『THE BOOKS』通信

「紙を通して、ユーザーのみなさんと、もっともっと交流したい」
そんな思いを込めて、王子ペーパーライブラリーでは、紙に関するさまざまな企画展を開催しています。

現在開催中の第25回企画展「Scramble」において、特集展示のひとつとして、ミシマ社の活動についてご紹介いただいていて、そのなかで『THE BOOKS』を大きく取り上げてくださっています。

今回の取材では、企画展の模様と王子ペーパーライブラリーの活動を中心にお話を伺いました。

(取材・文:足立綾子、写真:林萌)

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

2013.01.15更新

「みなさん、遠慮せずに入ってきてください!」

今回、取材に訪れた王子ペーパーライブラリーの場所は、まさに銀座の一等地。松屋銀座本店のすぐ脇にある松屋通りを入っていくと、右手に見えてくる王子ホールディングス本館の一階にあります。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

王子ホールディングス本館の入口


ぱりっとスーツを着たサラリーマンの方々が行きかっているので、はじめて訪れる方は、入るのをちょっとためらってしまうかもしれません。実際に建物の外から展示の様子を窺うお客さまもいらっしゃるとか。
ですが、どうぞご心配なく。遠慮せずに入ってみてください!

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

広々としたロビーの右手にあるのが、王子ペーパーライブラリーのスペースになります。
今回の第25回企画展には三つの特集展示があり、ミシマ社の展示は「2」の左側のコーナーにて展開されています。では、実際に展示を見ていきましょう。

"つくる・おくる・とどける"という出版社としてあたりまえの営み

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

「ミシマ社のほがらかな革命」というキャッチコピーがついたパネルのなかで、
ミシマ社が掲げる"原点回帰の出版社"という出版活動のテーマについて、
「それは奇をてらった方法ではなく、"つくる・おくる・とどける"という出版社として、ごくあたりまえの営みでした。」と的確に表現してくださっています。

ここでは、「小さな総合出版社」を標榜するミシマ社のさまざまなジャンルの本をご自由にご覧いただけます。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

次のコーナーのパネルには、ミシマ社の出版活動の核となる流れ"つくる・おくる・とどける"について、代表の三島、営業チームの渡辺、仕掛け屋チームの林がそれぞれ寄稿した言葉が添えられています。さて、三人は、どのような思いで、日々仕事をしているのでしょうか。ぜひ、会場でご覧ください!

また、ここでは本が刊行するたびに手づくりしているポップも展示しています。
一冊入魂してつくった本を、読者さんに届けやすくするツールとして、欠かせない手書きのポップ。毎回、キャッチコピーやデザインを悩みぬいて制作し、全国の書店さんにお届けしています。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

最後のコーナーでは、『THE BOOKS』の執筆にご協力いただいた全国365軒の書店名を都道府県別に大きなパネルにまとめていただきました。当初の予定では、日本地図のサイズがもっと大きく想定されていたものの、どんどん小さくなってしまったそうです。一枚のパネルにおさまった365軒もの書店さんの数に圧倒させられます。

書店さんと一軒一軒、直接取引をしているミシマ社。そんなミシマ社と書店さんの"顔の見える関係"に支えられたゆるやかなつながりを象徴するような本だからという理由で、今回の展示で『THE BOOKS』を大きく取り上げてくださったそうです。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

また、教文館、山下書店東銀座店、三省堂書店有楽町店など、王子ペーパーライブラリーから歩いていけるご近所の書店さんを地図にまとめて、ご紹介いただいています。展示で気になる本がありましたら、書店さんでお買い求めいただけたらうれしいです!

王子ペーパーライブラリーが開館した経緯とは?

2006年11月に開館し、今年、活動7年目を迎える王子ペーパーライブラリー。
開館に至ったのは、紙についてメーカーから独自に発信しなければならないという思いからでした。

その背景には、代理店、卸商、印刷会社を経由する紙の販売形態上、メーカーである王子製紙さんにエンドユーザーの声が直接届きにくいことがありました。どの用紙がどのような本に使われているか、また、どのような紙が人気なのかなど直接知る機会はなかったといいます。

そこで、本づくりの現場はどういうところなのだろうと、300名ぐらいの関係者を訪問。紙の情報が伝わらず、見本帳さえもどのように入手したら良いかわからないなどの現状を知り、王子ペーパーライブラリーの活動の方向性をだんだんと固めていきました。

そこで、王子ペーパーライブラリーでは300種類もの紙のサンプルを無料で自由に持ち帰ることができるようにしたり、紙サンプルを入手して終りではなく、常に足を運んでいただくために企画展をはじめたり、紙の豆知識をまとめた冊子をつくったり・・・来場者からの質問に答えることでコミュニケーションを取り、ユーザーとメーカーの距離を縮めて、もっと紙のことを知ってもらうような試みを続けています。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

展示の下部の棚に収納されている紙のサンプルは、自由に持ち帰ることができます。紙を購入したい場合は、簡単に検索、選定、購入(しかも1枚から!)することができる、紙の情報提供・販売サイト「Papermall」(国際紙パルプ商事株式会社運営)のご利用がおすすめです!


イチオシの紙は、アドニスラフ!

ちょっとマニアックな紙の話になりますが、『中国でお尻を手術。―― 遊牧夫婦、アジアを行く』の本文用紙として使用している「OKアドニスラフPink」。これは、デザイナー訪問を重ねるなかで、本文用紙は濃いクリーム色だけでなく、色があったほうがいい」というデザイナーさんからのアドバイスをうけて試作。好評を得て製品化されたのだそうです。

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

現在、クリーム色のOKアドニスラフ80、75、70に加え、OKアドニスラフW(ホワイト)・Pink・Blueの色展開もある「OKアドニスラフシリーズ」。『中国でお尻を手術。』の装丁を手がけた寄藤文平さんは、"アドニスラブ!"と公言するほど愛用しています。


独特の風合いが楽しめる「OKアドニスラフシリーズ」、とくに「OKアドニスラフPink、Blue」は、王子ペーパーライブラリーを通じ交流して生まれた紙ということもあり、担当者イチオシの紙だそうです!

今回の取材では、王子製紙の屶網さん、高尾さん、王子マテリアの宮田さん、国際紙パルプ商事の濱中さんにご協力いただきました。紙を愛する人々による会社、部署を超えたプロジェクトチームで王子ペーパーライブラリーは企画、運営されています。紙好きの方にはたまらない空間が広がっていますので、ぜひ一度お立ち寄りくださいませ!

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

(左から)宮田さん、高尾さん、濱中さん、屶網さん。通常業務の傍ら、王子ペーパーライブラリーの企画ネタを収集しているそうです。


王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(4月4日まで)

王子ペーパーライブラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座4-7-5
王子ホールディングス株式会社本館1階 ※地図
電話:03-3563-4816(王子製紙株式会社洋紙技術部)
営業時間:9:00~17:00
休館日:土日祝日 ※入館無料

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[取材こぼれ話①]

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

王子ペーパーライブラリーで、
久しぶりに再会した「ENバインディング」で製本された本。
いろいろな思い出が瞬時に蘇えってきました。

「ENバインディング」とはなんぞや? と思われた、あなた!
こちらの記事をご覧ください。

[取材こぼれ話②]

第11回 [番外編]王子ペーパーライブラリー 第25回企画展「Scramble」(2012年12月10日~2013年4月4日)

今回の取材ではじめて知ったのですが、
その昔(1961年)当時の王子製紙役員の方が、欧州視察の際、
たまたまロンドンで食べたスモークサーモンに感銘をうけて、
帰国後、試行錯誤の末「王子サーモン」を立ち上げ、製造をはじめたのだそうです。

王子サーモン銀座直売店が、王子ホールディングス本館の斜め前の交差点にあります。
お土産に買って帰ったのですが、コクがあって、とてもおいしかったです。
王子ペーパーライブラリーとあわせて、ぜひ!

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ミシマ社 編(みしましゃ)

『THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」』

ミシマ社と本書について……

ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。現在メンバーは7名。全員全チーム(編集・営業・仕掛け屋)の仕事をするというスタイルで、東京・自由が丘、京都府城陽市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。

本企画は、ウェブ雑誌「平日開店ミシマガジン」の「今日の一冊」にご協力いただいた書店員さんを中心に、新たに「どうしても届けたい一冊」を選書してもらい、手書きのキャッチコピーと紹介文をそえて構成した。本書に登場する書店のMAPを巻末に掲載。


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