ある日の数学アナ

第32回 その肌荒れ、花粉症?

2012.03.16更新

今月は東日本大震災から一年という節目をむかえ、
色々な思いが交錯した方も多いことと思います。
自分を振り返ってみると正直なところ、多くを考えすぎてかえって何も言えない
というような部分があったことも確かです。

とくに震災後は原発をどうするのかという問題も絡んできてしまった。
人によって考え方もスタンスもあまりに違いすぎて、ものごとをシンプルに考えるのが
以前にも増して難しくなったように思う。

でも震災のあるなしに関わらず、前から決めていること。
それは
「生きたくても生きられなかった人たちに恥ずかしくないよう
 自分に与えられた命を一生懸命に生きよう」

極めてシンプルな方法だけれど、これからも前向きにいきたいと思っています。


さてさて。
季節はうつろうもので、東京は少しずつ暖かくなってきて、
春の訪れを感じられる日も増えてきました。
周りにはついに花粉症を発症してしまったという人もいて
いつ自分もこの現代病に襲われるのかと思うとびくびくしてしまう。

・・・というのが、去年までの私でした。
なぜ過去形なのか。

話は一年前にさかのぼる。
一年と少し前、2月の終わりくらいから激しい肌荒れに悩まされていた私は、
とある皮膚科に駆け込んだ。
いつも通っているところではなく、いわば急場しのぎであった。
荒れていた場所が顔だったため、藁にもすがる思いで
その医院で処方された薬を熱心に塗り、これで治りますようにと祈るような気持ちでいた。

ところが一週間経ってもいっこうに良くなる気配がない。
気配がないどころか、事態は悪化する一方だった。
当初は一部が乾燥し、赤くなる程度の軽い症状だったのに、
見る見るうちに顔中が火傷を負ってしまったように真っ赤になってしまった。
何もしていなくても火照っているし、腫れてしまっているせいで目もつぶり気味。
自分でも気になってしまってとにかく人前に出るのが辛かった。
この時ばかりは、どんなことがあっても人前に出なくてはならない自分の仕事を呪った。

ただ、目に見えていつもとは違う症状が出ていると、人は心配してくれるのが世の常だ。
「顔、大丈夫ですか?」
でも、そんな風に声をかけられることさえ苦しかった。
「頼むからそっとしておいて、見なかったことにして」
そんな心境だった。

小さいころ「アトピー性皮膚炎」と診断され、肌の弱い私は、
どうしてもちょっとしたことで肌が荒れてしまう。
顔に少し赤みが出てしまう時もあれば、夏場に汗をかいて自らの汗の成分に反応してしまい、
猛烈な痒みが襲ってくる。そんなこともある。
しかし、顔全体が赤く腫れあがって火傷を負うほどの状態にまでは
なったことがなかった。
自分史上最悪の状態になり、しかもそれが少しも治まる気配がなく
日々進行形であるという事実にいてもたってもいられなくなり、
ついに皮膚科をいつもの医院に戻した。
すると、驚くようなことを言われた。

「今すぐ、塗っている薬を使うのをやめてください」

驚天動地とはこのことだ。
効くはずだと信じて塗りまくっていた薬にかぶれているというのだから。
すぐさま元の薬を使うのをやめ、新しい薬に変えた。
すると見る見るうちに火傷のような火照りが消え、症状は改善。
一週間もしないうちに元の状態に戻った。

話が脱線するうちになぜこんな話を始めたのかを忘れてしまうところだった。
いったいなぜこの話をしたのかというと、
そもそもの肌荒れを私は花粉のせいだと思っていたからなのだった。

昨今、花粉が原因で眼の周りがかぶれてしまったり、カサカサとした状態に
なってしまう人が増えているらしい。
ただでさえ自分は肌が弱いのだからきっとそうに違いない。
そう思っていた。
そこで、皮膚科で改めてアレルギー診断をしてもらうことにした。
するとなんとこれまた驚きの結果が出た。

体内にどれだけ花粉が溜まっているかを示す値は、
ほぼ「ゼロ」だった。
花粉症を発症している人の場合はその数値が1000を超えるなど、
異常に高い数値を示しているという。

花粉症になるか否かを示すのによくバケツのたとえが使われる。
人それぞれにバケツを持っていて、そのバケツがアレルギー物質で
いっぱいになってしまうと問題物質に反応するようになってしまう、とか。

で、今回の私の検査結果「ほぼゼロ」は花粉症である可能性はまずない、
ということを意味するらしい。
言ってみれば、私のバケツには花粉がまだ数滴くらいしか
溜まっていないということらしいのだ。

まさかのまさかな結果であった。
そんなわけで今年も多くの花粉と戦う皆さんにエールを送りつつ、
自分のバケツの大きさに誇りを持っている私なのであります。
案外、バケツに穴が開いているだけだったりして・・・
もしそうだったら、ちょっとがっかり。

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倉野麻里(くらの・まり)

テレビ東京アナウンサー。理工学部数学科を卒業した後、放送局アナウンサーという一見、数学とは縁のない世界に飛び込む。仕事は十二分に充実しているものの、数学、数字には触れない日々。「モノタリナイカモ…」。離れてみてわかった数学への愛。いや、数学への一方的な愛!!数学への偏愛から見える日常のあれこれを語る。
KYOTO的の人気連載「くらまりの日々是数学」をタイトル改め、本誌で新連載。

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