第11回
書店員さんも推す! 大注目の小説『ビボう六』
2023.12.18更新
11月に発売を迎えた第3回京都文学賞受賞作『ビボう六』。現実に絶望する小日向さんと千年を生きる土蜘蛛の怪獣ゴンスの、甘く切ない恋の模様を描いた新感覚のファンタジー小説です。本書は佐藤ゆき乃さんのデビュー作でありながら、ゲラを読んでくださった書店員のみなさまからは、発刊前から絶賛の声が集まりました。(ミシマガでは佐藤ゆき乃さんのインタビューを公開中です)
本書の魅力に取りつかれ、ありがたいことに独自のポップを描いてくださる書店さんや、独自のフェアを開催してくださる書店さんまで出てきました!
▲くまざわ書店 四条烏丸店の文芸担当さんが描いてくださった素敵すぎるポップ
▲難波の丸善 高島屋大阪店さんが開催くださった『ビボう六』発売記念「読む京都フェア」
本日のミシマガでは、書店員さんからいただいたご感想の一部をご紹介します! たくさんの書店員さんが感想をお寄せくださったため、残念ながらすべては掲載できていません。『ビボう六』の書誌ページからはすべてお読みいただけますので、ぜひそちらもご覧ください! また、記事の最後では刊行記念のイベント情報も公開しています! 最後までお楽しみください。
書店員さんのご感想
心の中にある宝箱に、壊れないようにそっと大切にしまっておきたい物語。
誰かに恋をしたときの傷みも、それに伴う一瞬のきらめきもすべてここに詰まっている。
痛くてつらくて悲しいときは、この京都で生きた不器用な怪獣のことを思い出そう。
そうすればきっと、永い夜もひとりで越えることができるから。
ーーくまざわ書店四条烏丸店 山中津加紗さん
昼の京都で苦悩しながら生きるひなたとメタバースにいる小日向のファンタジー。
ラノベでも描かれるような異世界なのに生き方を指南するような古典文学を読むような凛とした空気感と夜の京都の静謐さが伝わって行と行の間から映像が浮かび上がる美しい作品でした。
ーー水嶋書房くずはモール店 和田章子さん
新しい世界観のファンタジーで、一気に引き込まれました。
夜の場面が中心ですが、光や色の描写に鮮やかさがあり、別世界が現実世界より魅力的な感覚を持ちました。それにも関わらず、その世界に留まる選択が出来ない、理屈では説明できない感情や価値観が存在するのだなと感じさらに切なさが出ました。
終始切なさを感じ、自分の存在について思いをめぐる、作品でした。
ーー大垣書店ジアウトレット店 石川響子さん
電車で読み、駅について思わず上を見てしまいました。夜空を見上げたくなる物語、小日向に語りかけてしまいそうです。ずーっと何行も読み進めて、最後にこのきらめくラスト、ずるい! 好きすぎる!!
ーー丸善高島屋大阪店 宮崎優花さん
自分の知らないどこかで、自分のことを想ってくれている誰かがいるのかもしれないと、『ビボう六』を読んで少しだけ思いました。
ーー丸善アスナル金山店 文芸書担当者さん
舞台となる京都の大垣書店も激推し!
▲大垣書店 二条駅店さんでは入り口の話題書コーナーで大きく平積み!
本書の舞台となっている京都をメインに展開しているチェーン書店・大垣書店さんでは地元の一冊として特に本書を推してくださっています! 各店で大きくご展開いただいているだけでなく、大垣書店さんでご購入の方限定の特典冊子「『ビボう六』をもっと楽しむための散歩のしおり」がついてきます。佐藤ゆき乃さんの書き下ろしエッセイや本書に出てくる京都の名所を実際に聖地巡礼できるマップなど、本書を一層楽しむことのできる冊子です。ぜひお近くの大垣書店さんで本書を探してみてください。
1月には著者イベントを開催!
年明け2024年の1月には、著者の佐藤ゆき乃さんにご出演いただくイベントを開催いただくことになりました。
佐藤ゆき乃×中川学×有松遼一「妖怪の書き方、描き方、謡い方」
●日時:2024年1月11日(木)19:00~
●会場:恵文社一乗寺店+オンラインライブ配信
●チケットはこちらからお買い求めいただけます。
本書の著者・佐藤ゆき乃さんが、京都で活躍するイラストレーターの中川学さん、能楽師の有松遼一さんとトークします!
テーマは、「妖怪」を表現することについて。
佐藤さんは本作で、心優しい妖怪たちが暮らす「夜の京都」のファンタジーを描きました。とびきりキュートでステキな主人公の土蜘蛛・ゴンスに込めた思いを、こう語ります。
「人間の肉体を持たないものによって心情を描いてみたいと思ったんです。『焦って冷や汗が出た』とか『拳を握り込んだ』みたいに、肉体を通すとそこに心情が収斂されてしまう感覚がありました。だから、体をなくしたときに心はどう描けるんだろうかと。そこで作ったのが、怪獣のゴンスなんです」(ミシマガジンでのインタビューより)
中川さんは、京都のお寺の住職でありながら、イラストレーターとして活躍。泉鏡花原作の絵本『化鳥』『龍潭譚』、京極夏彦・文『えほん遠野物語 やまびと』など、妖怪や怪物を描いた幻想的な作品を数多く発表し、高い評価を得てきました(ちいさいミシマ社刊の詩画集『幸せに長生きするための今週のメニュー』では鉛筆画で京都の美しい風景を描かれています)。
そして、有松さんは、京都で活動する能楽師ワキ方の新鋭。著書『舞台のかすみが晴れるころ』収録の曲《半蔀(はじとみ)》のように、幽霊や妖怪といったこの世ならざるものの存在を、謡(うたい)の声によって表現してきました。
異色の組み合わせで、「妖怪の書き方、描き方、謡い方」を語らいます。
新年のスタートにもってこいの、妖しく楽しい一夜に、ぜひご参加ください!
▲左から『幸せに長生きするための今週のメニュー』『ビボう六』『舞台のかすみが晴れるころ』