今月の特集1

 ミシマガジンが月刊誌『PHPスペシャル』をジャック!?
 『PHPスペシャル』8月号は、なんとミシマ社とPHPスペシャルの協同編集号。のっとり企画会議からはじまり、ついに昨日(7月10日)発売となりました!

 特集「どうしても許せない人」では、だれもが持つ負の感情を、どのように捉えていけばいいのかを探っています。
 ミシマガではこの特集「どうしても許せない人」の一部を、PHPスペシャル誌上とは異なったバージョンで掲載します!

 第2回の今日は、昨日掲載した座談会から出てきた悩みを、漫画家の里中満智子さんと、能楽師の安田登先生にお答えいただきました。ちがった視点からズババッと紐解くおふたりの回答を、ぜひお楽しみください!

 また、協同編集することになったことの顛末は「PHPスペシャル×みんなのミシマガジン」で詳しくレポートしておりますので、こちらもあわせてお楽しみ下さい。

どうしても許せない人 悩み相談編

2014.07.11更新

 人にやられたら嫌なことを、自分がやってしまうことがあります。
 そういうとき、「なんでこんなことをしてしまうんだろう」と、私は自分が許せません。そんな「許せない」自分に向き合う術はあるのでしょうか。


 あなたはもう十分自分に向き合っています。ですから「向き合う術」というより、「嫌だと思うことを自分がやってしまう」ことが悩みなのではないでしょうか? つまり「こんな自分を変えるにはどうすれば良いか?」がこの相談のポイントだと思います。
 「自分を変える」には、まず「自分の本性に気づくこと」がスタートです。あなたはもう既に気づいているので、ここから前へ進めば良いのです。
 「嫌なこと」の具体的な事例がよく解りませんが、いくつか想像してみると・・・
 「自分が損をするのはイヤ」
 「誰かに嫉妬している」
 「スッキリした気分になりたい」
 「面倒臭いことから逃げたい」など・・・
 人に対して嫌なことをしてしまうのは大体このパターンに当てはまるのではないでしょうか? そしてこれらの感情は、恐らく誰にも一生つきまとう心の負の部分でしょう。でも・・・それを実行に移す人と移さない人がいます。移さない人生のほうが気持ち良く心穏やかに過ごせます。

 今度「嫌なこと」をしたくなったら「後でもっと嫌な気分になっても良いのか?」と自分に問いかけて下さい。踏みとどまれたら、自分で自分を褒めて下さい。その繰り返しでやがて「誰が気づこうが気づくまいが、私は私自身に自信を持って言える。自分が嫌だと思うことは、人に対してしなかった」と言える人生を送れるようになります。想像してみて下さい。とてもいい気持ちです。健闘(?)を祈ります。


 こら、こら、こら、こら。自分でちゃんと自覚しているなら、今すぐにそんなことはやめなさい。自分自身を本当に「許せない」と思っているながらやめないなんてダメです!

・・・なんてことを言いましたが、しかし実はこれは多くの人がやっていることです。古代中国の聖人である孔子先生は「自分がしてほしくないことは、人にしてはいけない」といいましたが、しかし同時に「でも、本当にそうできたら誰からもうらまれるなんてことはなくなる」ともいってます。

 ということは、本当にそうできる人はほとんどいないということ。先輩にされたイヤなことを後輩にし、その後輩はまたその後輩にする。中高の運動部でよく見られる光景ですが、社会に出ても同じことが繰り返されます。イヤなことの申し送り、そんな負の連鎖が続くのが人間社会です。

 しかも多くの人は、自分がそういうことをしていることにすら気づいていません。「あなたのためにしているのよ」なんて思っている人すらいます。そういう意味では、そんな自分を自覚しているあなたは、人格のステージ的にはかなり上にいるということです。

 これに気づいているあなたは、そんな負の連鎖を断ち切るミッションを帯びた救世主なのかも知れません。「まずは自分のところでこの連鎖を断ち切る」、そう思う。それだけで何かが変わってきます。



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・・・いかがでしたでしょうか?
『PHPスペシャル』8月号では、おふたりにまったく異なる3つの相談にお答えいただいています。こちらもあわせてチェックしてみてください!

 そしてなんと番外編も。「お悩み相談」安田登先生、特別編です!

お便りはこちら

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里中満智子(さとなか・まちこ)

1948年大阪市生まれ。「あした輝く」「アリエスの乙女たち」「ギリシア神話」など数々のヒット作を生み出す。登場人物一人ひとりの心の葛藤を丁寧に描くことに定評がある。持統天皇を主人公とした「天上の虹」を20年以上にわたり執筆中。


安田登(やすだ・のぼる)

1956年千葉県生まれ。高校時代、麻雀とポーカーをきっかけに甲骨文字と中国古代哲学への関心に目覚める。高校教師をしていた25歳で能に出会い、現在は能楽師のワキ方として活躍する傍ら、『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」を主宰。『あわいの力』(ミシマ社)など著書多数。

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