白山米店の季節つれづれ

第3回

6月のお便り

2018.06.24更新

 じめじめした梅雨、みなさまはいかがお過ごしでしょうか・・・?

 我が家は蒸し暑い日が続いた先日、店と奥の住まいとの境のカーテンを暖色系から白っぽいチューリップ柄に代えました。25年もローラアシュレイの綿のカーテンを冬用夏用で使っています。当時、留学中の友人に頼んで英国から送ってもらった生地で作りました。

 暑さと共に食卓の上の電球が眩しく感じて、60Wから40Wにしたり、クッションもハワイアンキルトに代え涼しく感じるようにしています。

梅の実の香り

 尾山台への買い物道に転がっている梅の実がいい匂いでつい拾ってしまいます。両手いっぱいになる時もあって、塩漬けまでの数日は、部屋中に梅の香りが漂っています。

 もし、道端の梅の実一粒二粒に出会えたなら、香りをかいだらビンに入れ、醤油を梅の実が隠れるくらいにたせば、翌日には梅(風味)醤油になります。冷やっこやおひたし、残った梅で鰯を煮てもいいですね。

 初めは、裏のお家からいただいた梅干し作りでしたが、自家製の赤シソに漬けた梅干しは、深紅のベルベットのようで美しい。友人との手作りの会で教わった梅酢を使った錦松梅(高級ふりかけ)はとてもごはんに合います。特に、申年の梅干しは「災いさる」と言われ大事にしています。

 スーパーでらっきょうが出回れば、毎年漬けたくなるし、胡瓜が安くなれば糖漬けと、6月は漬け物祭りになりました。

らっきょう漬け

 気ぜわしくても、その時期だけの野菜を見るとつい買ってしまいます。鳥取産のらっきょう1袋でらっきょう漬けを作れば1年食べられます。

 らっきょうはさっと洗って、上下を切って、もみ洗いすれば、けっこう皮むきが楽です。我が家は、塩漬けはせずに、ピクルスのように熱湯でゆがいて粗塩とハチミツと甘酢で漬け、1カ月後からいただきます。南蛮漬けに入れたり、タルタルソースの隠し味にしてもいいです。

0624-2.jpg

書棚から

 今年は山椒の木の芽を沢山いただくことができました。

 川崎のセレサモス宮前(産地直送市場)で夫が野菜と一緒に木の芽を買って来てくれます。使い残ってしまいそうな量は、冷蔵庫で乾燥させて、冷凍しておけばいいです。

 そんな山椒のことも書かれた、甘糟幸子『野草の料理』。食べられる草を1つ1つ書かれていて、知識と文章に憧れます。谷内六郎氏の表紙も好きです。表参道にある山陽堂書店さんの壁画を見に行きたくなりました。

0624-1.jpg

今回のレシピ

 さて、今回のお料理はこの3品です。(4月~6月に作ったもので、旬がずれていたらごめんなさい。)

  1. ころころにんにくとひこ鰯のオリーブオイル煮
  2. 名残り苺のジャム
  3. 鯛めし

ころころにんにくとひこ鰯のオリーブオイル煮(アヒージョみたいなの)

材料

新鮮なひこ鰯 鍋に入るだけ
にんにく 2玉分(皮をむいて20粒くらい)
ローリエ 1枚(手で切り目を入れる)
オリーブオイル 適量
お好みで、たかの爪 1本

あれば 食卓に出せる鍋で作る。

作り方

1.新鮮なひこ鰯は、うすい塩水で洗い、水気をペーパータオルでふきとる(内臓はそのまま)。
2.鍋にオリーブオイルを入れひこ鰯、にんにく、ローリエを入れオリーブオイルを鰯がほぼ浸るくらいに注ぐ。
3.弱火にかけて、20分位にんにくがきつね色になるまで煮る。

フランスパンやゆでたじゃがいもにからめていただくといいです。

 ひこ鰯(カタクチ鰯)は、大きくても体長10cmくらいのもので。新鮮なものが手に入らなければ、生干しや丸干しのぷっくりしている内臓の入ったもので代用します。

 神奈川県佐島で買うひこ鰯は、ザル山盛りで100円。お刺し身でいただく分を手開きしたら、残りは丸ごとオリーブオイルで煮るだけ。ワタ(内臓)から、うまみが出てオイルも美味しいし、香ばしいにんにくも甘くてフランスパンやゆでたじゃがいもを煮てもいいです。

 ひこ鰯で作った時の写真がなくて、この写真は、明太子鰯で作りました。これもすっごく美味しいです。

0624-3.jpg


1泊2日の名残り苺のジャム

材料    作りやすい量

熟した苺 1パック〜2パック
砂糖 苺の量の30%~50%(グラニュー糖か白砂糖)
レモン汁 大さじ1くらい

ゴムベラ
保存ビン(煮沸する) 

作り方

1.苺は、へたをとり煮る鍋に入れ砂糖をまぶしておく。
2.翌日水分の出た1.を、中火にかけて、沸騰して、アクがわいてきたら、きれいに取り除く。
3.弱火で、焦げないようにゴムベラで混ぜ合わせる。煮詰まって、ゴムベラの跡が残るようになったら、仕上り。
4.レモン汁を入れ火を止める。
5.煮沸したばかりの熱いビンに苺ジャムを入れフタを固くしめて逆さにして冷ます。

1カ月以上保存する場合は、軽くフタをして鍋や圧力鍋で熱殺菌します。

 露地物の苺の終わりに出回る小粒の苺は、お安く手に入り、丸ごとの苺ジャムにします。自家製は風味良く甘ずっぱくて、本当に美味しいです。クリームチーズとパンと一緒にいただけば、へたなお菓子より美味しいです。作っている間家中が苺風味にあふれます。

 今が旬のブルーベリージャムは、ペクチンが多くて、すぐにとろみがつきます。苺と同じ作り方です。


鯛めし

今年は天然の鯛をよく見かけます。尾頭付きで、目出鯛(めでたい)ごはんを作りましょう。

0624-5.jpg

材料

焼いた鯛 1匹
米 3合
醤油 大さじ1
粗塩 小さじ1
昆布 5cm角(食べやすい大きさに切る)

あれば 木の芽、土鍋

作り方

1.米は炊く30分前に洗って土鍋に入れ、昆布と3合分の水600ccを入れ吸水させる。
2.1.に醤油と粗塩を入れ、米とよく混ぜ合わせる。
3.中心に鯛をおき、酒大さじ1を鯛にふり、弱火にかける。
4.沸騰したら、すばやくフタを開け、鍋底をヘラでひとかきしてフタを戻して、15分炒め、9分蒸らす。
※ひとかき→米のこびり付きとおこげを焦げさせすぎないように。
5.食卓のみんなと炊きたてのお頭付き鯛をめでたら、別皿に鯛を取り骨をていねいに取り除きます。
6.ごはんと身をふんわり混ぜ合わせ、あれば木の芽をちらしいただきます。骨の取り残しがあるかもと一言添えることを忘れずに。

0624-4.jpg

白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

おすすめの記事

編集部が厳選した、今オススメの記事をご紹介!!

  • 斎藤真理子さんインタビュー「韓国文学の中心と周辺にある

    斎藤真理子さんインタビュー「韓国文学の中心と周辺にある"声"のはなし」前編

    ミシマガ編集部

    ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞により、ますます世界的注目を集める韓国文学。その味わい方について、第一線の翻訳者である斎藤真理子さんに教えていただくインタビューをお届けします! キーワードは「声=ソリ」。韓国語と声のおもしろいつながりとは? 私たちが誰かの声を「聞こえない」「うるさい」と思うとき何が起きている? 韓国文学をこれから読みはじめる方も、愛読している方も、ぜひどうぞ。

  • 絵本編集者、担当作品本気レビュー⑤「夢を推奨しない絵本編集者が夢の絵本を作るまで」

    絵本編集者、担当作品本気レビュー⑤「夢を推奨しない絵本編集者が夢の絵本を作るまで」

    筒井大介・ミシマガ編集部

    2024年11月18日、イラストレーターの三好愛さんによる初の絵本『ゆめがきました』をミシマ社より刊行しました。編集は、筒井大介さん、装丁は大島依提亜さんに担当いただきました。恒例となりつつある、絵本編集者の筒井さんによる、「本気レビュー」をお届けいたします。

  • 36年の会社員経験から、今、思うこと

    36年の会社員経験から、今、思うこと

    川島蓉子

    本日より、川島蓉子さんによる新連載がスタートします。大きな会社に、会社員として、36年勤めた川島さん。軽やかに面白い仕事を続けて来られたように見えますが、人間関係、女性であること、ノルマ、家庭との両立、などなど、私たちの多くがぶつかる「会社の壁」を、たくさんくぐり抜けて来られたのでした。少しおっちょこちょいな川島先輩から、悩める会社員のみなさんへ、ヒントを綴っていただきます。

  • 「地獄の木」とメガネの妖怪爺

    「地獄の木」とメガネの妖怪爺

    後藤正文

    本日から、後藤正文さんの「凍った脳みそ リターンズ」がスタートします!「コールド・ブレイン・スタジオ」という自身の音楽スタジオづくりを描いたエッセイ『凍った脳みそ』から、6年。後藤さんは今、「共有地」としての新しいスタジオづくりに取り組みはじめました。その模様を、ゴッチのあの文体で綴る、新作連載がここにはじまります。

この記事のバックナンバー

03月29日
第24回 3月のお便り 白山米店お母さん
02月25日
第23回 2月のお便り 白山米店お母さん
01月26日
第22回 1月のお便り 白山米店お母さん
12月30日
第21回 12月のお便り 白山米店お母さん
11月29日
第20回 11月のお便り 白山米店お母さん
10月29日
第19回 10月のお便り 白山米店お母さん
09月29日
第18回 9月のお便り 白山米店お母さん
08月25日
第17回 8月のお便り 白山米店お母さん
07月29日
第16回 7月のお便り 白山米店お母さん
06月26日
第15回 6月のお便り 白山米店お母さん
05月27日
第14回 5月のお便り 白山米店お母さん
04月28日
第13回 4月のお便り 白山米店お母さん
03月30日
第12回 3月のお便り 白山米店お母さん
02月26日
第11回 2月のお便り 白山米店お母さん
01月27日
第10回 1月のお便り 白山米店お母さん
12月26日
第9回 12月のお便り 白山米店お母さん
11月28日
第8回 11月のお便り 白山米店お母さん
10月25日
第7回 10月のお便り 白山米店お母さん
09月26日
第6回 9月のお便り 白山米店お母さん
08月27日
第5回 8月のお便り 白山米店お母さん
07月23日
第4回 7月のお便り 白山米店お母さん
06月24日
第3回 6月のお便り 白山米店お母さん
05月26日
第2回 5月のお便り 白山米店お母さん
04月22日
第1回 4月のお便り 白山米店お母さん
ページトップへ