白山米店の季節つれづれ

第13回

4月のお便り

2019.04.28更新

 春うららかな日、屋上にある昭和の物干し台からは、裏のお家の菜の花が咲ききろうとばかりにそよ風にゆれています。

 米屋の我家は、築50年以上で、内装は数年前にリノベーションして暮らしています。昔の精米機は1階の天井まであって、大型でしたから、2階建ての屋根の上にある物干しはとても見晴らしがいいです。二子玉川の花火大会、九品仏浄土寺の森、白山神社の松の木、白日荘(故・平岩米吉邸)の90年のすずかけの木(プラタナス)ものぞめます。

 東京都にすずかけの木の大木は4カ所しかないそうです。私の大好きな新宿御苑にあるすずかけの木の大木は、周りのビルの建設で地下水が涸れ、枯れ始めているそうです。自然あっての人間のはずが、順番が変です。

 そろそろ新宿御苑では、百合の木の花がみられます。大木が2本そびえたっているのには圧倒されます。英名でチューリップツリーと云われるように、花がカップ状でかわいらしい。上野の国立博物館にもありますから、この時期会いにゆきたい大きな大きな百合の木です。

 自由が丘の通り沿いの豪邸で斑入りの百合の木が植えられていた時には、嬉しくて花の咲くのを楽しみにしていましたが、昨年は、大きくなりすぎたのか、大人の背丈程まで切られてしまって街の木はやっかい物になっているのを感じます。写真は今が満開の白山荘の「どうだんつつじ」。左奥には桜ものぞめます。

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桜との写真

 今年の桜は、寒の戻りで長く楽しめました。学校の入学式も桜の元で迎えられてほっとしました。我家の写真を見ても、桜との写真が一番多く、人生の節目を見守っている桜です。

 桜のみごろに、念願の白日荘の桜を白日荘のお隣合わせのお宅からながめる機会をいただきました。白日荘には、想像以上の自然が残されていて、空気も風も違っていました。

最近「白日荘記要」という資料が見つかり、建物が岸田日出刀、庭園が上原敬二という当時の建築、造園界の大御所を迎えてのものだとわかりました。

 区が遺贈を却下した為に売却された白日荘が壊される前に、自由が丘の散策ルートに入れていただけたらと思います。自由が丘の文化遺産を塀越しですがご覧になれます。

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母から娘へ

 93歳の母の着物と箪笥を譲り受けました。私が小学生の頃までは母は着物で生活しており、とても着物が似合っておりました。その後、洋服を着るようになっても、髪型はアップにしていた時代です。

 いただいた着物は普段着の懐かしいものから袖を通していないものまで。いつか着物での暮らしが出来たらと思っております。

 先週、娘夫婦が岩手県に住む義母様を招いて、食事会に招待してくれました。私のレシピ本が台所の棚に広げたままふせてあって、活用してくれていました。

 その日の料理は婿のリクエストの焼きぎょうざ。長方形のホットプレートで焼くのはホスト役が席をはずさなくていいですね。他に、ピータン豆腐、杏仁豆腐もとても美しくて、夫も娘の手料理に感心していました。

 私も、引き継ぐ嬉しさと、引き継がれる心地よさを感じております。

また1つ

 5月1日の元号の改正を機に、店じまいをされる自営業者も多いかと思います。

 父の代から通っている「寿々木屋」さんは、4月で60年の店を閉じられます。ここの「もも焼き」を出せば、上機嫌の家族です。代わりがないお店の閉店は、残念ですが、美味しい鶏肉を長くいただけるお店があったことに感謝いたします。

 私の水曜日のお弁当も5月からしばらくお休みいただくことになりました。米屋の営業はありますので、よろしくお願いいたします。

今月の食卓

 今年のゴールデンウィークは10日もあるそうですね。そんなにお休み出来る方は少ないと思いますが、のんびりした気分になったら作っていただきたい2品です。

  1. 旬のあさりを作ったクラムチャウダー
  2. 高級ふりかけが大量に作れる 錦松梅風大人のふりかけ

旬のあさりのクラムチャウダー

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材料(たっぷり4人分)

・あさり 400gくらい
・野菜 700g
  玉ネギ 中1個
  人参 小1本
  じゃが芋 2〜3個
  しめじ 小さいパック1袋
  セロリ 2分の1本
  長ネギ 15cm
・ベーコン 30g
・バター 40g
・小麦粉 大さじ3(27g)
・粗塩 ひとつまみ~小さじ1/4くらい
・こしょう 少々
・あさりの酒蒸し用の酒(あれば白ワイン) 大さじ2
・水 あさりの汁と合わせて 2カップ・・・(A)
・牛乳 1と2分の1カップ(300cc)

※玉ネギ、人参、しめじ、セロリは1cmの角切り、じゃが芋は1cmより大きめに切り、長ネギとベーコンは5mm幅に切る
※砂抜きあさりもあります。

作り方

下処理:あさりの砂抜き

  1. あさりは、海水くらいの塩水に浸けて半日くらい砂抜きする。貝が重ならないようにしてフタをするか、新聞紙をぬれないように被せて、調理する前日に冷蔵庫へ入れておいてもよい。
  2. 貝はけっこう汚れているので、貝どうしをこすり合わせて洗いきれいにする。
  3. 酒蒸しをする。鍋にフタをしたまま時々ゆすると、あさりがきれいに開く。
  4. 冷めたらカラを外して、半分だけ粗みじん切りにする。

  1. 鍋にバターとベーコンを入れ、中火にかける。バターがとけたら、じゃが芋以外の野菜を入れ、バターがなじんだらフタをして、火を弱火にして8〜10分蒸し煮する。(人参がほぼやわらかくなるまで)
  2. 水切りしたじゃが芋を入れて炒め合わせ、小麦粉をふり入れてダマにならないように炒める。
  3. Aの半量を入れ、ダマにならないようにとかし、残りのAとじゃが芋を加え、ゴムベラで鍋底やへりをなでながら、フツフツと煮えたら、じゃが芋がやわらかくなるまでフタをして、弱火で煮込む。(7〜8分)焦げないように時々ゴムベラで鍋底をさぐる。
  4. あさりと牛乳を入れ、絶えず底をかき混ぜながら、塩、こしょうで調味。仕上げにパセリや万能ネギを少々加えて出来上がり。

白山お母さんより

 あさりがお安い時に、砂出し、酒蒸ししておけば、すぐ調理にとりかかれます。酒蒸しは、3日くらい冷蔵できます。野菜は他に、大根、カブ、コーン缶などでたっぷりクラムチャウダーをいただけるのは、贅沢な気分になります。我家は明日、白ワインと一緒にいただきます。


梅酢でつくる錦松梅風大人のふりかけ

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材料(出来上がり量450gくらい)

・花かつお 100g

A
・切昆布(刻み昆布) 25g はさみで1cmに切る
・松の実 20g
・クルミ 40g こまかく切る
・白ごま 20g
・砂糖 80〜90g
・醤油 80〜90cc
・みりん 50cc
・梅酢 50cc 
(無ければ 酢大さじ2/水大さじ1/梅干し2こ分つぶす/粗塩小さじ1/2~1で代用)
・酢 50cc
・水 50cc

あれば、大きめの土鍋かそこが厚めの鍋で作る

作り方

  1. 花かつおは鍋で炒りながら、両手で細かくしごく。(弱火で焦げないように)
  2. 別鍋で煮立たせたAを1に合わせる。
  3. 中火より弱火にかけて、木のしゃもじでたえずかき混ぜる。15分以内で火を止める。

白山お母さんより

 焦げやすいので火加減は調整して注意しましょう。土鍋が冷めるまでそのままにしておくと、ふんわりできます。ごはんにぱらぱらかけて、いただきます。玄米にもとても合いますよ。

白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

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