね。そういう方が結んでいくと思うんですが、これも御言葉をありがとうございましたという気持ちを込めて結ぶといいと思いますよ。

―― 凶や大凶がでてもあんまり気にしなくてもいいのでしょうか?

はい。大吉とか凶とかをあまり気にしないと解釈する神職さんが多いと思います。それよりも書いてある内容が、自分の現状とどう関わってくるかが大切なんだと思います。

ポイントは「開く」!

―― 都内の有名な神社に行くと、人々が授与所に群がっている光景を時々目にします。お目当てのお守りを買って帰れば大丈夫みたいなドライな印象を受けることもあるのですが。

都会の風が吹いていますよねー。神社が神社として全うできるためには、ということを常に考えさせられます。そこからどう踏み込むかは、今、現代、勤めるもののひとつの役割かなと。ほんとうにただ人が来ればいいってものじゃないと思うんですよね。もっと感じる部分を引き出せるお宮さんっていうと、やっぱり地域密着型なんじゃないかなーと思っています。

―― 現象面での利益・不利益って結果的にあるかもしれないですけど、そういうものにとらわれないために神社に行くんじゃないかなって気がするんです。感性を高めて、心を清めるための場だと思うので、何事にもとらわれない無の心で行きたいですよね。

はい。執着していたものを放ったときに、新しいものが自分に入ってくるんじゃないかなと思います。

―― 開かれた、神聖な場所に身をおくことで、自分が日常で汚れていた部分をいかに開けるかっていうことだと思うんです。

そうですね! それは表現として適していると思いますよ。見ているとこういう人(猫背で手を合わせる人)が多いんです。勿論、静かに祈ることも必要なんですが、手と手を合わせているからといって、なかが閉じているわけではないんですよ。

―― 気がほんとうにきれいなので、美しい気にふれることで無意識のうちに閉じていた感覚を開いていってあげることですよね。気持ちいいですもんね、そこにいるだけで。

神社は開かれる場

神社は開かれる場

そう思います。ふだん日常で考えていることをそのまま知らず知らず持ち越して神社に行くわけじゃないですか。悩んでいるわけじゃなくて、日常の思考回路ってありますよね。それがお宮さんに足を入れて「今日も働かせていただきます」っていったときに意識してないんですけど、ふわっと出てくるんですよ。それを機に自分の思い癖や思いの方向が客観的によく見えて、自分自身や物事がすごく整っていく。私も働いていてそう感じるので、お参りに来た方も是非体験していただきたい。神社って、そういう場所ですね。

―― 開くって大きなポイントですね。そういう意味では年末年始っていい機会ですよね。ふだん足を運ばない人も神社に行かれますし。

そうですね。意志をもってお宮さんに行くってことが大切なんじゃないかなと思います。

神様のいない神社

―― 初詣って、秋のお祭りと同じような感覚で、たくさん人がいて、ウキウキな雰囲気を楽しむっていう感じですよね。

そうですね。クリスマスはディズニー、初詣はお宮さんみたいな流れの人の方が多いのかもしれないですね。

―― 今年一年の自分との対話みたいなことをしたいときは、初詣を外した時期に行った方がいいのでしょうか?

そうですね、私は外しますね(笑)。今は奉仕している立場ですけど、定年で辞めたら、三が日は家で静かにすごしますね。

―― 逆に三が日、家ですごすとしたら、そのとき、なにかできることはありますか?

家でお祀りしている神棚があれば、そちらにお祈りする。家をお守りしているお社(やしろ)になるわけですから。家族で時をすごすという単純なことがすごく大切だと思うので、みんなで一緒に時をすごしたあと、神社にお参りするという流れが個人的にいいと思いますね。

―― 初詣にこだわる必要はないわけですね。

初詣の意味合いって、一年をはじめるにあたってのご挨拶ですよね。お守りいただいて、ご加護いただく。自分はこういう面持ちで生きていきますっていう神様との交流だと思うので、それは気持ちが向く日にちでいいと思います。

―― 氏神様(地元の神社)と自分の好きな神社では、氏神様に先に行ったほうがいいんですか?

そうですね。氏神様は自分の住んでいる土地を守っている神様なので、氏神様に行って、崇敬神社に行くというのがいいと思いますね。

―― うちの氏神様、お宮が小さいんだけど、どうなんだろうって思う方もいると思うのですが。

そうですね。氏神様ってご神符をお分けしているところも少ないですし、実際、いつも神様がいらっしゃるお宮さんじゃない場合のほうが多いと思うんです。でも、土地神様ってお宮さんじゃなくても必ずいらっしゃると思うので、思いを向ける、自分がここに住まわせていただいておりますっていう思いが大切だと思いますよ。

―― 神様、いらっしゃらないときもあるんですか?

清浄でないと神様は降りられない

清浄でないと神様は降りられない

水が流れていないところとか、からっぽなところってありますよね。

―― それは形だけ、お宮さんだけ残っているってことですか?

神様を呼んでおいて、お世話しない、お守りしないっていうのは、エネルギーがそこに留まる理由がなくなってしまうんです。やっぱり清浄でないと神様は降りられないと思うんですよね。なぜ私がこの感覚を明確に話せるかというと、祭祀舞をやっているからなんです。形霊(かただま)のある意味のある舞を舞う前、一番最初にするのが場を整えるすごくシンプルな祓いの舞をするんです。縦軸・横軸、左・右、右回り・左回りってだんだん空間を開けていく舞なんですが、舞い終わったあとには、目に見える何畳っていう空間は変わらないんですけど、明らかに場の空気が変わってくるんです。

―― なるほど。

空気が変わったところにはじめて、「祝(いわい)」「弥栄(いやさか)」といった意味のある流れを降ろす舞ができる。それは祓い清めがあってからじゃないと、そういう流れって立ち上がっていかないんですよ。自分はそういうのを舞の中で体験しているので、お宮さんも同じだと思うんですよね。ちゃんとこちらが呼んでおきながら、場を保っていなかったら神様は降りられないでしょうね。

身体の中心の軸を意識する

―― 祭祀舞をされていくなかで、美香さんが一番気を配っていることはなんですか?

呼吸ですね。舞も一糸乱れずじゃないですけど、意識を外さない、呼吸も常に滞りなくめぐって、止めるところは丹田で止める。舞って止めたときにストンっておりるんです。そこで点を打ったら、呼吸でのばしていくんです。シンプルで簡単な動きなんですが、その奥深いところまで行くのが難しいんです。特に複数で舞うときは、呼吸や意識をあわせるのにとても苦労します。

―― 複数で舞うときには、指揮者みたいに舞を統率する人がいるんですか?

はい、いますね。「気を聞く」っていい方をするんですけど、とても難しいんです。その感覚をつかむためには、祭祀舞をする前に技術的なことをした方がいいと思います。音楽とか舞踊とか合気道とか。いきなり精神的なものではなくて、現実的なものを。

―― 段階ってありますもんね。

『超訳 古事記』

『超訳 古事記』

そうですね。軸をとおすには、気持ちだけいっていればというのとは違って、身体とか現実的なリアルな問題になっていくものなんです。猫背ではだめとか、感覚を正確にとおす線というのは確実にありますし。

―― 姿勢を正し、身体の中心の軸を意識して開くというのは、舞も祈る行為も一緒ですね。舞も神道とつながっていて、おもしろいですね。

神道をもっと深く見れたらおもしろいと思うんです。なんで日本なのかとか、これだけお宮さんがある国ってほかにはないと思いますし。自分の国のことを知るっていう意味でも『超訳 古事記』を読むとか。

―― みんな『超訳 古事記』を読もう!

みなさん、神話や神道に慣れ親しんでいただいて、この日本という国を誇りに思っていただいていけたらすごくいいと思うんですよね。とってもユニークですからね。すごいドラマチックでロマンチックで神秘的で素晴らしいと思うんです。もう大好きです!(笑)

―― 数千年も続いている伝統ですもんね! 今日は本当にどうもありがとうございました。

■ 巫女さんに教わりました!~年末年始にさっそく実践!~

【お札ついて】
・お札は南か東に向けて、目線よりも高くて清浄な場所に置く。
・交換するときは、お祀りしたお札を白い紙か布で包んで納札所へ納めてから、新しいお札をいただいてお祀りする。

【お守りについて】
・気に入ったお守りは一年以上持っていても大丈夫。
・お守りは神様の寄り代なので、布が汚くなってきたら納札所へ納めて、新しく交換するとよい。

【おみくじについて】
・おみくじは神様の御言葉。大吉、凶にとらわれずに、書いている内容と自分の現状を照らし合わせる。
・おみくじを結ぶときは、感謝の気持ちをこめて結ぶ。
・持ち帰ったおみくじは、時々読みかえし、最後は納札所へ納める。

柳元美香(やなぎもと・みか)

高校卒業後からはじめた祭祀舞に加え、琉球舞踊、舞楽など、芸事に心を寄せる。現在、都内の神社にて奉職中。神前で舞い、祈りを捧げる日々のなかで、「人類に限らず生命は歌い踊る」ということに強く惹かれている。時間があれば世界中の音楽と踊りを鑑賞し、最近はイラクの古典音楽を愛聴している。茂木健一郎さんなど、好きな作家さんの本とともに高速バスの旅をするのも好き。来年の抱負は古神道の造詣を深めることと、より豊かで美しい日本語を身につけること

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