今月の特集1

『THE BOOKS』(ミシマ社)

『THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」』(ミシマ社)を発刊して、はや2年。
 日本全国365名の書店員さんのご協力のもとに、いろいろな伝説を生み出しながらなんとか完成した本著ですが(誕生秘話はこちら)、「はじめて知る本にたくさん出会えました」「旅先に持っていって、この本に載っている本屋さんめぐりを楽しんでいます」など、たくさんの嬉しいご感想が全国の読者のみなさまから届いています。

 そしてただいま、年末の刊行にむけて『THE BOOKS』の第2弾を絶賛制作中です!
 今回のテーマは、「中高生が本好きになる『この一冊』」。
 中高生のときに出会った一冊は、大げさでなく人生を変えると思っています。
 自身を振り返っても、そして多くの作家の方々が口をそろえて語られるエピソードからも、そんな本の力を実感します。
 一冊の本に出会うという絶対的経験。出会う前には戻れない、人生を決定づける一冊。
 そんな本に出会うきっかけの「一冊」になればという思いを込めて、制作を進めています!

 また、書店ガイドとしても楽しんでいただけるよう、第2弾は前回ご登場いただいた書店・書店員さんとは異なる方々にご登場いただいています。
 今回のミシマガでは、第1弾の『THE BOOKS』で登場いただいた東西の書店員さんをお招きし、「もし第2弾に登場するとしたらどの本を選ぶか」座談会を開催!(スカイプでつなぎました)
 本と本屋について、存分に語り合っていただきました。全2回でお送りします!

中高生が本好きになる「この一冊」!

2014.08.23更新


 前編では、「どうやったら中高生は本を読むようになるんだろう?」「おすすめ、どうしてますか?」などなど、ぐぐっと深いトークを交わし合いました。
 後編では、お集りいただいた書店員のみなさんに「私だったら、『THE BOOKS2』にこの本を選ぶ!」という「中高生が本好きになるこの一冊」を選書いただきました!


大盛堂書店・山本亮さん選

 『花咲家の人々』村山早紀・著(徳間文庫)

『花咲家の人々』村山早紀(徳間文庫)

 ストーリー的にはすごくシンプルなんですが、それぞれの世代が入り交じって描かれれているので、ぐいぐい引き込まれてしまいます。中学生ぐらいだと、小説ってなんだか難しそうなイメージを持っている子も多いんですよね。けれどもこの本を入口に、「小説っておもしろいんだなあ」と思ってもらえたら、そこから読書の幅が広がるんじゃないかなと。
 話は空襲で町が焼けたところから始まっていくのですが、そこからおじいさん、お父さん、子ども世代でどうなっていくのかという、人との入り交じりや、年月の立ち方を感じられます。
 そのほかにも、母性の喪失みたいなものも描かれていて、そういうところでも心に残る作品。人の生死や家族の関係に、小説を通して向き合うきっかけになる一冊だと思います。


(左)大盛堂書店の山本さん (右)ジュンク堂書店池袋本店の鎌田さん

ジュンク堂書店池袋本店・鎌田伸弘さん選

 『星々の悲しみ』宮本輝・著(文春文庫)

『星々の悲しみ』宮本輝(文春文庫)

 私自身が高校生ぐらいのときに読んだ本です。宮本輝さんの本は読んでる方も多いかと思うんですが、だからこそあえてこちらを薦めたい。
 「中高生におすすめ」と伺ってから、何がいいかずっと考えていたんです。はじめは『星の王子さま』や『ライ麦畑で捕まえて』のような、大人になる一歩手前の、なんだかアウトローな感じというか、「大人社会への反抗」を描いているようなものを上げたいなと思っていたんですけど、上記の作品だとあまりにもオーソドックスすぎるかなあと。素晴らしい作品であることに違いはないし、とても好きな作品たちですけどね。
 喫茶店の大きな絵を盗んだりするロンリーセサミの話や、なかなかお行儀はよくないものが多いんですが、それこそが寄り道しながら生きていく、大人に成っていくってことなんだ、と教えてくれるのではないでしょうか。


旭屋書店なんばCITY店・礒部ゆきえさん選

 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ・著(ブロンズ新社)

『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ(ブロンズ新社)

 絵本は、男の子がりんごを見ていて「これは本当にりんごなのか?」と想像を膨らませるところからはじまります。「もしかしたら魚かもしれない」「リンゴのなかはメカかもしれない」とか「梨になりたかったのに違っちゃったのかもしれない」「ボールになりたかったのに丸いしかあってない」とか......ほんとうに色々考えるんです。
 私自身、けっこう親の型にはめられて育てられてきたので、いろんな考え方をしてもいいんだよってことを、この本に教えてもらえる気がしたんですね。色んな想像するのって楽しいなって、みんな気づくんじゃないかなって。
 最近の若い子は想像力が乏しいとか、よく耳にしたり本で読んだりしますが、それだったらこういう本で、想像力へのあたらしい入り口を広げられるんじゃないかなと思いました。

恵文社一乗寺店・堀部篤史さん選

 『モダン・ジャズの楽しみ』植草甚一・著(晶文社)

『モダン・ジャズの楽しみ』植草甚一(晶文社)

 植草甚一さんをそんなに熱心に読んだってわけでもないんです。文章もちょっとクセがあって読み難いし、モダンジャズもすごく好きってわけでもない。けれど、オジさん的なことを教えてくれるんですね。
 オジさんは、親が教えないこと、たとえば麻雀や酒、レコードをたくさん持っていたりだとか、ちょっと自分が知らないことで、且つ勉強じゃないことを教えてくれる。親が教えたくないこともなかにはあるんですけどね。オジさんは背中で語ってくれる存在だと思うんです。
 この本の主役であるJJというオジさんは、49歳になって初めてジャズを知り、毎日10時間もレコードを聴いた。良さがわからないから、わかるようになるまで、全部で数百時間ものあいだずっと聴いてたんだそうです。

 そういうのは、今の知識や実用値の付け方とはまったく正反対ですよね。けれど、時間をかけたりお金を落とすのはムダかもしれないけど、そういうのを実際に買ったり、場所に行ったりすることで面白さがわかる。
 50歳にもなって毎日10時間も費やして、ムダなんだけど夢中になれることに真剣に打ち込む、ブレイクスルーっていうか、それこそ今の自分じゃないところに連れて行ってくれる手段を、オジさんの背中が教えてくれる。それが僕の原体験です。まあ内容は何でもいいんですよね。モダンジャズじゃなくても、ミステリーでも、何だってある。若い頃にこういう態度に触れることは、とても貴重なんじゃないかな、と思うんです。

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 いかがでしたでしょうか?
 編集部はもう既に、読みたい本がたくさんです。この冬に発刊予定の『THE BOOKS 2』、お楽しみに!

『THE BOOKS for the future 
~365人の本屋さんが選んだ中高生が本好きになる「この一冊」(仮)』
ご選書くださる書店員の方を募集しています!

『THE BOOKS』の第二弾は、
未来の本好きがいっぱい増える一冊にしたいと思います。

第1弾は、弊社の営業からご依頼させていただいた書店様にご執筆いただきました。
今回は、これはぜひとも、という方々に、
私たちとしてもぜひご参加いただきたく思っています!
何卒お力添えのほどお願いいたします。


【募集要項】

■対象
全国の新刊書店、古本屋さん、喫茶店、雑貨店等、書籍を販売しているお店の方
(前作『THE BOOKS』にご登場いただいたお店様、ご担当者様は、原則として対象外とさせていただきます。読者の方々に新たなお店をご紹介したく、ご了承ください!)

■選書について
・中高生が本を好きになるような、おすすめの一冊を選書ください。
(ただし、絶版本はご遠慮ください。また前作『THE BOOKS』ですでに選ばれているもの、漫画も原則として対象外としております)
・本が重複した際は、選書変更のご相談をさせていただく場合がございます。
予めご了承くださいませ。

■お願いしたい内容
・手書きのキャッチコピーと270字のおすすめコメント

■募集期間
・本日より2014年9月10日(水)まで

■応募方法
まずはご選書に応募いただける旨を、下記宛 もしくは弊社までご連絡お願いいたします。
追って、ご記入用フォーマットをお送りさせていただきます。
hatena@mishimasha.com

件名:BOOKS!
・貴店名
・お名前
・ご連絡先お電話番号
・FAX番号
・選書候補の本(書名、著者名、出版社名)

ご応募、心より楽しみに、お待ちしております。


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