今月の特集2

 ひとり暮らしも3年目になるミシマ社最若手メンバー・タブチ。自炊をしようとレシピ本を買うも、材料の分量を量るのが面倒くさかったり、レシピ通りに作ってもなぜか美味しくなかったりと、すぐ挫折。
 もっと雑に作れて、美味しい料理はないのか!

 そんなことを思っていたところで、ふと、ミシマ社京都オフィスでお弁当を頼んでいる、ご近所の台湾料理屋さん「微風台南」の料理を思い出しました。大胆かつ豪快な盛り付け、味も抜群。そして何より、「自分でもできるのでは」と錯覚してしまうほどのシンプルさ。
 聞けば、店主の平岡さんも、台湾の屋台の豪快さやシンプルさに惹かれてお店を始めたそう。今回の特集では、そんな平岡さんに教えていただいた、料理の得意ではない人でも挫折しないようなレシピを紹介します!

 店主へのインタビューも合わせて2日間でお届け。料理嫌いの方、大雑把な料理が好きな方、必見です!

(聞き手、構成:田渕洋二郎)

微風台南・店主が教える 単純、豪快、台湾屋台飯!(2)

2017.06.07更新

では、いつもよくお弁当で頼んでくれている「焼肉飯」からいきましょう。これもすごく簡単。タレをつけて焼くだけです。



肉は、焼けたかどうかを確認するために何度もひっくり返してはいけません。じっと待って、時が来たら1回だけひっくり返すのがポイントです。 



ふむふむ、焼肉の極意ですね。そして、こんなに簡単にできるとは...。


さすがにお店ではもう少し手を加えていますが、このレシピでも十分美味しいです。最後は、カレーに挑戦してみましょう!



おお! お店のカレー大好きです。気になります。


まず発想の転換が必要で、カレーを「ルー」と考えるのはやめましょう。じっくりコトコト作るんじゃなくて、その場でジャッと作る。極論、油に味をつけたものと考えてもらって大丈夫です。



そんなこと言っていいんですか(笑)。さっそくやってみましょう!



野菜はなんでもいいです。すぐ火が通るものだったら、キャベツとか、白菜とか。人参とかジャガイモも千切りにしたらすぐ火が通りますね。お店でも、注文を受けてからルーを作っているのですが、5分くらいでできます。



わお! カレーってそんなに短時間で作れるものなんですね。というか、どのレシピも最初の「ラード飯」とそんなに変わらないくらい簡単に作れるのがすごいです。


そうですね。実はラード自体も簡単に作れるんですよ。しかもラードを作る工程で、肉、スープも同時にできるから、一気に3つの素材が自然とできちゃう。


ラードって自分で作れるものなんですね。教えていただいたレシピ、作ってみます! ありがとうございました!


最後に店主・平岡さんへのインタビューをお届けします!

「微風台南」を始めた理由

―― こちらのお店はどういう経緯で始められたのですか?

平岡台湾に興味をもったのは、10年くらい前に書道用品の会社に勤めて、それでよく出張で行っていたのがきっかけですね。

―― もともとはサラリーマンだったのですね! 

平岡はい。それで出張中に、屋台で料理作っているところをじーっと見てると、彼ら、すぐ料理の作り方を教えてくれるんですよ。そこでかなり覚えたので、もうお店できるなあって。それで、このお店の前にアジア料理屋を始めて、でもそのうちアジア料理屋さんがたくさんできたんで、台湾料理屋をすることになりました。

―― フットワークが軽いです...!

平岡そうかもしれないですね。あと、たまにネットで「台湾人夫妻がやっているお店」みたいな紹介をされるんですが、僕も家内も日本人です(笑)。


新鮮ではなくなってからが勝負。

―― 失礼ながら、僕も初めてお会いしたときは台湾の方だと思っていました...。

平岡そうですか(笑)。僕は実は祇園の鍋料理屋の家に生まれたんです。でも小さい頃から日本料理の「綺麗に整えられた盛り付け」とか、「新鮮さ」とか「素材の味」とかにはあまり興味がなかった。台湾料理の豪快さに憧れたのは、その反動もあったかもしれません。

―― なるほど。

平岡とれとれの野菜とか、新鮮な魚を切って出す、こんなの美味しいに決まってるじゃないですか。でも本来、料理って「使うの忘れてて冷蔵庫で死にかけていた食材」とかをいかに美味しいものにできるか、これが大切だと思うんです。そもそもそういうところから始まったものだと思いますし。どんな素材だったとしても調味料とかを駆使してなんでも美味しく食べる。

―― 本当にそうですね。ちなみに普段は何を食べていらっしゃるんですか?

平岡となりのファミリーマートで買って食べてます(笑)。あとたまに「なか卯」に行くと、家内は喜びますね。でも考えてみたらチェーン店ってすごいんですよ。そこらへんの兄ちゃんが作っても美味しいってのはすごいことですよね。それだけ、研究され尽くしていて、ある種、「食の粋」が凝縮されている気がします。

―― たしかに! 僕も「なか卯」はよく行きます。

平岡昔、何かの雑誌で「店長の行きつけの店をつないでいくリレー連載」のような企画があって、マクドナルドって言ったら、そこで連載が終わっちゃったこともありました。


料理と文学

―― そんなことも...。そういえばこちらのお店、本がすごいですよね。

平岡本が好きなんです。住んでいる家の本棚には収まらなくなって、この店においている本もある。この店の建物は、大正時代に建てられているので、選書もなんとなくその時代に合わせています。

―― おお、すごい!

平岡草野心平の詩が好きですね。富士山や蛙を書いた作品が有名ですが、詩だけでは食べていけなくて、実はバーもやっていたんです。名前は「火の車」という(笑)。

―― 名前(笑)。

平岡彼の作品の中で、料理のことが書いてある詩があって、それが好きですね。あとは檀一雄も好きです。彼も小説家でありながら、料理人でもある。『檀流クッキング』が有名ですね。実はあれから着想を得て作ったメニューもあるんです。そのレシピもまたの機会に教えますね。

 

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