第36回
クリスマスに「あの人」に贈りたい! ミシマ社の本(後編)
2021.12.17更新
メリークリスマス! ちょっとフライング気味ですが、すっかり温かく清らかな気分に満ちているミシマガ編集部の新人スミです。12月に入ってからというもの、自宅ではほぼ毎日「ジングベー ジングベー ジングベー ロック♪」と口ずさんで体を揺らし、オフィスではいきなりみなさんにシュトーレンを振る舞ったりしています。そんな浮かれた私の発案で、「クリスマスに贈る」をテーマに、メンバーにおすすめのミシマ社本を選んでもらいました!
選書のポイントは、一人ひとりが「個人的に送りたい相手」を決めて、好きな一節を引用し、メッセージを添えたところ。もちろんミシマ社の本はどんな方にも読んでいただきたいのですが、今回ばかりは、ピンポイントでユニークな紹介文と、具体的な状況を思っているからこそ漂ってくる愛のようなものをお楽しみいただければと思います。
そして、これを読んで「私にもピンポイントに届いた!」「これって、まさにあの人みたい」と感じてくださいましたら、ぜひ、その本をご自分や誰かへの贈り物として選んでいただけますとうれしいです。本日は後編をお届けします!
最近じてんしゃを買ってもらった姪へ
『わたしのじてんしゃ』益田ミリ(作)平澤一平(絵)
だって このじてんしゃ みんなと いっしょのほうが たのしそうなんですもの!
姪が買ってもらったじてんしゃも、この絵本に出てくるじてんしゃにそっくりの緑色です。初めてのじてんしゃで公園までの道をあきらめずにのった姪にプレゼントしたいです。いつかおともだちといっしょに、じてんしゃで遊びにいけるといいね。(サトウ)
友だちへ
『今夜 凶暴だから わたし』高橋久美子(詩)/濱愛子(絵)
ときどき
花瓶の水をこぼしたくなること
あるんだよ この手で
お陰さま なんて
言えないときが
あるんだよ
結婚し、子育てをしている彼女。時々届く手紙は、子どもや家族、読んだ本のはなしなど、楽しい内容。だけど、日々いろいろあるんだろうな、とすごく感じます。この本が、かわりにパンチしてくれる気がするので、贈ります。(ハセガワ)
デッチの大成くんへ
『三流のすすめ』安田登
さて、人間には一流をめざせる人と、そうではない人がいます。
ギターが弾けて、映画にも詳しく、服屋でバイトをして、フットワークも軽い大成くん(※「デッチ」とは、ミシマ社にお手伝いにきてくれている学生さんのことです)。そんなきみには「三流人」になれる素質があります。これまで御所だったり、鴨川だったり、居酒屋だったり、いろんな場所でやりたいことや将来の話を聞いてきましたが、1つに決めなくて大丈夫! 胸を張っていろんなことに手を出して、飽きて、また違う何かに惹かれて・・・。立派な三流人として生きていってください。(タブチ)
飲みすぎの親戚一同へ
『上を向いてアルコールーー「元アル中」コラムニストの告白』
小田嶋隆
それは脳の問題もあるんでしょうけど、肝臓の許容量の問題かもしれない。同じように飲んでも、肝臓の分解能が追いついていないと、あるとき肝臓が急に分解し始めたタイミングで、急激に酔いが回るようになります。
普通に飲んでいるつもりで、別にペースを上げているわけでもないのに、気づいたらわけが分からなくなっている。あの現象はこれだったのか! というのは今までの人生で3本の指に入る発見でした。親戚のみなさんも、雪国での生活なのでお酒を飲みたい気持ちはわかりますが、肝臓が分解していないアルコール量を計算しながら飲んで、お正月を楽しく過ごして、長生きしてください!(スガ)
ロシアにいる、姉のような合気道の先輩マーシャへ
『気のはなし――科学と神秘のはざまを解く』
若林理砂
医術だけでなく、巫術だけでもなく。そのどちらにも偏らず、巫術すらも理屈で読み解き、科学と神秘のはざまを自由に行き来するのが現代の東洋医学使いだと思っています。
何年も前に、冬の駅のホームで「マーシャ、合気道の『気』って何だと思う?」と尋ねました。「ちょっと手をこんな感じに構えてごらん。・・・ほら、ここで空気が渦を巻いているように感じない?」「・・・! 感じる!」「でしょ」という怪しくも楽しい会話をしたこと、そして、たしかに手のひらを撫でた「渦」の感覚を、今もよく覚えています。何言語もの世界を行き来して、理知的で、好奇心の塊で、優しい心を持つ姉貴にぴったりの本です。(スミ)
※『気のはなし』は、2022年1月20日発売予定です。全国の本屋さんでご予約受付中です!
来年就職する恋人へ
『菌の声を聴け――タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案』
渡邉格・麻里子
私のモノ作りの目的は「美味しい」とか「かっこいい」ではない。極端に言えば、「美味しくない」モノを作ってもいいのではないだろうか?
これまで身につけてきた「常識」がガラガラと崩れ落ちた一冊でした。タルマーリーのおふたりがパン作りやビールづくり、お店の経営を通じてお考えになったことは、仕事論としても吸収するところが多いうえ、「消費者としての態度」や、「地球との向き合い方」など、社会を生きるひとりの大人として考えておきたい問いに対する示唆を与えてくれます。人生におけるひとつの区切りとなるタイミングで読んでほしい一冊です。(ヤマダ)
いかがでしたでしょうか? ほっとするものから、ひやっとするものまで(?)、個性的な紹介文が集まりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし、ミシマ社の本に関心を持ってくださったら、ぜひ、オンラインの「ミシマ社の本屋さんショップ」をご覧いただけますとうれしいです。2021年中は、本を購入くださった方に無料で『ミシマ社創業15周年記念目録』もお送りできます!
一年の終わりに、みなさまによい本との出会いが訪れることを祈っております。素敵な12月をお過ごしください!
(おわり)
編集部からのお知らせ
12/15(水)~12/28(火)『てがみがきたな きしししし』原画展 in 恵文社 一乗寺店
京都の恵文社 一乗寺店で『てがみがきたな きしししし』の原画展を開催中です!
これまで、nowaki(京都)、曲線(仙台)、READAN DEAT(広島)、URESICA(東京)と全国を旅してきたこの原画展。ご覧になった方からは、「作品の色合い、質感、とても素晴らしいです。網代さんの世界観が大好きです」、「動物の毛並みまで細かく描きこんであったり、シュール、時にファニーな表情などもずっと眺めていたいなと思いました」など、感激の声をいただきました。
会場では原画のほか、網代さんご自身が音楽を担当したショートムービーや、おばけにお手紙を書いて送る(?!)「おばけポスト」も登場。内装やお店の雰囲気にファンも多い、恵文社さんならではのディスプレイも、必見です。
観る人を虜にするちょっと不思議でおかしな網代ワールド、この冬たっぷりとお楽しみください!
12/15(水)~1/7(金)『みゃーこ湯のトタンくん』原画展 in 青山ブックセンター
そしてそして、東京の青山ブックセンター 本店では『みゃーこ湯のトタンくん』の原画展を開催中です!
どのページも眺めているだけで胸がきゅーっとして、ぽかぽかになってくる。トタンくんの世界の可愛さと温かさを、ぜひ、原画から直接感じていただきたいです。猫好き、銭湯好きなら、間違いなく心を奪われ、そのどちらでもない方でも、スケラッコさんの絵を眺めれば身も心もじわ~っと緩んでくるはずです。
会場には、原画に加えて、スケラッコさんがネーム、下絵、ペン入れ、塗りなどの制作工程をまるごと紹介してくださった「マンガ、こうやって描いてます」パネル、「みゃーこ湯」の舞台裏・メイキング資料、フォトブースなど、素敵なコーナーがたくさんあります。オリジナルグッズとして、スケラッコさん描き下ろしの銭湯タオルとトタンくんTシャツも販売しておりますので、ぜひ、足をお運びくださいませ!