健康番長若林理砂先生のバッチコイ!

第7回

歩くと体がかゆくなります、ほか

2019.09.19更新

 残暑のなかに秋の気配、季節外れのインフルエンザも流行しているようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。今月は、「歩くと体がかゆくなります」「仰向けで寝られません」「薬が上手に飲めません」の3つをお届けします。

その1 歩くと体がかゆくなります。(冷乾タイプ、10代、女性)

アツガーリー.jpg ちょっとそこまで5分、10分歩く分には問題ないですが、それより歩くと足がかゆくなってきます。まず、太ももがかゆくなり、ひどい時はふくらはぎや腕までかゆくなります。4年前にじんましんになり病院にかかり薬を服用していくうちに1年ほどで治りましたが、一年ほど前からこのようなことに悩まされています。季節は関係ないですが、寝不足や悩み事があるとかゆくなりやすいです。運動をほとんどしないことが原因でしょうか。食べ物はおにぎりやパン、煮物を食べることが多いです。かゆみを治したいです。どうしたらいいですか。

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りさ先生.jpg 皮膚のかゆみ、それも運動するとかゆくなるということですね。毛細血管に血液が流れるとかゆくなってしまうということですねえ。これは、仰る通りほとんど運動をしていないから、血流が改善するという「良いこと」が原因でかゆみが起こってしまうのです。お風呂に入ったときにかゆくなることはないですか? もしもそういう現象もあったら、間違いなく血流が原因になっています。

 さて、では解決策はどうしたらいいかというと。まずは運動なんですね(笑)。動かしてあげて、末梢の血流をいつも流れているように仕向けてあげることが大切。こうすることによって、血管が押し広げられた時にかゆみ物質が発生しちゃうという事態が起こらなくなります。まずはここから始めてみましょう。

 東洋医学的な解決方法で注目したいのは、冷乾タイプであること、炭水化物偏重の食事になっているという自覚があることです。ひょっとしてむくみやすかったりしませんか。多分、脾胃がおかしくなっていて、肌肉に異常が起こっているのだと思います。そして、皮膚を守るための衛気(えき)が足らなくなっていて、蕁麻疹が出たり、謎のかゆみが出たりしていますね。まずきちんと寝てください。そうすると気が足りるようになってきます。そして、炭水化物を減らしてたんぱく質量を確保してください。具体的には、卵とか鶏肉とか、おさかなとか、乳製品とかです。

 また、寝不足や悩み事があるとかゆくなりやすいというのも東洋医学的にはわかりやすいですね。これは気血の運行失調を起こす原因と考えられるのです。結局のところ一番簡単な解決策は軽く運動して良く寝ることになってしまうのですけれどね。ちょっとがんばってみてください!

その2 仰向けで寝られません。(冷乾タイプ、20代、女性)

ネブソンくん.jpgいつも、横向けで、背中を丸めて眠ります。背筋が丸くなるし良くないのかなと思うのですが、仰向けだと落ち着きません。やはり仰向けで眠るべきでしょうか?また、どうやったら仰向けでも眠れるでしょうか?

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りさ先生.jpg 夜中に寝返り打ててますか? 朝起きるといつも同じ姿勢で体が痛いとか、ありませんか。さすがに寝入りばなと同じ姿勢のまま目が覚めるということは、20代ではないと思うのですが、いかがでしょうか?

 この、「仰向けに寝られない」というご質問を受けることがあるのですが、最初のころは一体何を問題に感じているのかがわからなかったのですよ。なぜ仰向けでないといけないと考えているのかが全く推察できなかったのです。何度か対話してみてわかったこととは、「寝ている時の姿勢が正しくないとカラダがおかしくなる」と考えている方が一定数いるということだったのです。

 私自身、寝入る際は横向きになっていることが多いですし、それについて全く問題を感じたことはありません。理由は、夜中に動いているのが明確だからなんですね。皆さん、寝がえりはきちんと打っているはずなのです。なぜなら、同じ姿勢で朝まで動かず・・・だったら、褥瘡(じょくそう)みたいな状態になりかねないからです。寝たきりの方は寝返りが打てないため、体の同じところに圧がかかり、そのうちそこが壊死してくるのです。これを防ぐため、2時間以内に人工的に寝返りをさせます。

 ところで、質問者さん、褥瘡ないですよね? ということは、夜中、動いていらっしゃるということなのですよ。おそらく、寝入るときに仰向けが苦手というだけであって、寝ている最中に仰向けの姿勢も経てゴロンゴロンと転がっていると思います。そうじゃなかったらあちこち圧迫がかかって痛みが発生しますからね。

 睡眠中に自由に動けているかどうかの方が、就寝時の姿勢よりずっと大切なことです。寝床の広さ、落ちないで寝返りが打てる環境など、そちらを気にしてあげてください。自由に動けていれば、寝ている時の姿勢で背中が丸まってしまうということは、ありません。安心してくださいね。

その3 薬が上手に飲めません。(冷乾タイプ、20代、女性)

ドストレススキー.jpg 幼い頃から薬を飲むのが苦手です。
 錠剤や粉薬を飲み込むのに時間がかかり、苦い味がしてきたり、薬が口に張り付いたりして余計につらくなります。そのため薬への苦手意識が強いです。味のついたゼリーと一緒に服薬することもありましたが、できればすんなり飲めるようになりたいです。

 漢方薬などは粉末状のものが多いと思いますが、飲みやすい方法などはありますか?

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りさ先生.jpg ほうほう、これはイイ手段があるのですよ。あの、薬局でオブラートって売ってるの知ってますか? おばあちゃんちとかでふるまわれる、砂糖が周りについたゼリーについてる、透明なぺらぺらしたヤツ。ボンタンアメに巻かれてるヤツ。そのまま口に入れたら溶けてしまう、アレです。アイツを買ってきます。近頃では、三角形の袋にしてあるヤツも存在しているようなので、それでもかまいません。

 まずは平らなオブラートの場合。

・オブラート
・お椀
・塗り箸

を準備します。まず、お椀に水を張ります。そこに、二枚ほどふわっと浮かせるようにします。すると、オブラートが水を含んでゼリー状になります。

 その上に、そーっと粉薬を乗せ、少し濡らした塗り箸でくるくるっとまとめていきます。最後はお椀のお水でそのままつるっと飲みこみます。

 三角形のオブラートの場合は、中に粉薬を入れて、少し上の方をひねったらお水にそっと浮かべてゼリー状になるまで待ってから、同じようにお椀のお水でそのままつるっと飲みこみます。

 なんだかとても楽しくなる方法なので、ぜひ試してみてください。錠剤を包んでも面白いですよ。

理砂先生の先生 カポエイラの先生編③

 今月は、りさ先生がブラジル発祥のカポエイラを習っている米倉竜太先生との対談を4回にわたってお届けしているうちの第3回目です。今回は、日本の少年野球やサッカーの、長く非科学的に練習するのが美徳、という困った慣習について語らっています。

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『謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?』

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若林 理砂

若林 理砂
(わかばやし・りさ)

臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年に東京・目黒にアシル治療室を開院。現在、新規患者の受け付けができないほどの人気治療室となっている。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラ。著書に『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』(ミシマ社)、『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』(原書房)、『安心ペットボトル温灸』『大人の女におやつはいらない』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』(廣済堂出版健康人新書)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)、など多数。

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