第3回
参加出版社をそれぞれ140字以内で紹介してみるチャレンジ
2020.07.24更新
どんな出版社が参加しているの?
6月の本稼働からもうすぐ丸2か月となります。今回は、「どんな出版社が参加しているの?」という声にお応えして、現在参加中の出版社ユーザー33アカウントについて、「それぞれ140字以内で紹介するチャレンジ」を開催いたします。
(※注:◆はワタナベが、●はアライが執筆を担当しました)
2008年創業。東急大井町線と池上線が交差する街、旗の台にオフィスを構え、詩集や写真集を中心に、アート系からエッセイ、漫画、絵本も刊行。どれも同社が大切にしている「詩心」がたっぷり詰まっていて、本の造りや装丁からもこだわりが感じられる。
池田晶子著『14歳からの哲学』で知られる2001年創業の出版社。その旗揚げ時より直取引(書店利益を3割に設定)、注文出荷制(受注分満数出荷、見計らい配本なし)を敷く流通スタイルは、通称「トランスビュー方式」と呼ばれる。2013年から取引代行を開始し、参加100社超が参加中。尊敬する版元です。
太田出版に24年在籍した編集者・北尾修一さんが2017年に単身創業。「状況に巻き込まれて流されてくタイプ」と自称するその本づくりはジャンルレス。以下、自社紹介→「売れる売れない二の次で /かっこのよろしい本つくり/読んでもらえりゃ万々歳/そんな私は傾奇者 /人呼んで百万年書房と発しやす」
まだ伝えられていない女性の声を届ける出版社として、2018年12月に設立。田房永子さん責任編集『エトセトラ VOL.1 コンビニからエロ本がなくなる日』を皮切りに、海外文学からフラワーデモの本まで、気になるフェミニズム本を続々出版。個人的にもとても注目している出版社。
テレビ局に17年勤務、おもに報道畑を歩んでいた安永則子さんが、出産と育児を契機に退職。ひとり出版社を設立し編集者に。「考えるきっかけになる一冊」の本づくりをめざし、この7年間で10冊を刊行。記者時代は仕事に没頭しすぎて立ったまま寝たことがあるそう。好きなことばは「実験」。
●港の人
1997年創立、鎌倉にある出版社。人文書、文芸、語学と幅広い書籍を刊行しており、詩集、歌集も豊富。装丁も静かで独特の存在感が美しく、思わずジャケ買いした本が、「あ、また港の人の歌集だった」ということもしばしば。
◆木楽舎
小倉ヒラク著『発酵文化人類学』や、福岡伸一氏の「動的平衡」シリーズ、ANA機内誌『翼の王国』連載の単行本「翼の王国books」シリーズなどを刊行する出版社。「READING BOOKS CHANGES YOUR WORLD」、「読めば世界が違ってみえる」をモットーとしており、まさに世界が変わるような読書体験を提供してくれる。
写真集や画集といった芸術書から、絵本、くらし・料理書、文芸、詩集、漫画までジャンルを限ることなく、幅広いテーマの本を扱う出版社。映画の制作・配給元としても著名であり、2017年には最果タヒの詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を原作にオリジナル映画化するなど、目が離せない。
●左右社
2005年設立。芸術、文芸、人文書など多様な書籍を刊行。文豪から現代の人気作家まで、多くの作家の締め切りへの苦悩を集めた『〆切本』が話題に。フラカンのボーカル・鈴木圭介氏によるエッセイ『深夜ポンコツ』が今とても気になっています。
◆G.B.
"楽しくてタメになる本を作る"がモットーのG.B.さんは、知的好奇心を育てるクリエイティブカンパニー。街歩きガイドの「めぐるシリーズ」や、知識をくすぐる「歴史作法シリーズ」が人気で、また子ども向けの総ルビ付き、カラーページ豊富な「超リアル○○図鑑シリーズ」は大人が読んでもすごく愉しい。
2015年設立の同社は、本の出版と展覧会制作、さらに美術館のプロデュース・運営を手掛けている。目指すのは、「ありそうで、ないことを」。4月刊行したtupera tupera『かおPLAY!』は、東京・立川の新しい美術館「PLAY! MUSEUM」開館記念展「tupera tuperaのかおてん.」公式ブック。子どもも大人も本気で楽しく遊べる一冊です。
◆ミシマ社
2006年に編集者・三島邦弘が単身創業。当初は「自由が丘のほがらかな出版社」と謳っていたが、2011年より自由が丘と京都の2拠点体制に変化。現在は13名のメンバーで運営。書店との直取引で全国に本を流通させ、編集も営業も「一冊入魂」をモットーとしている。
ミシマ社が2019年7月にスタートした新レーベル。「一人でも多く」と「一人へより濃く」。出版の醍醐味と言えるこのふたつを、書店と共存するやり方を探るなかで実現していきたいと願い、少部数でも高い熱量の本を掛率55%・買切条件で書店に卸す。ミシマ社よりさらに「ちいさい」ありかたを模索中。
◆ヒマール
山口県岩国市で「クラフトや本や雑貨その他を販売するお店」兼「喫茶」兼「イベント&ギャラリー」を夫婦で営むヒマールさんが、2019年より出版業をスタート! その第一弾『NEVER TIRE OF THE ROAD 旅に倦むことなし』は、アイルランド音楽界の吟遊詩人アンディ・アーヴァインの世界を柴田元幸の翻訳で旅する一冊。
◆未知谷
水道橋~御茶ノ水の間に立つ「アテネ・フランセ」の崖の下にある出版社。 国内外の哲学、思想、文学、芸術などの本や、欧州自転車競技の書物も刊行。 同社のロゴイメージは、文字を指さし寝そべるガイコツ。ギリシャ文字で「汝自身を知れ」「無知の知」という意味だそうです。
●誠光社
京都・河原町丸太町にある新刊書店だが、出版業もおこなっており、これまでに『書をステディ町へレディゴー』『私の考える骨董』など10タイトルほどの書籍を刊行。どれも、店主・堀部篤史さんならではのカルチャーが詰まっています。
◆ライツ社
兵庫県明石市に本拠を構える。同じ出版社で同僚だった編集者の大塚さんと営業の髙野さんが2016年9月に起業。現在は5名で会社を運営。本を作りすぎず、業界平均10~20%といわれる重版率の平均が70%超という少数精鋭主義。ライツ社の「ライツ」は、「write」「right」「light」。書く力で、まっすぐに、照らす。
◆閑人堂
「かんじんどう」と読む。代表の首藤さん(リヴァプールのファンだそう)のお名前を屋号にしている。昨年創業し、今年の2月に至高のノンフィクション『ダイナソー・ブルース----恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い』でデビューした自然と科学の出版社。青黒白で構成されたシンプルで美しい装丁も実に魅力的。
キャリア教育を応援する出版事業を展開しており、『使えるフレーズがどんどん頭に入るシミュレーション英会話』と、『教養としての心理学101』を刊行。代表の編集者・湯川さんは大学院入試指導のスペシャリストでもある。1冊1冊心を込めて、納得のいく出来になるまでこだわって制作をされています。
ロングライフデザインの視点で企画・編集した書籍を刊行。年2回発行の「d design travel」シリーズは編集部が2か月間、現地で暮らすように旅をして編集する県別のトラベルガイド。ほか年1冊発行の「d47 MUSEUM BOOKS」シリーズや、「d BOOKS」シリーズなど、本づくりもまさに「ロングライフ」です。
栃木県の那須エリアから「ローカルな場所からローカルな価値を」というテーマで本を編む白崎一裕さんのひとり出版社。とはいえ那須関連の本を作っているわけではない。那須の地から世界全体をみていきたいという思いで、『遊びを育てる』、『負債の網』、『普通の人々の戦い』の3点を刊行中。
足立亨さんが出版社勤務を経て2014年に設立。アート、ファッション、海外作家の詩やエッセイなどを刊行。最新刊はエレン・フライス『エレンの日記』。私は『牛たちの知られざる生活』の装丁がすごく好き。ロゴマークは、くるりのアルバムジャケットデザインなども手掛ける服部一成氏によるデザイン。
大阪に本拠を構え、西日本のものは西日本で出すという気概で全国に向けて「本籍地のある本」を発信。刊行ジャンルは幅広いが、同社刊行の関西圏のガイド本はまさに地元の人で作っているのが特徴。営業出身の内山正之さんが2002年に創業。いまも本を出すたびに内山さんが自ら営業行脚を重ねている。
2019年6月に現役の麻酔科医である星野有美さんと五十嵐妙さんが創業した「ふたり出版社」。第一弾書籍『Perioperative communication in English』は、周術期にまつわる英会話の本だが、ふつうに読んでも興味深く面白い。今後もふたりが愛してやまない英語、フランス語、医学系の本を中心に本づくりをするとのことで目が離せない。
KTC中央出版の「ごはんとくらし」をテーマとしたレーベル。パッと目に飛び込んでくるような写真が美しい料理本やくらしのエッセイから、食べ歩きガイド、手仕事の本まで見ているだけで心が豊かになる本たちがたくさんです。人気のブックマルシェイベント「BOOK MARKET」主催社としても各社の尊敬を集める。
今年1月に雑誌『TRAVEL UNA』を新創刊した福岡市のトラベル・デザイン・ファーム。九州のトラベル&ライフデザインをテーマに日英完全バイリンガルで構成されており、写真も美しい。創刊号では、久留米絣を中心に九州の風土や歴史を背景としたネイティブテキスタイルを取り上げた。九州に行きたくなる。
◆カンゼン
「サッカー本大賞」を創設するなどサッカーファンにはよく知られた出版社で、スポーツ書が主力の専門出版社のように見えるが、さにあらず。ジャンルレスで「日々の生活を彩る」本づくりをモットーとした出版活動を行っている。個人的には漫画家・大橋裕之さんの著作を多数刊行する出版社として敬愛。
●天然生活
2003年に創刊し、2019年より扶桑社から刊行する月刊誌と書籍のレーベル。雑誌としてははじめて「ナチュラル・スローライフ」をテーマに掲げ、幅広い年代から支持を得ています。料理のレシピを眺めたり、片づけ特集をみてやる気をすこーし、もらったり。雑誌をめくる楽しみに満ちています。
2012年にスタート。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』『私たちにはことばが必要だ』など女性に力をくれる本も多く、新刊が出ると聞くとまずはチェック! しています。雑誌「仕事文脈」も刊行。新刊『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』がヒット中。
編集者・松戸さち子さんと能登康子さんがメンバー。「d」は談志師匠の担当編集を長くつとめたことからいただいたそうで、「ZERO」は、「物語の発端」としての「エピソード・ゼロ」から命名。1を100にするより、0を1にするほうが困難だけれども楽しい。そんな気概に満ちたチャレンジを続けている。
センジュは北千住に由来。編集者として日夜仕事に没頭していた吉満明子さんが東日本震災と出産育児を機に2015年、自宅そばの木造アパートを拠点に「しずけさ」と「ユーモア」を大切にするまちのちいさな出版社を開業。事務所内にちゃぶ台を置いたブックカフェ「SENJU PLACE」を併設。地域に開かれた出版社。
1977年創業。今春より猿楽町(代官山)に拠点を移し、海外文学、人文書、現代アート関連書を中心に出版活動を展開。また2012年よりシリーズ「末盛千枝子ブックス」を開始。すえもりブックスを主宰した名編集者・末盛千枝子さんの企画・編集する絵本や著作を刊行、名作の復刊にも取り組んでいる。
北海道旭川市に拠点を構える2013年創業の小出版社。「小さな声を、カタチにします」をコンセプトに、教育・福祉・マイノリティ論などの気になる社会問題を、わかりやすく読者に届ける本づくりを展開。テーマは様々なれど、装丁や本の佇まいにあたたかさがあり、つい手に取ってしまう魅力がある。
書くの大変でした! しかし改めて感じたのは、どの出版社さんも、それぞれとても魅力的な本づくりをしていらっしゃるということです。書店の皆様、ぜひ、「一冊!取引所」を通じて仕入のご検討をお願いします!
毎週月曜日は、「一冊!Live」の日!
「一冊!取引所」の現状や魅力をオープンに発信していきたい! と、毎週月曜日の17時から約30分間、YouTubeライブ配信をしています。その名も「一冊!Live」。
毎回、ユーザーである出版社や書店の方をゲストをお招きして、開発・運営チームとトークしています。上に紹介した出版社の方々にもご出演いただいているので、気になる方、ぜひ。
過去回、すべてアーカイブされていますので、ぜひご覧ください!
・第3回 ゲスト:草刈大介さん(ブルーシープ 代表)、鈴木潤さん(メリーゴーランドKYOTO 店長)、中川理紗さん(長崎書店)
「一冊!Live」は、今後も毎週月曜17時〜生配信の予定です。ぜひご覧ください。
現場からは以上です。
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