特集

ミシマガ発! 初の書籍化記念特集 第二弾

2011.05.17更新

『もっと知りたい!K-POP』ミシマガK-POP研究会編著(PHP文庫)

『もっと知りたい!K-POP』ミシマガK-POP研究会編著(PHP文庫)

今月の特集は、前回にひきつづき「ミシマガ編集部発の初の書籍」で、ただ今絶賛発売中の『もっと知りたい!K-POP』のウリを解説します。

本書の内容の解説にからめて、現在韓国で勢いのある女性グループf(x)やJYPエンターテインメントの社長兼プロデューサーのパク・ジニョンについてもご紹介。K-POPシーンのなかで最もスタイリッシュなf(x)と最もキャラの濃いプロデューサー、パク・ジニョンの両極端の魅力をご堪能ください。

また、突然少女時代にハマってしまったミシマ社・三島によるコラムも掲載。 今までアイドルにハマったことがなかったのに、なぜ少女時代にハマってしまったのか。 自身の体験から少女時代の魅力を検証します。最後までお見逃しなく!(文:足立綾子)


『もっと知りたい!K-POP』のここがすごい!

その1:K-POPがなんとなく気になっているあなたに向けた本です!

少女時代 2集『Oh!』、少女時代 2集リパッケージ盤『Run Devil Run』

(左)少女時代 2集『Oh!』(右)少女時代 2集リパッケージ盤『Run Devil Run』
キュートなイメージが強かった少女時代が、『Run Devil Run』でセクシーにがらりとイメチェン。ちなみに韓国では「ファーストアルバム」を「1集」と言い、アルバムをタイトルではなく、「少女時代の2集」といったような言い方をするのが通例だそうです。

『もっと知りたい!K-POP』は、「K-POPの超入門書」という位置づけで企画しました。現在のK-POP人気を受けて、雑誌やムックの新創刊が相次ぎ、書店にはK-POPアイドルが表紙を飾った雑誌がたくさん並んでいます。それらの雑誌のなかでK-POPの基礎知識について紹介した記事を見かけたことがあるものの、一冊読めばK-POP通になれるような本が少ない印象をうけました。

私も"なんとなく気になる"からはじまり、手探りでK-POPについて知っていきました。そんななかで、最初につまずいたり、戸惑ったりすることについて思い出しながら、本書のトピックを立てました。

まず第1章では「そもそもK-POPって何モノだ!?」と題し、K-POPの中毒性の秘密、K-POPってどんな内容の歌詞なのか、ファンはどんな人たちなのかなど、K-POPに関するイントロダクションを設けました。

例えば、いざK-POPのCDを買うにあたって戸惑うのが、韓国盤、リパッケージ盤、ライセンス盤など、さまざまな形態のCDがあることです。

韓国盤は、通常韓国で制作されて発売されるもので、リパッケージ盤は、数カ月前に発売された韓国盤に新曲を数曲追加し、CDジャケットも一新して発売されるもの。この制作は、前アルバムを所有していてもリパッケージ盤を購入するような熱心な固定ファンがいる人気アイドルに限られています。

ライセンス盤は、日本のレコード会社が韓国盤のライセンスを取得し、日本で再発売されるアルバムです。収録曲は韓国盤のままで、歌詞や謝辞の対訳やライブなどの特典映像がつくものがあったり、ヒット曲を中心に収録したものがあったりします。

ほかにも、いまさら聞けない(?)ようなK-POPに関する基礎知識、アイドルの育成システムや活動方法といった韓国特有の芸能事情などをわかりやすく解説しています。最近、K-POPが気になる人やK-POP好きでシーン全体のことをもっと知りたいという人にもおすすめの内容になっています。

その2:いま活躍中のK-POPアイドルが一気にわかります!

f(x) 『PINOCCHIO』

f(x) 『PINOCCHIO』
KARAの「ミスター」など、ヒット曲を多く手がけるSweetune、韓国のシブヤ系の代表格PEPPERTONESなど豪華作曲陣が楽曲提供。今年上半期リリースしたK-POPアルバムのなかでは、楽曲の洗練度、CDジャケットのデザイン性を含めて最高レベルの作品なので、K-POP聴かず嫌いの人にもおすすめです!

韓国では、日本のオリコンランキングにあたるものがありません。実際はオリコンに類する「ガオンチャート」というものがあるのですが、去年2月にスタートしたばかり。現在、韓国で人気ランキングに相当するのが、各音楽番組のランキングです。例えば、少女時代「Gee」が「ミュージックバンク」で9週連続1位を獲得といったような使われ方をします。

ランキングの集計方法は各音楽番組で異なりますが、CDやデジタル音源の販売量、オンライン人気投票、放送回数などによって決められます。人気だけでなく楽曲のよさなど、アイドルの総合力が試されるうえに、BIGBANGや少女時代といった人気が盤石なトップアイドルがいるため、中堅や新人アイドルが1位を獲得するのはとても難しいと言われています。

先月、少女時代の事務所の後輩にあたる5人組の女性グループf(x)(エフエックス)が新曲「PINOCCHIO(ピノキオ)」をリリースし、「ミュージックバンク」ではじめて1位を獲得しました。

2009年にデビューしたf(x)は、中国人のビクトリア、台湾系アメリカ人のエンバ、韓国系アメリカ人のクリスタル、韓国人のルナとソルリからなる国際色豊かなグループ。グループのセンターポジションを務めるクリスタルは、少女時代のジェシカの妹で、6歳のときに訪韓した際、姉のジェシカとともにデパートでスカウトされました。今年17歳になるクリスタルは、ミステリアスなムードをたたえたクールビューティ。いささかバイオレンスな視線を投げかけたり、年相応の無邪気な表情を見せたり・・・と放っておけないような魅力をもっています。

他のメンバーも男性アイドル顔負けの女性からの人気があるボーイッシュなエンバ、可憐でときどき小悪魔的なソルリ、正統派美人のダンサーのビクトリア、「第二のBoA」とも称される歌姫ルナと個性派揃いです。f(x)は王道をいく少女時代とは違い、楽曲もファッションもどこかとんがっていて、実験的な側面をもつグループです。

昨年、f(x)はメンバー個々の魅力がつまったスタイリッシュな楽曲「NU ABO(ヌエビオ)」で、K-POPファンのハートをがっちりと掴みました。しかし、いざこれからというときに、メンバーのエンバが足首の怪我でアメリカに帰国。約9カ月にも及ぶ異例の長期離脱でファンの間ではグループを脱退するのではと最悪のケースも噂されていました。

今年1月にエンバが無事に復帰。約1年ぶりにリリースした新曲で1位を獲得し、メンバーもファンも感動の涙を流しました。ひいきのアイドルが1位を獲得するかどうか、どきどきしながら見守るこの感じは、80年代の日本のアイドル全盛期に放映されていた「ザ・ベストテン」のような雰囲気に通じるのかもしれません。

本書では、韓国の音楽番組で1位を獲得したことのあるアイドルを中心に、現在活躍中のアイドル34組を紹介しています。現在のK-POPシーンを彩るさまざまなタイプのアイドルが一気に網羅できるので、お気に入りのアイドルを是非見つけてみてください。

f(x)「PINOCCHIO」

その3:K-POPアイドルを陰で支える制作者も紹介!

パク・ジニョン『SAD FREEDOM』

パク・ジニョン『SAD FREEDOM』
収録曲「No Love No More」はピアノの旋律が印象的なファンキーな曲で、年末の歌謡祭で披露することも。

「アイドルの活躍の裏には、名プロデューサーあり」と言われます。K-POPブームの背景を語るうえで、アイドルを陰で支えるプロデューサーやヒット請負人ともいうべき人気作曲家の存在は欠かせません。本書でも、人気アイドルを擁する韓国の4大芸能事務所の特徴、プロデューサー、人気作曲家について解説しています。

なかでも、異彩を放っているのが、ワンダーガールズや2PMが所属しているJYPエンターテインメントの社長兼プロデューサーのパク・ジニョン。ワールドスターRainを見出し、ワンダーガールズ、2PMを人気アイドルに育て上げるなど、プロデューサーとしての手腕が高く評価されています。

韓国芸能界では所属タレントと事務所と間で契約問題がよく噴出します。しかし、パク・ジニョンは、RainがJYPからの独立を希望した際に、JYPスタッフ数名とともに独立できるよう後押しをしたという男前なエピソードがあります。その後もパク・ジニョンとRainの関係は良好で、今年入隊を控えるRainが芸能活動に専念するために、会社の経営権をパク・ジニョンに託したことが注目を集めました。

また、4大芸能事務所の社長のなかで唯一現役の歌手としても活動しています。奇抜な衣装でセクシーなダンスを踊ったり、自身が手がけたアイドルの楽曲の冒頭で「ジェイワイピッ!」とシャウトしたり・・・と独特のキャラの濃さがありますが、日本のファンからは「師匠!」と呼ばれ、愛されています。

2009年以降、ソロ作品はリリースしていませんが、フィーチャリングとして他のアーティストの楽曲に参加しています。特に、最近ファンの間で話題になったのがUVの「イテウォン・フリーダム」(ちなみにイテウォン(梨泰院)はソウルのなかで最も外国人率が高く、異国情緒あふれる街です)。

80年代風のディスコサウンドに、革ジャンにハイウェストのサムエルパンツといった80年代ファッションに身を包んでいる姿をMVで見たときに、昔リリースした楽曲なのかと思いきや、UVのれっきとした新曲。この曲でパク・ジニョンは、ノリノリでキレのあるラップを披露しています。コミカルなこの曲が韓国でウケているところに、K-POPシーンの元気の良さや懐の深さが感じられます。歌詞もすごくおもしろいので、よかったら日本語字幕バージョンもご覧ください。

UV with J.Y.Park「イテウォン・フリーダム」

日本のメディアではK-POPの洗練された面ばかりが紹介されがちですが、一方で、ちょっとヘンテコなところがあるのもK-POPの魅力のひとつです。本書でK-POPの多様な魅力に触れて、読者のみなさんがお気に入りのK-POPの楽しみ方を見つけていただけたら嬉しいです。

コラム「実験:少女時代になぜはまる?」

文:三島邦弘

少女時代は突然に。

これが、私の偽らざる感想である。昨年初秋、ラジオでたまたま流れた「Gee」を聴き、お、ちょっといいかも、と感じたのが始まりだった。そのあとすぐに、You Tubeで見直したが最後。完全に、参ってしまった。で、自分で自分に驚いた。「アイドル」と言われるものにこれまでまったく興味のなかった自分に何が起きたのか? と。それから数カ月、自身を実験台に、「なぜ?」を問うことにした。

なぜ私は少女時代に参ったのか? 結果、以下のような結論を導き出した。

少女時代が「いい」理由――

①ハングルで聴くほうが、はまる。
理由はたぶん、歌詞がわからないから。メロディと響きだけを純粋に楽しめる。
結論:歌詞の意味はわからなくていい。

②日本のアイドルとちがって、何を話しているかよくわからない。
バラエティ番組なんかでヘンなことを言っているのをたまたま耳にし、「え~、なんかやだ」みたいな感想を持たないですむ。
結論:いいところをだけを見て、勝手に妄想。

③「昭和のスター」の香りがする。
言葉がわからないだけで、「ミステリアス」。その「謎っぽさ」こそ「スター」の条件である「手が届かない感」を生み出す。おそらく、海を隔てる距離感も、その一役を買っている。
結論:きれいな花は遠くにありて眺めるもの。

④うまい!
歌もダンスもうまい。日本のアイドルと比べると・・・なんて野暮なことは言わない。とにかく地力がある。半端じゃない努力の結果。というのが嫌味なく感じられるのも高感度大。
ちなみに、少女時代が所属するS.M.エンタテイメント・代表の金英敏氏は、「わが社が誇るプロ集団が総力を挙げて作ったこの曲を聴いてもらいたい。そうやって確信をもって市場に打ち出していく」(『GQ JAPAN』2011年3月号)と。
結論:一流の芸があってこそスター。

⑤9人いる。
これは誰もが気づいていることだが、9人いれば一人は好みの人がいる。そして、その一人に対し、勝手な想像を膨らませ楽しむのだ。ちなみにぼくは、ソヒョンを「リーダーなのに控えめ」なのが素晴らしい、と妄想していた。実際は、最年少。末っ子(マンネ)はメンバーみんなにかわいがられるから(『もっと知りたい! K-POP 』より)、目だっていただけだった。そんなふうに、勝手に楽しむのも「韓流」(?)だ。
結論:9人みんな個性的。必ず好みのGirlがいる。

騙されたと思って、少女時代、聴いてください、見てください。気づけばきっと・・・。

少女時代は突然に。

お便りはこちら

バックナンバー