第28回
『ちゃぶ台』次号は10号! こんどの特集は「ボゴボゴ」!?
2022.09.03更新
こんにちは、ミシマガ編集部です。
現在、『ちゃぶ台9』の特集「書店、再び共有地」に、読者の方々よりたくさんのご感想のおはがきをいただくなど、大きな反響をいただいています。取材記事で登場する「共有地」の本屋さんに、「記事を読んで行ってみました」というお声もいただいていて、すごく嬉しいです。
特集:「書店、再び共有地」現代に生きる「共有地」たりうる本屋さんを渾身取材!!
Seesaw Books(北海道・札幌)
ブックカフェ「フルハウス」(福島・南相馬)
栞日(長野・松本)
Antenna Books & Cafe ココシバ(埼玉・川口)
ポルベニールブックストア(神奈川・鎌倉)
ブックハウスひびうた(三重・津)
毎日食堂/MAINICHI STORE(兵庫・南あわじ)
ウィー東城店(広島・庄原)
汽水空港(鳥取・東伯)
うなぎBOOKS 旧塚本邸(福岡・八女)
◎特集対談 平川克美×辻山良雄 「小商いをはじめたら、共有地ができてしまったーー喫茶店店主と書店店主が語る」
次号はいよいよ10号。これまでのちゃぶ台の歩みを振り返ってみると、創刊号の「移住×仕事号」から、様々なテーマを取り上げて来ました。
「ちゃぶ台」バックナンバー
●ちゃぶ台「移住×仕事」号
●ちゃぶ台 Vol.2 革命前々夜号
●ちゃぶ台 Vol.3 「教育×地元」号
●ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台 Vol.4 「発酵×経済」号
●ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台Vol.5 「宗教×政治」号
●ちゃぶ台6 特集:非常時代を明るく生きる
●ちゃぶ台7 特集:ふれる、もれる、すくわれる
●ちゃぶ台8 ミシマ社創業15周年記念号 特集:「さびしい」が、ひっくり返る
●ちゃぶ台9 特集:書店、再び共有地
「生活者のための総合雑誌」としてリニューアルした6号から、「『さびしい』が、ひっくり返る」、「ふれる、もれる、すくわれる」など、ユニークな特集が続いていています。そのため、書店員さんから注文のお電話をいただく際に、「今回のあの長い特集なんだっけ、あのひっくり返るやつ」「『ふれる、もれる』みたいな本はありますか・・・?」など戸惑い(?)の声をいただくことも。
大台到達で注目の10号の特集は? 書店員さんも注目の特集名を、編集長ミシマより発表します!
特集:母語ボゴボゴ、土っ!:編集長・ミシマより
前号を校了した時点で、次号の特集は「母語」にしようと決めていた。
背景には、ロシアによるウクライナ侵攻がある。侵攻直後の3月初旬に、小山哲・藤原辰史、両氏による「歴史学者と学ぶウクライナのこと」をMSLive!で開催し、それをもとに書籍化を緊急で進めることになった(『中学生から知りたいウクライナのこと』として6月に発刊)。そうした過程で、さまざまな本を読み、さまざまな疑問が出てきた。その最大のひとつが言語だ。ロシア語公用語化が進められた時代、ウクライナ語での表現が禁止。それでも「誰もが詩人になれるような、美しい言語」であるウクライナ語で詩作する人もいた(『おっぱいとトラクター』)。母語のもつ力を知ると同時に、「mother tongueを日本では母国語と訳していた」という話を思い出した。もちろん、今ではそんなことはないが、母語と母国語の違いをあまり意識せずに使っていたのかもしれない。そもそも、なぜ学校で習うのは、「日本語」ではなく「国語(国(の言)語)」なのだ? そう考えると、「外国語」という呼び方も不思議だ。ソ連占領下で使われるウクライナ語を、日本ではどう呼んでいたのか。当時国際法上「国」ではないため、外「国語」と位置づけられなかったはず。
こんなふうに考えると、わけがわからなくなってくる。特集を考えた時点から、これを書いている7月中旬時点で約2カ月経ったが、編集長である私の脳には靄がかるばかりだ。そのうえ、「土っ!」ときた。企画会議で突然、「土っ!」を加えることで、俄然おもしろくなる、と直観した。
しかし、今では、いったい、何を特集していいのかすらわからなくなった感がある。靄から霧へ、入りつつある。そんなある日、「共有地」と呼ぶにふさわしい本屋さん(pelekas book・埼玉県草加市)のイベントに呼ばれた。そこで、「今、(次号特集は)霧のなかです」と話すと、お客さんが「母語を土着の言語と考えると、つながるのでは?」と指摘を受けた。なるほど、そうか。「土っ」はここから来たのだろうか。
いつにもまして、私自身がわからない本号。校了するときには、霧はもちろんのこと、すっきり靄も晴れていてほしい。
書店員さんも注目の特集名は、「母語ボゴボゴ、土っ!」となりました。「ボゴボゴボゴ」と、今回も不思議な響きです。不思議といえば確かにミシマも言っている通り、「国語」と「日本語」や「母国語」と「母語」という言葉を、明確に分けずになんとなくどちらも使っている現状も不思議に思えます。
その特集を形にするべく、12月の刊行に向けて、制作・取材がスタートしています。
そして、今号もMSLive!での公開取材「ちゃぶ台編集室」を開催します! ウスビ・サコ先生が登場される「編集長が訊く! サコ先生、『母語』ってなんですか?」は、まさに特集のど真ん中を突く時間となりそうです。
「母語ボゴボゴ、土っ!」の正体を見せてくれそうな今回の「ちゃぶ台編集室」、来週木曜日(9月8日)の19時より開催します。
【9/8(木)開催】「編集長が訊く! サコ先生、『母語』ってなんですか?」
<内容>
サコ先生にとって、「母語」ってどんな言葉でしょうか?
ミシマ社が半年に一度刊行する雑誌『ちゃぶ台』。
「母国語」でも「外国語」でもなく「母語」。 日本人の多くは、自分の母語を日本語と思い、
では、一体、母語とは何か?
こうした疑問をもったとき、
バンバラ語、マリンケ語、ソニンケ語、英語、フランス語、
生まれたときから複数の言語に囲まれて生きてきたサコ先生にとっ
そして、母国語/外国語、日本人=日本語を話す人、
大学で言語をたくさん学ぼうとする若者へ伝えていることは?
言語の達人であるサコ先生に、
<開催概要>
9月8日(木)19:00~20:30
※お申し込みの皆さまには、後日アーカイブ動画をお送りします
<出演>
ウスビ・サコ
(聞き手:『ちゃぶ台』編集長 三島邦弘)
<参加費>1,650円(税込)
<登壇者プロフィール>
ウスビ・サコ(Oussouby SACKO)
マリ共和国生まれ。国費留学生として北京語言大学、
1990年、
暮らしの身近な視点から、
次号特集の「母語ボゴボゴ、土っ!」が不思議な響きと書きましたが、そもそも「ちゃぶ台」という雑誌の名前から不思議で、書店の文芸誌コーナーで並んでいるのを眺めていると、自分の会社の本でありながら、妙な気持ちになることがあります。
考えてみると、言葉もちゃぶ台も、暮らしの中心にあるものと言えそうです。そう言ってみれば、ちゃぶ台の上に母語(と土も)をのせて、みんなで囲みながら論じる、そんな取り合わせは「生活者のための総合雑誌」にぴったりなのかもしれません。
どんな一冊になるのか、予想もつきませんが、ぜひ一緒に楽しみにお待ちいただけいただけますと嬉しいです。
編集部からのお知らせ
【9/10(土)】平川克美×平松佑介×加藤優一「銭湯の編集術 番外編 銭湯のあるくらし~共有地としての銭湯の現在~」@SPBS TOYOSU&オンライン配信
<開催概要>9月10日(土)14:00~15:30
<出演>
平川克美
平松佑介(小杉湯三代目)
加藤優一(銭湯ぐらし代表)
<会場>
【オフライン】SPBS TOYOSU(東京都江東区豊洲2-2-1 アーバンドックららぽーと豊洲3 4F
【オンライン】Zoom ウェビナーを使用します。
<定員>会場視聴 30名 / オンライン 上限なし
<参加費>
【会場視聴】
・会場視聴チケット:2,200円(税込)
・『共有地をつくる』書籍+会場視聴チケット:4,360円(
【オンライン】
・オンライン視聴チケット:1,650円(税込)
・『共有地をつくる』書籍+オンライン視聴チケット:3,
■ 主催・企画:SPBS THE SCHOOL
■ 協力:ミシマ社
<内容>
生活スタイルが多様化したことにより、
街の中で人と人が顔を合わせる交流の場=「共有地」
SPBSで今年5月~7月に開催した連続講座「銭湯の編集術」
今回は「銭湯の編集術」のスピンオフ企画として、
「共有地としての銭湯の現在」
ゲストには今年『共有地をつくる わたしの「実践私有批判」』を上梓した
文筆家・平川克美さん、高円寺の老舗銭湯「小杉湯」三代目番頭・
〈銭湯ぐらし〉代表・加藤優一さんをお招きします。
「誰のものでもないが、
わたしたちの生活はずいぶん風通しの良いものになるのではないか
共有地として発展し続けている高円寺の老舗銭湯「小杉湯」
エリアリノベーションの観点から銭湯を軸として街の地域資源を生
3人が考える共有地としての銭湯のあるくらしとは。
銭湯、食堂、喫茶店、縁側……
誰のものでもあり、誰のものでもない場所、「共有地」
<登壇者プロフィール>
●平川克美(ひらかわ・かつみ)
文筆家、「隣町珈琲」店主。1950年、東京・
早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、
1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。2014年、東京・荏原中延に喫茶店「
著書に『小商いのすすめ』『「消費」をやめる』『
●平松佑介(ひらまつ・ゆうすけ)
1980年、東京生まれ。小杉湯3代目。
住宅メーカーで勤務後、ベンチャー企業の創業を経て、
2017年に株式会社小杉湯を設立、
●加藤優一(かとう・ゆういち)
1987年生まれ。東京都杉並区の銭湯「小杉湯」を起点に、
近作に「佐賀県庁・城内エリアリノベーション」「
(社)最上のくらし舎理事、公共R不動産/