第77回
働く私たちが、自分を手当てするときに頼るミシマ社の本
2024.06.12更新
こんにちは。ミシマガ編集部のスミです。
最近、『謎の症状――心身の不思議を東洋医学からみると?』や『元気じゃないけど、悪くない』といった本たちを刊行したこともあってか、いまミシマ社の社内では「心身のケア」がホットトピックになっている気がします。というのも、生活習慣を整え、運動し、ひそかに働き方まで変わっているように見えるメンバーがちらほらいるのです。
そんなメンバーを私が勝手に選出し、「自分をケアするとき、どんな言葉を指針にしてますか?」と聞いてみました!
働く日々に不調はつきもの。そんなときにこの本のこういう言葉が響くんです・・・という実感の声をお届けします。
『謎の症状――心身の不思議を東洋医学からみると?』若林理砂著
◎64人の「謎の症状」の相談に、鍼灸師の若林先生が回答。緊急事態ではないけど、ちょっと困る、という不調の原因を紐解きます。
「心がザワザワする」場合は、体をザワザワさせてバランスを取るといいのです。(p.162)
【選:仕掛け屋ハセガワ】若林先生の本で度々提示される運動の重要性。『謎の症状』の序盤でも先生自らが読者の声を代弁して「先生、また運動? 運動運動うるさいんだけど」と書いているのですが、はい、私も実はちょっとだけ、そう思ってました。
ところが読み進めていくうちに、「現代人は頭脳労働者が多い」(p.34)ゆえ様々な不調が起こっているとの説に出会い、なるほど! と。
たしかに、最近私が「あー疲れた」と思わずグチってしまうときって、仕事が終わってないとか、人間関係でめんどくさいことがあるとか、心の疲れごとが多い。健康にいいから運動しましょう、って言われるとめんどくさい気持ちが勝ってしまいますが、心身のバランスをとるために、という理にかなった説明なら素直に受け入れられる気がします。というわけで、私がこの本の中に出てくる「5分ラン」をはじめて今日で4日目です。
*
特定の味わいの過剰摂取は禁物です。気をつけましょうね。(p.68)
【選:編集ホシノ】この言葉、「疲れると、ジャンキーなものを食べたくなります」という症状に対する、若林先生のコメントなのですが、はい、まさにこれ、私です。
今まで、疲れると、ひたすらに塩気に走っていたのですが、最近は若林さんのこの言葉を思い出し、とりあえず、熱いお茶を入れて一服する、ようにしています。たしかに、そのほうが、疲れを引きずらない気がしています。
『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話――「寝る・食う・動く」を整える』若林理砂著
◎ミシマ社大定番の「養生本」。生活を整えるためのポイントを抑えたいという方は、まずこれから!
私は、鍼灸の臨床でよく「手数が多いのは自信がない証拠」と言います。(p.52)
【選:編集ノザキ】「働きすぎで休まない」現代の日本人に対する、若林さんの一節。疲れているときに、ダラダラと床に寝っ転がって、動画を見る、みたいなことがなくなりました。仕事は効率よく短時間でやって早く帰る。そこで満足せず、早く帰ったら早く寝る。たくさんやらない。その効用を若林さんの本で学びました。
『気のはなし――科学と神秘のはざまを解く』若林理砂著
◎東洋医学で大事な「気」って何? に応える一冊。私たちの体内をめぐるこの不思議なものを紐解くと、自分の体調をぐっと深く捉えられるようになります。
まあ、たしかに体内で気を練ると気の塊が体内を巡るような感じがしてくるし、うまくいくと体内がフラッシュして光って見えたりします。ただし、それだけの話であり、おそらく私は不老長寿にはなっていませんし、ちゃんと歳もとっています。人の体には、呼吸を利用した修養を行うとさまざまな不思議な経験をする機能は備わっているようですが、だからといって実利になることはなさそうです。(p.79)
【選:営業スガ】調子が悪くなると、日常とは違う次元の力に救いを探りたくなります。目に見えない「気」を使いこなして、自分の体調も身の回りも万事が万事思いのままに・・・という期待を持ってしまったりもするのですが、どうやらそういうものでもなさそうです。
「気」は無視するものではないが絶対視するものではなく、養生の道標にするとちょうど良さそうです。本書にはそのヒントがつまってます!
『元気じゃないけど、悪くない』青山ゆみこ著
◎自分の心と身体って、思い通りにならない。想像を超えている。そろりそろりとアプローチしていった著者の肉声が、不調とつきあうときの支えになります。
なぜか急に苛立ったり、嫌なことを思い出したりしてしまうとき、そういえばお腹が空いていたり、寒いのを我慢していたり、眠たかったり、どこかが痛かったり......実は身体的な「不快」が先にあることに気がついた。(p.204)
【選:編集スミ】この本は「自分の心と身体」の感じ方が変わる、はっとする言葉の宝庫なのですが、なかでも特に私がよく思い出すのがこの一節です。仕事をしていると、あわあわしたり、イラッ!としたり、もうだめだ・・・となったりすることが多く、以前はそういう気持ちに「気合い」や「論理」でがっつり向き合おうとしていたのですが、「これは、身体のほうが疲れているのかも」と思うようになってから視点が変わり、感情や思考をぐらぐら揺らす自分をホドホドにあしらえるようになりました。
よく寝る、よく歩く、を日常の基本にして、行き詰ったらお茶を一杯飲むなど、身体のほうを労っておくと、そのうちに心もケロッとしている、ということがけっこうあって、自分自身のことがおもしろいです。
***
いかがでしたでしょうか。同じ職場の仲間が、仕事しながらどんなふうに自分をケアしているのかが垣間見えて、なんだか親近感が湧き、こういうことを共有するっていいなぁと私は思いました。
雨が増え、きっと室内で過ごす時間も長くなるこれからの時期、本日ご紹介した本を手にと取ってみていただけたらうれしいです!