第1回
内田樹先生の新刊『日本習合論』来月発売!
2020.08.23更新
こんにちは。営業のモリこと岡田森です。内田樹先生を勝手に師と仰ぎ続けてそろそろ10年になります。
そんな私が今日皆様にお伝えするニュース、それは・・・
9/19(土)に内田樹先生の新刊『日本習合論』を刊行します!!
今日のミシマガでは、『日本習合論』の概要と、気になる目次、さらに書影ラフをご紹介します!
『日本習合論』とは
外来のものと土着のものが共生するとき、
もっとも日本人の創造性が発揮される。
どうして神仏習合という
雑種文化は消えたのか?
共同体、民主主義、
農業、宗教、働き方...
その問題点と可能性を「習合」的に看破した、
傑作書き下ろし。
壮大な知の扉を、
さあ開こう。
以前、内田先生の『日本辺境論』を読んだ時に私の中で「辺境」という言葉の持つ意味が大きく変わったのですが、今回も「習合」の意味が書き換わる大論です!
「習合」という言葉、耳馴染みがありませんでしたが、これから日本の諸相を論じるための新しいキーワードになることは間違いありません。
さらに『日本習合論』は書き下ろしの単著です。
内田先生の著書はたくさん出ているものの、そのほとんどは連載や対談の単行本化で、書き下ろしの本は滅多にありません。
誰も見たことがない内田先生の文章が満載です。大変贅沢な一冊です。
目次を公開!
『日本習合論』、編集チームが全力で製作中なのですが、その中から先日確定したばかりの目次を公開します!
第一章 動的な調和と粘ついた共感
第二章 習合というシステム
第三章 神仏分離と神仏習合
第四章 農業と習合
第五章 会社の生命力を取り戻す
第六章 仕事の概念を拡大する
第七章 日本的民主主義の可能性
第八章 習合と純化
目次を見るだけで、「大風呂敷感」が分かっていただけるかと思います。
「習合」は元は宗教の言葉ですが、内田先生の思考はその枠組を軽々と飛び越え、共感、農業、仕事、民主主義・・・とさまざまな領域を横断していきます。
製作中の書影ラフはこちら!
『日本習合論』の内容と、内田先生の大傑作であることを表現すべく、尾原史和さんと装丁を作り込んでいます。
まだラフなのですが、こんな表紙になります。
この画像の段階ではちょっと文字が読みにくいのですが、実際の印刷では文字部分が箔押しという技法で輝きます!
今から刷り上がりが楽しみでなりません。
内田先生のTwitterで探る日本習合論
実は内田先生、Twitterで日本習合論を書く過程を実況中継してくださっていました。
私は内田先生のツイートを全部読むことを日課にしているので、習合論という言葉が出るたびにワクワクしておりました。
先生のツイートから、日本習合論の内容が分かるものを一部ご紹介します!
最初のツイート
思えば僕の『日本辺境論』のアイディアの基本は大瀧さんの「分母分子論」を応用したものだったことを本を書いてから10年経って気づきました。いま「神仏習合論」を語りながら「あ、これも『分母分子論』だ・・・」。 https://t.co/JsZys8nsXs
-- 内田樹 (@levinassien) September 12, 2019
遡れる最初のツイートは昨年9月のものです。
実は内田先生は、昨年10月の『ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台Vol.5 「宗教×政治」号』に「街場の宗教論(序) 150年の怨讐の彼方から蘇る「動く宗教性」」という文章を寄せていただいています。これが『日本辺境論』につながっているのです。
土着のものと外来のもの
『日本習合論』(仮題)73頁まで来ました。ようやく4分の1。前途遼遠であります。これは日本文化が活性化するのは外来のものと土着のものが習合して化学変化を起こした場合であるという仮説を検証するものです。『日本辺境論』の続編みたいなものですね。漱石からはっぴいえんどまで論じます。
-- 内田樹 (@levinassien) March 31, 2020
日本習合論では、"外来のものと土着のものが習合して化学変化を起こす"というアイディアに基づき日本の諸相を論じていきます。
働き方改革
『習合論』いまは「働き方改革」のところ。株主と経営者はほんらい相性がよくないんですけど、それは「時間をはかるものさし」が違うからという話。この世のものはおおかたが「食い合わせの悪いもののカップリング」でできてるんです。僕らにできるのは「湯加減調整」だけです。
-- 内田樹 (@levinassien) May 5, 2020
『習合論』はこの「食い合わせの悪いもの」をどうやって折り合わせてゆくかについてのお話です。「どうです、ここはひとつナカとって」主義の理論書なんですけど、先行する実例というと、なんとカミュの『反抗的人間』くらいしかないんですよね、これが。
-- 内田樹 (@levinassien) May 5, 2020
私はリアルタイムでこのツイートを見た時に「習合論と働き方改革・・・?」と怪訝に思いましたが、ちゃんと繋がっているんです。
民主主義
午後はずっと「習合論」の民主主義の項を書いておりました。民主主義もそれを賦活する「土着の物語」を必要としているんですよ。でも、日本には民主主義を賦活する物語がないんですよ。大正デモクラシーのときは「武士道」というのがあったんですけどね・・・
-- 内田樹 (@levinassien) May 12, 2020
民主主義という外来のものと、土着の何が習合したのか。論考は進みます。
「話を複雑にする」
『日本習合論』の基幹的な主張は「話を複雑にしよう」です。「話を簡単にする人たち」のもたらす弊害にいい加減気が付いてもいい頃じゃないんですか。難問については「まだよくわからん」でいいじゃないですか。よくわかんないのでとにかく思いつく限りあれこれやってみます、で。
-- 内田樹 (@levinassien) July 22, 2020
『日本習合論』再校ゲラリタッチだん。これで手を離れます。本が出るのは秋です。『百年目』と「はっぴいえんど」と富永仲基と新渡戸稲造と伊勢御師と農業とコモンをまとめて「習合」スキームで論じた変な本です。「話を複雑にする」ことをめざして書いた本ですけど、割と読みやすいと思います。
-- 内田樹 (@levinassien) August 10, 2020
さあ、複雑なこのお話、いったいどんな本になるのか・・・!?
ここまで読んでくださった方も、出てくる話が多すぎて、どんな本になるのかさっぱりわからないのではないのかと思います。でも、そういう複雑で唯一無二な本なのです。
ぜひ、本として完成した『日本習合論』を手にとって、「なるほど、そういうことか!」と読んでいただければ幸いです。
9/19(土)の刊行をどうぞお楽しみに!
内田先生のオンラインイベントを開催します!
「『日本習合論』発刊記念 これからの時代は<習合>で生きる」と題してオンライン対談イベントを開催します!
内田先生と、内田先生の著作の韓国語訳を数多く手掛けている朴東燮先生に対談いただきます。
日時:9月17日(木)19時〜20時30分 (休憩10分含む)