今月の特集2

 ミシマ社にはデッチと呼ばれる学生たちがいます。
 毎日のようにミシマ社に出入りしては、仕事のお手伝いをしながら、出版の仕事を傍で見ています。でも・・・
 「他の業界や他の仕事場にも行ってみたくない?」「どんなオフィスで働いてるんだろう」ある日、私たちデッチのなかで、そんなふうな声があがりました。
「なら、実際訪問してみよう! いろんな会社でお話を伺おう!」
 ということでこの企画はスタートしたのです。

 そこで、当時ミシマ社に住み込んでいた旅人・元デッチのユーダイ(現在また旅に出て行きました)が、名前をあげたのが「男前豆腐店株式会社」さん。
ユーダイ 「いやあ。おれ、昨日豆腐買ったんですけど、レシピがあるってことで、パソコンの音量を最大にしたままホームページ飛んだらちょっと凄いのが出てきたんです。」
(ちなみに、これです............。)

シンタニあー。男前豆腐! 私すごい好き! あの豆腐、ほんと美味しいんだよね~~!
ユーダイあの、本社は京都にあるらしいんで行ってみたいんですけど、無理ですかねぇ

 ダメ元で「男前豆腐店株式会社」さんに依頼のメールを送らせていただいたところ・・・なんとご快諾! しかもその日はたまたま社長さんもいらっしゃるということで、なんと社長自ら私たちとお話していただけることになりました。
 男前豆腐といえば、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」や「ケンちゃんシリーズ」など一度見たら忘れられない独特のお豆腐を作られている会社です。しかもこのお豆腐、どれもほんとに美味しいんです! こんなに面白くて美味しいものを作り続けてらっしゃる男前豆腐店というのは、いったいどんな会社なんだろう。

 当初の企画ではオフィスの話を伺おうと思っていたのに、話はどんどん脱線。現在でももがきながら豆腐業界を生き抜いていかれている熱いお話へ...。そして、私たち若者にとって、とっても勉強になるおはなしが次々に出てきたのです。話してくださったのは、社長の伊藤ジョニー信吾さんと、ジャーマネの中井チャールズ由人さん。
 え、ジョ、ジョニー? チャールズ・・・? そのあたりの話もついでに詳しくお聞きします。

(聞き手:新谷有里・宮川裕大 文:新谷有里)

デッチのオフィス訪問!〜男前豆腐編〜

2013.08.12更新


ジョニーがいて、チャールズがいて、ゴンザレスがいる。

 広報担当のチャールズさんにご案内いただき、わたしたちは京都府南丹市にある男前豆腐店の本社にやってきました。

――あのう・・・私たち本当に今日緊張しているんですけども。社長さんまで来られるだなんて、上手くいくのか...不安です。

チャールズえ? そうなんですか? いつもうちに来てくださる方は、「うわ~なんか肩の力抜けますね」なんておっしゃりますよ!

 そんな私たちの不安をよそに、まず本社の出入り口で出迎えてくれたのは.........ジョニー像。ばーーん。

デッチのオフィス訪問!〜男前豆腐編〜


...風に吹かれたジョニーが...。これは、背中側が正面になっています。男は背中で語る。わざわざこれを写真に撮るためにここまでやって来るマニアの方もいるらしい。うん。納得! (ちなみに「男」の字が少し違うのは、縦に一本筋の通った「男」なんだそうな。)


――改めまして、今日はよろしくお願いします。

中井男前豆腐店の広報担当、中井チャールズ由人と申します。

伊藤こんにちは。伊藤ジョニー信吾です。今日は来てくださって嬉しいです。

――あの、このお名前は...ミドルネームかなにか......?

中井そうですよ。社長がよく呼ぶ人間だけですが、社長が付けています。

伊藤チャールズ皇太子がよぎったんだよねえ、彼を最初に見たとき。だから記事にするときも、名前はミドルネームで掲載してね。

――はい(笑)。わかりました!

デッチのオフィス訪問

ジョニー大上部長はゴンザレスっていうんだよ。ゴンザレスって顔なんだよね、これが。

チャールズ僕は、海外に出張に行ったら大体チャールズとしか呼ばれません。

ジョニーいまや、彼らはカレンダーにも年賀状にもなるし、それを取引先に送ったりもしますからね。彼らが行けば「あ、チャールズ来た、ゴンザレス来た」ってなるんだよ。だからむしろOKなんですよ。俺らも営業部とかは顔売っていかなくちゃいけない仕事だから。

チャールズただクレーム対応とか、謝りにいかなきゃいけないときとかは、ミドルネーム無しバージョンの名刺でいきますよ。

――(笑)。

チャールズでも今まで95%以上こっちのふざけた方の名刺しか使った事ないです。


広告をバンバン出しているわけではないですよね?

――今回は、こんなわけのわからない学生だけが訪れるという取材を快諾くださり、本当にありがとうございました。

ジョニーミシマ社さんってどこだろうと思ってホームページを見たら、見た感じでほんとに新しい、若い人たちがやってるんだなあっていうのがわかったのでね。だから今回の取材は、きちんと受けさせていただこう、と。

――本当にありがとうございます。

ジョニー俺たちはほんとに過酷な製造労働業なわけですよ。だからそこで、普通にやっていても給料もなかなか良くないし、そんな豆腐屋さんっていう仕事の中でこの部分だけでも楽しくならないかなぁと思っていじっていたのが最初だから。

チャールズイラストを描く人はいるんですが、そのほかのデザインの部分、コンセプトとか、字面とか、こういう形でいこうとかいうのは全部社長が考えているんです。だからちょっと独自な感じが出るんですね。デザイン会社さんに頼むと、かっこよすぎる感じになってしまう。

ジョニーそもそも自分たちでやった方が、広告宣伝会社に払うお金を考えたら全然安いんですよね。絵を描いてもらってるだけだから、何十万もとられるわけじゃないし。仕掛けがものすごい低コストだよね。元々お金がなかったから広告代理店には頼めなかったわけだけど、そんなら自分たちでやりましょって。

――広告とかをもバンバン出してるわけじゃないですよね。

ジョニー全然ないねえ。

チャールズでも、BMWさんや月桂冠さんなど企業とのコラボレーションのおはなしをいただいたりはしています。それが宣伝にもなりますし。先日BMWさんからお話をいただいて生まれたのは「ケンちゃんMINI」です。うちの商品にもなっているキャラクターの「ケンちゃん」と、車のMINIがコラボしています。販売車じゃないんですけど、試乗車としてBMWの試乗イベントで展示しています。

――豆腐屋さんなのに、MINIとコラボですか!? これはBMWさんの方からお話があったんでしょうか?

デッチのオフィス訪問

チャールズそうです。向こうからです。デザインをうちの一任で頼まれて社長やイラスト描く人とかと相談しながらつくりました。はじめ、BMWの日本の方は、ケンちゃんのイラストなしで、「男前豆腐店」の文字だけでシンプルにいきましょうと言われていたんです。けれど、上のドイツの方は「いや、このイラストがないと駄目だ」と言って下さって。気持ちをわかっていただけましたね。

――す、すごい! そのときも、コラボ豆腐を作られて。

チャールズそうです。やっぱり豆腐がないと面白くないですから。ケンちゃんが車に乗ってハンドル握ってる豆腐を作りました。
 あとは先日、音楽バンドくるりさんが主催されている「whole love Kyoto」というイベントにも出店させていただきましたし、毎年七月には夏フェスの「京都大作戦」に初年度から出店しています。この京都大作戦では、「京都大作戦冷奴」というのを毎年作っていまして。その一日の為だけに特別に作ってる豆腐があるんですよ。

――え!? この日のために、豆腐そのものがオリジナルなんですか?

ジョニーこれは、ほんとに祭りだから。

チャールズ全然値段合いませんが、そこは度外視でね。「京都大作戦冷奴」はこの日のためだけの特別なやつです。暑い時に強烈にうまい冷奴を食べさしてあげようと。しかもびっくりするくらい安いですよ。100円でジョニポンっていうポン酢を小袋でつけています。

――お祭りやフェスっていうとむしろ、普通よりも高い気がしますが......。

チャールズふふ。その日は長蛇の列になりますよ。最近はフェス飯って呼ばれるようにもなってきています。

――その日のイベントのために、新しい豆腐を作るだなんて、びっくりです。

チャールズでも、やっぱりお客さんにそういう日頃からない特別な物を出してあげるとテンションあがるだろうと思って。パッケージだけ変えてとかは他の所もあると思いますが、うちのようにオリジナルで作るというのはあんまりないと思います。

ジョニー祭りだからね。でっかいジョニー像を立てて出店しているから、遊びにおいでよ。

――でもたしかに、男前豆腐店さんっていうと、そのパッケージの奇抜さや、ホームページなんかから面白い会社だなあってところが目立つのですが、何よりもやっぱり豆腐が美味しいんです。そこが本当に第一なんですよね。

チャールズもちろん。おっしゃっていただいたようにうちは、ちょっと表はふざけたりしてますけど、基本90%以上中身で勝負しています。どれだけ外をがんばっても、中身が駄目だったら絶対に次がないので。中身だけやってたら良いかなぐらいの感覚です。

(まさか豆腐屋さんがMINIとコラボすることもあるだなんて、本当に驚きです。それでもやっぱり、勝負していくのはお豆腐で。当たり前だけど、それってとっても大切なことなんだと思います。明日は、社長がいま向き合っている問題について。そして、これから働いていく若者に向けての言葉が熱いです!)

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