第4回
『バンド』本日発刊!
2019.10.20更新
こんにちは! ミシマガ編集部です。
いよいよ本日、クリープハイプ『バンド』本日発刊です!
発刊を予告した8/20から2カ月、みなさまお待たせいたしました!
この日を迎えられて、ミシマ社一同嬉しく思っております!
(その喜びようは、「クリープハイプ新刊『バンド』公式ツイッター」をご覧ください)
本日は『バンド』の「まえがき」を、公開いたします。
クリープハイプというひとつの組織が続いていくなかでの苦労や、どうしてクリープハイプという「会社」が、解散の危機を乗り越えてやってこれたのかなど、組織論としても深く読める『バンド』。
尾崎世界観さんがこの「まえがき」に、そんな『バンド』の魅力を詰め込んでくださいました。
まえがき
このバンドを小さな会社だと思っている。従業員四名、お釣りのない布陣を敷いた、小さな社会だ。これまで何度もメンバーが脱退して、その都度会社を潰し、社会を壊してきた。そして、今のメンバーを見つけてから十年が経とうとしている。それぞれが辞めようと思うことは何度もあったけれど、その度に、それと同じくらい辞めたくないメンバーがバンド内にいた。ここまでバンドが続いたのは、そんなズレがあったからこそだと思う。もしも一丸となっていたら、こんな今はないだろう。バンドというのはズレていればズレているだけ良い。そして、クリープハイプというバンドはしっかりズレている。初めて四人で演奏を合わせたあの日から今日まで、一日も休まずにちゃんとズレている。演奏においても、それぞれの音を鳴らすタイミングがぴったり重なれば良いというものではない。それぞれの楽器の微かなズレが生まれた時にこそ、音は増幅される。完璧に合わさった音は、意外に細くまとまってしまい、どこか頼りない。やみくもに足並みを揃えれば良いという訳でなく、いかにズレていられるか。そういった点が、バンドをやっていくうえでの醍醐味だと思う。
このバンドに関して言えば、自分は想像を担当しているつもりだ。実体のないものをかき集めては、ギター、ベース、ドラム、三人の前へ差し出す。〇を一にする為の作業だ。それから三人が請け負うのが製造で、一からそれ以上にする為の作業だ。この、想像と製造のバランスを見つけるのに、十年近くかかった。バンド内の人間関係を構築するうえで、ただ何でもざっくばらんに話せばいいという訳ではない。メンバーには、まだ色んなことを言っていない。それは逆もしかりで、自分自身、この本で初めて知ったメンバーの考えにとても驚かされた。同時に、その考えに納得もした。そんなこと言わなくてもいい、言ったって仕方がない。他人と他人はどこまで行っても他人でしかない。絶対にわかり合えないからこその、安心感と信頼感がある。ただ、そこで十年が効いてくる。赤の他人。その赤も、時間が経つにつれ変色してくる。家族とは違った、家族以上の他人になる。他人どうしでしか成し得ない仕事を通しての、感情の置き場がある。それぞれが持つ能力に対しての尊敬、そのうえでの甘えや怒り。十年という時間を過ごして、赤が何色になったのか。そのことが伝われば嬉しく思う。
尾崎世界観
クリープハイプファンの方はもちろん、そうでない方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です!
ぜひ、お近くの本屋さんでお手に取ってみてください。
(現在抽選でTシャツが当たる「『バンド』読んだ?」キャンペーン実施中です! )
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