電子書籍第7弾、『上を向いてアルコール』『縁食論』を刊行!
2020.12.22更新
こんにちは。電子書籍担当のモリこと岡田森です。
今年からスタートした電子書籍もついに第7弾!
今月はこの2冊をリリースします!
飲み会も会食もいつもと違う年末に、じっくり読みたい2冊です。
そして今日のミシマガでは電子化を記念して、『上を向いてアルコール』のまえがきを公開します!
忘年会がなくなっても、ステイホームによってアルコール依存症のリスクが増している年末、心身の健康のため必読の本です。
小田嶋隆『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』
告白──「まえがき」に代えて
二〇代の終わりから三〇代にかけて、私はアル中でした。
朝からジンの水割りを少しずつ摂取する生活を長年続けた結果、水さえ喉を通らない体調の日が定期的に訪れるサイクルに陥っていました。それでも、点滴を打って、飲むことを続けていました。自分は絶対にアル中なんかではない、と。疑うことさえしませんでした。
やがて、あることがきっかけで病院に行くと、そこで医者に宣告を受けました。
「四〇で酒乱、五〇で人格崩壊、六〇で死にますよ」
あれから約二〇年が経とうといういま、自分がアル中であったこと、脱アル中への道がどんなものであったかについて話をする気持ちになりました。
「アルコール依存は治らない。けれど、〝断酒中のアル中者〞として、暫定的な断酒を一日延ばしに続行することはできるかもしれない」
これが、一度アルコール依存症になった人について語られる言葉です。
その意味で、いまも私は〝断酒中のアルコール依存者〞です。この状態は、坂道でボールが止まっているみたいなもの、だと言われています。
ですから、多くの患者は、再び転げ落ちることになる。ほぼ、全員と言っていいかもしれません。
にもかかわらず、私はなぜ、なんとか踏みとどまっていられるのか?
このテーマについて考えるのは、自分としても怖いというのか、気が進まないというのか、とにかくどこかしら不愉快なことで、正直なところ、酒についてのあれこれを直視することを約二〇年、ひたすらに避けてきました。
今回、何日もかけて少しずつ話すことで、自分のなかで、多少整理がついた実感があります。具体的に言うと、あの頃の自分が何だったのかについて、一定の解答を見つけた気がしているということです。そして、あらためて、周りを見回してみて、けっこうな人たちが「予備群」だということにも気がつきました。
二〇一三年に厚生労働省の研究班が発表したデータによると、日本には、ICD-10という診断基準で「アルコール依存症患者」と診断されている患者が、男性で約九五万人、女性で約一四万人存在しています。予備軍と見なされる人の数は、男女でそれぞれ、二五七万人と三七万人にのぼります。
この本は、できればそういう人たちに読んでほしいと思っています。
アル中は遠くにありて思うものです。
山にかかる雲と同じで、その中にいる人には、なかなか気づくことができません。
一度、雲の外に出てみないと、視界が確保できないからです。
私の告白が、雲の中で苦しんでいる仲間にとっての蜘蛛の糸みたいなものになったら良いなと思っています。
まあ、私はお釈迦さまではないわけですが。
小田嶋隆
小田嶋隆『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』
縁食論――孤食と共食のあいだ
11月に刊行した話題の『縁食論』、早くも電子版を刊行します!
「縁食」という新しい食の形を提唱する藤原先生のお話、会食が難しい年末年始にじっくり噛みしめてみてはいかがでしょうか。
すでに京都新聞に著者インタビューが掲載されたほか、年末年始にも各種メディアで紹介予定です。お楽しみに!
また、藤原辰史×松村圭一郎のMSLive!対談「縁食から世界を変える」 も動画配信中です!
電子、ライブ配信、動画、そして紙の本。
さまざまな形で「おもしろい!」をお届けします。
お好みの方法で楽しんでいただければ幸いです。
→特設ページからも各書籍の販売ページにリンクできます!
今月のリトルモアさんは、脚本家・坂元裕二さんの書籍『往復書簡 初恋と不倫』『またここか』を2冊同時刊行!
来年1月には坂元裕二さん脚本の映画『花束みたいな恋をした』も公開、いま読みたい2冊です!