今月の特集2

 「自分が食べる肉は自分で調達したい」。千松信也さんは、あるときこう思い立ち、猟師になりました。
 『みんなのミシマガジン×森田真生0号』のフェアを某書店さんで企む私たち(独立研究者の森田真生さん、代表のミシマ、新人タブチ)は、この言葉に影響を受け、思ったのです。
 「自分たちのフェア素材は自分たちで調達したい」と。
 そこで、無理を承知で千松さんにご協力を依頼すると、「うちの裏山でよかったら」、とまさかの快諾! こうして3月中旬、花粉吹き荒れる、京都の北の山へと私たちは向かいました。

(文:田渕洋二郎、写真:中谷利明)

けもの道を行く! 森でみつけた0

2016.04.05更新


 昨日は、千松さんとともに歩いた、けもの道の様子をお伝えしましたが、本日は、森でみつけた0、そして、素材調達の様子を簡単にご報告します。


0について


 森田さんの著書、『数学する身体』では、「0までの道を探求した岡潔」と、「0からの道をつくっていったチューリング」が対比的に描かれています。そして驚くべきは、けっして一冊の本のなかで語られることのなかった20世紀を代表する2人の数学者が、「0」によって結びついたことです。

 また、千松さんは狩猟生活を、森田さんは学問を、ミシマ社は出版を「0=原点」に立ち返って、やり直そうとしています。そしてここでも「0」によって結びついたわれわれがこの数字に託したものは、そこからは何も生まれない「無」ではなく、「その0の先にあるなにか」ということです。
 このように、「0」に関心を集めて山をもう一度見てみると、そこには「0」があふれていました。


 もちろん、けもの道を感じつつ、森の0を探しつつも素材集めは忘れません。
 「おお!」というものを、ひたすら往復して運びます。



探す



運ぶ



採る



運ぶ



骨!


 木の皮や、岩、きのこ、コケ、さらには動物の骨まで......。最後には敷き詰める落ち葉を集めてフェア準備素材、調達完了です!

 こうして集めた素材で、書店にいったいどんな「けもの道」が出現するのでしょうか...。これまでにない画期的なフェア。どうぞ、お楽しみに!


【森田真生×千松信也 書店のなかのけもの道】

場所:MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 2階踊り場スペース
期間:5月9日(月)〜6月中旬


  

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千松信也(せんまつ・しんや)

1974年兵庫生まれ、京都在住、猟師。
京都大学文学部在籍中の2001年に甲種狩猟免許(現わな・網猟免許)を取得した。伝統のくくりわな、無双網の技術を先輩猟師から引き継ぎ、運送業のかたわら猟を行っている。鉄砲は持っていない。著書に『ぼくは猟師になった』(新潮文庫)、『けもの道の歩き方』(リトルモア)。狩猟にまつわる講演等も行う。

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