第1回
ついに走り出した「一冊!取引所」
2020.05.22更新
「一冊!取引所」プレオープンしました!
出版社と書店をつなぐ新しいクラウド型受発注サービス「一冊!取引所」が、いよいよ始まりました。2020年4月よりプレオープンしています。(運営:株式会社カランタ)
このシステムを通して、参加出版社と書店は、楽しく簡単に書籍の受発注をすることができます。一般読者の方も、参加する各社のプロフィールや書籍情報などを写真付きでご覧いただくことが可能です。
書店から読者まで「こんな本あったんだ」「この出版社の本、面白いな」「近所にこんな書店が!」などなど、これまでになかった本や書店との出会いを楽しめる場にしていきたいと、開発チーム一同、日々励んでいます。
というのも、ミシマ社はこの「一冊!取引所」の共同開発をおこなっているのです。なぜ新しいシステムの開発をするのか? その思いや理念については、代表・三島によるこちらの記事をご覧ください。
で。社内で三島から「新しいシステムをつくるどー!」とはじめて聞いたのは、たしか2018年の秋ごろ、だったでしょうか。
いまから遡ること13年前、最古参兵・ワタナベが入社した2007年から自社営業体制をスタートしたミシマ社。その際、三島とワタナベが急ごしらえで構築した流通・販売管理システムを、この間、ずっと使い続けてきました。
社内でガラパゴス的に使い続けられたこのシステムは、気づけば「ワタナベ城」と呼ばれるほどに、外からはどうなっているのか皆目わからない=要塞化を遂げていたのでした(詳しくはこちら)。
ITテクノロジーがここまで進化したのに、アナログの職人技に支えられる運用体制・・・。こりゃなんとかせんといかんということで、はじめは自社のシステム革命を起こすべく考えられていた模様。しかし、どんどん三島のなかであっちとこっちとそっちがガシャーンとつなぎ合わされ、まずは「一冊!取引所」をやるべ、ということになったようです。
(なったようです、と他人事のように言っているのは、これを書いている私・アライがちょうど産休中の出来事だったから。職場復帰後、怒涛の勢いで進むシステム開発の荒波にいつの間にか巻き込まれていったのはまた別のお話・・・)
ミシマ社メンバーでは三島のほかに、上記の最古参兵ワタナベ、IT会社から転職してきたというミシマ社では異色の経歴を持つモリ、ビジュアル面にしつこいアライを中心に動いています。
このページでは、その裏側についてどどーんと綴っていく予定です。
で、ワタナベ城はどうなったの?
要塞化され、それを壊すべく新しいシステムを作るぞ! と、「壊すべきもの」とされてしまったワタナベ城。城主・ワタナベは実際のところ、どう思っていたんでしょうか。聞いてみました。
ワタナベ
「膨大なFAX、メール、電話メモといった、多岐に渡る受注情報を、属人的なひとりの職人技によって仕分け、統合、また仕分け・・・。デジタルデータも一旦紙にしてから再入力など日常茶飯事。それを、東京と京都を繋ぐ激重サーバーの中に入れられた激重ExcelファイルとAccessデータに取り込んで運用していたワタナベ城。やや、これはこれで、システムなんですよ。取次出身である私がこのシステムに込めた設計思想は、「事故を起こさない!」でした。しかし、そこに知識と経験という「職人的技能」が求められる限り、脆弱性は解消できません。いつ、大事故が起きてもおかしくなかった。もう、限界でしたね。
「一冊!取引所」は、そんな状況のなかで、システム刷新の第1フェーズとして、書店さんからの受注をこの取引所内でのやり取りに一元化する狙いがあります。くわえて、営業の質・量が落ちない。むしろ、高まることを目指しています。そうやってデジタル情報として届く受注を、起票、出荷、請求に直結させていくのが次のフェーズ。これは、「一冊!番頭」という別サービスとして開発する構想です。
ワタナベ城に捧げた情熱は、いま全部、「一冊!」サービスに注いでいます。他の出版社さんにも喜んで使っていただけるような、いいものに絶対しますから。」
永遠に未完成なシステム、目下進化中!
さてそんなこんなで進めている「一冊!取引所」。プレオープンし、機能も日々実装されていっています。開発チームとのやりとりは、チャットツール「Slack」でおこなわれているのですが(ITっぽい〜)、構築を担当している株式会社CICACの凄腕エンジニア、今氏さんと薗田さんが使う「おけす」(おっけーです)が私的流行語なワタナベとアライです。なんかかわいい。
5月上旬には、書店さんが実際に書籍を注文できる「取引機能」が追加されました! この機能、超大事。というかこのシステムの肝です。
この取引機能は大きな課題で、日々ミーティングを重ね構築メンバーもすっっごくがんばっていました。
開発環境に反映したので、確認お願いします!」「これってどうなってますか?」など怒涛のSlackやりとりがつづく。そして薗田さんからの返信がきている時間を見ると午前3時だったりして。ヒィー遅くまで本当にすみませんありがとうございます・・・(これが毎晩つづいてるわけじゃないよ、と言ってくださっていましたが)。
そんな、このサービスの要である取引機能が実装されたあと、実際に動く様子をYouTubeで配信しました。YouTubeでのリアルタイム配信も初の試み。社長がエクセルも使えなかったはずのミシマ社、このコロナ禍のあいだにどんどん進化しています。
(散髪していない髪の毛を隠すために一人帽子をかぶる左下の三島)
「チャットができるの? これはすごい!」「めっちゃええやん!」と、三島をはじめ、ライブ配信を見ていたミシマ社メンバーも絶賛。書籍を注文すると、この取引所上で注文をくださった書店さんとメッセージのやりとりができたりするんです。
(こういう感じです。YouTubeの解説画面より)
書店さんとのやりとり、ここからたくさんできるといいなー。書店さんは参加無料です! ぜひ注文して、「初注文!」とメッセージをください!
第0回配信(出演:三島、蓑原、今氏、渡辺)の動画です。
第1回には、ナナロク社代表の村井光男さんをゲストにお招きしました!
「一冊!Live」、今後も定期的にやっていく予定です。こういうことを取り上げてほしい、などあればどしどしご意見ください。
また、「一冊!取引所」はクラウド型サービスなので、ブラウザから使えます。アプリのダウンロードとかは必要ありません。楽ちん便利で快適。
書店さん、出版社、読者、いろんな人に使いやすいものになるよう常に成長する、「永遠に未完成」なシステムです。ぜひちらっと覗いてみてください。現場からは以上です。
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<御礼に代えて> 一年以内に、本取り組みについてまとめた書籍をつくる予定をしております。その一冊を御礼に代えて、献本いたします。
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