第12回
【新企画】それって効くの? を確かめる
2020.03.26更新
前回、コロナウィルスに対する中国での中医学的治療について簡単にお伝えしましたが、実は中国でも「コロナにこれが効く!」というのがSNS上にたくさん上がってたんですな。
「熏白醋、含大蒜、吃VC片、喝板蓝根,能不能预防新型肺炎?」
これらは、1月の時点で流布していた「谣言」・・・嘘の情報です。
熏白醋:お酢を鍋で煮て空気中に発散させることで空気を消毒する
含大蒜:ニンニクを食べる
吃VC片:ビタミンCの錠剤を飲む
喝板蓝根:バンランコン(生薬。インフルエンザには一定の効果)を飲む
この四つは嘘ですよと公的機関が否定して回っていたのです。
こちらには、さらにいくつかの嘘を人民日報が否定する書き込みをしています。
香油滴鼻孔:香りの良いオイルを鼻に入れる
吃辣椒:唐辛子を食べる
吃香蕉:バナナを食べる
吃草苺:イチゴを食べる
乳鉄蛋白:ラクトプロテインを食べる
そして、
訳:バランスの取れた栄養って免疫力を上げるって?
本当!
野菜とその他の物をバランスよく取り合わせて。
たくさん新鮮な野菜と果物をとって、たくさん水を飲んで。
この手の話って、日本でもよく話題になるでしょ? この間、納豆がコロナにいいって話がテレビで流れたらしく、納豆がスーパーで売り切れたりしていました。他にも、アオサがコロナに効いたとか、ヨーグルトがいいとか・・・いろんな話が聞こえて来ていました。
こういった、本当はどうだかわからない方法をどう見分けたらいいのか。Covid−19に関しては、「○○を食べると良い」という、食べ物に関する情報が多いようですので、こちらのサイトをお勧めしておきます。
ここで、検索をかけてみると良いです。たいていの場合、がっかりする結果に終わりますけどね・・・。
Twitterもあります。
わたし自身がその情報が本当に効果があるのかどうかを確かめる時には、政府系の機関の情報を頼りにすることが多いです。論文を読むことも多いのですが、その論文自体の信憑性が確認できない場合もあるので、なかなかに難しいところです。
いわゆる健康法についてもそうなのですが、「○○がいいんだって!」という情報自体を伝えてくれる方というのは、善意に基づいた行動なので否定しにくいのですよね。その場合、「それ聞いたのどこで?」ととりあえず質問してみてください。そうすると、「テレビで」「ネットで」「○○さんが言ってた」という答えが返ってくることがほとんどじゃないかと思います。
この場合、根拠としてはかなり弱いです。まずは、ほぼ根拠がないと思って一度疑ってみてください。そして、食べ物類なら上記の「健康食品の安全性・有効性情報」で検索をかけてみてください。たぶん、残念な結果を読むことになると思うのですが、それでほとんど事足りてしまうと思います。
ここで、問題になるのがお勧めしてくれたその人との関係性ですね・・・よく聞かれるのが「否定したら逆ギレされた」という状態。これは、健康法ものには、実際に効果があるかどうかとまた違った側面があることを示しています。
身体の事というのは、物理的な側面と精神的な側面があり、この二つは切り離せないものなのですが、科学的データで効くかどうかを問うた場合、精神的な面は置き去りにせざるを得ないのです。このため、「わたしが『信じている』ものを否定された」となり、怒り出すのです。
時々、わたしは「鍼灸師だ」と自己紹介すると「信じていることに虚しさとか感じないのですか」「Acupuncture is quack .Do you believe in magic?」と言われることがあります。鍼灸や漢方はそれなりにエヴィデンスもあるので「信じる」だけとはまた違うのですが、この質問自体が身体的なことの二面性を示しているなあと深く感じ入るところがあります。
さて。今回リニューアルした健康番長。鍼灸師という「データと信じることのはざま」の立場から、皆さんの疑問にお答えしようと思います。「これって効くの?」という疑問を、健康番長へ投げてみてください。フルスイングで打ち返します。
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