今月の特集2

 最近、ドラマやCMでもよく耳にするようになったクラシック音楽。身近にはなったものの、「クラシックに興味はあるけど、どこからはじめればいいかわからない」、「クラシックって敷居が高そう」と思っている方、結構多いのではないでしょうか?

 アルテス・パブリッシングでクラシック入門の扉をたたいたミシマ社メンバー。今日は、各々選んできた曲を持ち寄って、座談会です。クラシックのクの字もわからなかったメンバー達、果たしてこの座談会は成り立つのでしょうか?「クラシックを聴いてるとねむたくなります。」というジュニアの佐藤くん、実はクラシックが好きで、座談会の様子をこっそりうかがっていた営業ワタナベも途中から参加で、座談会のはじまりです。

参加メンバー:平田 赤穴 佐藤 渡辺

本を読むようにクラシックを聴いてみよう 第4回

2013.07.18更新

本を読むようにクラシックを聴いてみよう

自然に知りたくなっている

平田じゃあ、さっそくはじめましょうか。赤穴さんは何を選んできたんですか?

赤穴私は今日はふたつもってきました。まず一つ目はラヴェルという人の曲です。アルテスさんのところで、ボレロをきいたと思うんですけど、私、そのボレロを小学生のときに演奏したんですね。で、それですごく懐かしくなっちゃって、ラヴェルをもう1回聴いてみようと思ったんです。それで、他の曲ってどんなのがあるのかなって探してたら、スペイン狂詩曲っていうのがあったんです。それが、いい感じの長さでした。

平田ラヴェルって、スペイン人なの?

赤穴フランス人なんですけど、バスク地方の出身なんですね。なのでスペイン文化の影響が強いんです。アルバムのジャケットにも、闘牛士が描いてあるんです。音も、闘牛士っぽいところもあって、おもしろいです。ボレロのリズムもスペインのリズムって木村さんがおっしゃってましたよね。聴いてて、すごく楽しいんです。

平田ちょっと流してみようか。


♪ラヴェル「スペイン狂詩曲」

平田この前のお話をきいたことで、「あ、これいいな」とか「これはちょっと違うな」って思えるとっかかりができたような気がするよね。私が今回選んだのは、さっきの「スペイン狂詩曲」みたいに印象的な名前がついてるわけではなくて、それこそザ・クラシックっていう雰囲気の「チェロ協奏曲 ロ短調 第三楽章」っていう曲名なんだけど、前は名前だけで「難しい!ちんぷんかんぷんだ!」って壁を作ってしまっていたのが、すっと入っていけるようになったんだよね。

赤穴うんうん。

平田で、自然に作曲家のことも知りたくなる。どんな人がこの曲作ったんだろう? って。

赤穴そうですよね。

平田じゃ、早速流してみましょう。


♪ ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 第三楽章」

平田鈴木さんと木村さんに、低音がすきならチェロはいいんじゃないかってすすめられて、チェロの曲を探してみたんです。チェロのイメージって低い音でベースラインを弾いてるイメージだったのが、こんな風にメロディを奏でるとまた全然違う雰囲気になるんだなあって思いました。異国風というか。

赤穴わーっ、かっこいい!


フィンランド代表になったつもりで

平田赤穴さんはもうひとつもってきたんだよね?

赤穴はい、もうひとつはシベリウスです。フィンランド最大の作曲家って言われてるんです。

(渡辺登場)

渡辺さっきのドヴォルザークだよね?

一同あ、はい。

渡辺これはシベリウス?

一同えっ、渡辺さんクラシックくわしいんですか?

渡辺一時期聴いてたんだよね。世界史を勉強したのがきっかけで興味をもって。

一同えーっ! じゃあ入ってきてくださいよ~!(笑)

渡辺ボクはスメタナの「モルダウ」が好きなんです。シベリウスは「フィンランディア」が好きで、アイフォンにも入ってますよ。

平田あ、「フィンランディア」は今聴いてるアルバムに入ってる!

渡辺「モルダウ」でも指揮者がカラヤンとそれ以外のとじゃ全然違うんですよ。カラヤンは、華やかなんですよね。

赤穴カラヤンは華やかだから好まれるんですか?

渡辺うーん、なんか、きらきらしてる感じがするね。同じ曲でも違う指揮者だと全然違った音楽になる。聴き比べるとまた面白いです。

平田せっかくだから「フィンランディア」を聴いてみようか。


♪シベリウス「フィンランディア」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

赤穴フィンランドで最も親しまれている名曲だそうです。

渡辺例えば自分がサッカーのフィンランド代表になったつもりで、試合の前にこの曲を聴いてるって思うと、胸を張りたくなるような、そんな気持ちになるんだよね。

― 一同爆笑 

平田すごい聴き方をしてるんですね!

佐藤国歌以外にもこういう国民的に愛されている曲があるのっていいですよね。

平田「フィンランディア」って名前がかわいいから、かわいい曲なのかとおもったら、結構シリアスなんだね。

赤穴あ、でもなんか明るくなってきましたよ。そりで駆けてるみたい。

平田本当にクラシックって哲学書みたいだよね。「のだめカンタービレ」で有名なベートーベンの交響曲第7番をずーっと聴いてるんだけど、最初はまったくわからなかったのが、聴けば聴くほど好きになっていく感じがあります。2枚のCDを聴いてみたら、全然違うのもわかったりしました。

赤穴これだけ長い曲をたくさん聴いても、眠くならないのが自分でもびっくりです。

佐藤僕は今すごくねむいです...(後半からうたた寝をしていた佐藤氏)

赤穴この記事を読めば秘訣がわかるから!


 無事、クラシック入門の一歩を踏み出したミシマ社メンバー。あんなに壁をつくっていたのが信じられないくらい、クラシックへの見方ががらりと変わりました。決してお手軽ではないけれど、一歩は入るとそこには本を読むような楽しさが広がっています。クラシックって眠たい、難しい、と思っているみなさん、ぜひ本特集をきっかけに、自分の好きな曲を探してみてください。

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鈴木茂(すずき・しげる)

1960年東京生まれ。吉祥寺在住。
1984年、音楽之友社に入社。クラシック、ジャズ、ロック、ブルース、ソウル、ボサノヴァ、アフリカ音楽、レゲエ、アイルランド音楽などなどの雑誌・ムック・書籍の編集に携わり、2006年1月に退社。同僚だった木村と共同で翌年に株式会社アルテスパブリッシングを創業し、現在に至る。『みんなのミシマガジン』では「みんなのミシマガミュージック」を連載中。
Twitter:@suzukisgr


木村元(きむら・げん)

1964年京都生まれ。
音楽之友社で200点を超える音楽書を担当したのち、
2007年4月に鈴木茂とアルテスパブリッシングを創業。
おもにクラシック音楽関連書の企画・編集および総務全般を担当。
古い音楽と新しい音楽が大好き。
でもいちばん好きなのはスティール弦のギターの音。
日本音楽学会会員。
Twitter:@kimuragen

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