今月の特集1

 9月17日、京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画のはじめての本『ヨーロッパ企画の本 我々、こういうものです。』が発売になります。

 1998年旗揚げから18年。『サマータイムマシン・ブルース』『曲がれ!スプーン』などの作品が映画化されたことでご存知の方も多いかもしれません。

 でも、劇団といっても、劇をするだけではないのがヨーロッパ企画のすごいところ。本公演はもちろん、映画の脚本を書いたり、本屋をしたり、映像作品を作ったり、役者さんが映画監督をしたり、はたまた発明まで!? ひとことでは言い表せないのがヨーロッパ企画なのです。

 そんなヨーロッパ企画の魅力をぎゅっと詰め込んだ『ヨーロッパ企画の本』について、メンバーの皆さんにお話を伺いました。現在絶賛ツアー中の第35回公演「来てけつかるべき新世界」、京都公演を間近に控えた劇場控え室より、全3回でお届けします。

(聞き手・構成:新居未希)

ヨーロッパ企画に聞く、『ヨーロッパ企画の本』(3)

2016.09.16更新

まだあった、ボツ原稿

土佐でも、ぜんぶ読むのんたのしみやなあ~。
永野ぜんぶ中身把握してんのは、諏訪さんと上田くん?
諏訪いや、僕もぜんぶは把握してないなあ。

―― 上田さんだけかもしれないですね。

上田そうかー。
土佐上ちゃん、短編書き下ろしたんでしょ。
上田書き下ろしました。そうそう、はじめはその短編を書き下ろして、それを途中でいろいろつないでいって、短編を軸にした構成にしよう、っていう話をしていたんですけど、それもなくなって。書いていきながら紆余曲折していって、全貌ができあがったという本なんです。でも、まとまりがありますよね。

―― はい。すごく良いまとまりだと思います!

上田本のサイズも、最終的にはA5サイズになりましたけど、もうひとまわり小さいサイズにしよう、って言ってたんですよね。

―― そうですね、はじめは四六判という、通常の単行本の大きさにしようかと言っていました。ある日コロッと変わりましたね(笑)。

上田だから、ミシマさんたちの中でもいろいろ考えながらやっていっている感じがしましたね。なんというか、本ってこんなに融通きくんやと思いました。僕らの劇もそうなんですけど、台本が先にあってというふうにつくっていくのが正統な劇の作り方だとしたら、僕らはよそでは怒られるような作り方をしているんですよね。なんか、出版ってそういうイメージじゃなかったんですけど、そんなこと全然なかったというか。

―― なるほど、それはたしかにそうですね。

上田あと、その短編戯曲ができるまでを大歳がレポートしてます。
土佐へー。上ちゃんが短編書いてるのを、大歳が見てるってこと?
上田大歳が横にいて、それをレポートするっていう企画です。
永野ええー! それは、でもそんな何か起きる? 起きたりする? ドラマ。
上田でもすごい名文ですよ、これ。アツい。
本多えー、アツいんや、それはちょっと楽しみやね。
諏訪あれ、大歳、小説も書いてなかった?

―― ......あ!

上田あー! それね、それはボツになりましたね。

―― すみません、そうです、ボツになりました。

土佐よっしゃぁ、仲間おった。
上田作り始めの初期の段階では、にっしゃんの自由コーナーを作ろうって言ってたんですけど、それがどんどんこう、形がかわっていって。
土佐じゃあけっこう、エチュード(即興劇)っぽく作っていった本ってことか。
上田内容はね、そうですね。



これ以外にも、酒井さんの発明品たちの紹介や土佐さんのラジオ語りなど盛りだくさんです。


第35回公演「来てけつかるべき新世界」

―― 今回の劇はどんな感じになりそうですか?

上田はじめは、ドローンとおっさんが戦う劇、というのを考えてたんですが、それだけだと劇にならんなということで、いろいろ足してたら、足しすぎてしまいまして。今までで一番長い劇になってしまいました。大長編というか。みなさんの感じとしてはどうですか?
石田いやちょっと......がんばろうと思ってますね、今回ほんとに。
上田あれ、ちょっとトーンが急に真面目に。
石田ヨーロッパ企画の新基軸というか。この先10年つづけるため、くらいな気持ちで上田が書いたと聞いたので、がんばらなあかんなと思ってますね。
本多真面目や(笑)。
土佐どうなん、新しいシリーズにいく一作目としては。
上田え、いいんじゃないですか? そんなことないですか? わりと楽しいというか...
土佐いや、うん、楽しい。
上田最近けっこう、トリッキーな劇が多かったから、今回はなかなか王道というか。
永野うんうん。
諏訪いや、コメディしやすい劇ですよ。舞台装置が。
土佐足場があるもんね。
中川いつも足場がないから。
本多舞台裏も、ここから行ったらこう出れるってわかりやすいもんね。

―― (笑)。

上田舞台、ってかんじですよね。でも屋根の上をメインにするか、地上にするか、迷ってたんですよ。
諏訪いや、屋根の上でせんでよかったよな、ほんま。
上田なので今回は、堂々たる長編です。



がんばりたい、という石田さんのことばを神妙な面持ちで聞くメンバー。


はじめての関西弁劇です。

―― 今回はじめて関西弁で劇をされるということですが、そのあたりはいかがですか?

上田永野さんがけっこう苦しんでるかんじですよね、あとは中川さんができた感じになってる......。
全員
中川なってないよ! そのいじり方はいかんわ!(笑)
上田永野さんと中川さんは、関西弁ネイティブじゃないんですよね。
石田僕も、僕もですよ。
上田あ、石田くんもか! でも石田くんはなんかいけてるんじゃないですか。
石田いや、僕も相当どきどきしてますよ。
上田石田と中川さんはクリアした感はあるんですけど、永野さんはね。
永野本番の当日、上田くんに「どっちでいったらいい? 関西弁をきっちりマスターすべきか、別にいいか」って聞いたもんね。
酒井本番の日に?
永野本番の日に。
酒井本番の日に、急にマスターできないでしょう!(笑)
本多それ、すでにマスターした人がいうやつや(笑)。
酒井どっちでもいけるけど、どっちがいい? っていうやつですよね。
永野上演した映像をみても、あんまり自分では違和感はもたんかったんやけど...。
石田映像をみて、他の人のやつを聞いてて?
永野うん。
石田耳が悪いんですよそれ。
上田それでも今回はね、石田とか永野さん、中川さんを、関西弁じゃない人にする、っていう設定にはしなかったから。
永野勢いはね、すごい増している気はしますけどね。
上田たしかに、台詞はすごいいつもより多いのに、上演時間もそこまでは長くないというか。ずっと台詞しゃべってますもんね。

―― 新世界、関西弁、おっちゃん、という要素だけを聞いていると、関西じゃないところでの反響は、どう想像されてますか?

石田うーん、ほんとに、わかんないですね。どうなんでしょうね。
上田そうですね、いろんな場所でみてもらわないとね。
石田まあでも、ミナミの帝王とか、関西の芸人さんが東京でも活躍されてたりしますから、違和感なく楽しんでもらえるんじゃないかなと思いますね。
上田そうですね。

―― 楽しみにしております!


編集部より・おまけ
 このあと、一足お先に、京都公演に行ってきました。ものすごく、いいです!
 これ、見なかったら後悔する、というかこの作品に出会わないなんてもったいないです、本当に。
 劇は関西弁ですが、きっと関係なく見れると思います。
 恐れずに(?)、ぜひ劇場に足を運んでみてください!
 そこはかとない幸福感に包まれるはずです。

ヨーロッパ企画第35回公演「来てけつかるべき新世界」

作・演出  : 上田誠
出演    : 石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成
        中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力
        /金丸慎太郎 藤井理子 福田転球
URL     : http://www.europe-kikaku.com/projects/e35/

東京公演 : 9月16日(金)〜 9月25日(日) 本多劇場
広島公演 : 9月29日(木) JMSアステールプラザ 中ホール
福岡公演 :10月 1日(土)・10月2日(日) 西鉄ホール
大阪公演 :10月 5日(水)~10月11日(火) ABCホール
四日市公演:10月15日(土) 四日市市文化会館 第2ホール
高知公演 :10月21日(金) 高知県立県民文化ホール グリーンホール
横浜公演 :10月27日(木)~10月30日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
名古屋公演:11月 2日(水) 名古屋市東文化小劇場



   

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ヨーロッパ企画

劇団であり、企画集団。旗揚げは1998年。一貫してコメディを上演し続けている。舞台のほかにも映像やイベント、その他活動は多岐にわたる。役者とスタッフがシームレスで、けっこう何でも作ってしまうのが特徴。

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