第14回
父の日に本を贈る(1)ミシマ社メンバーが父に贈る一冊
2019.06.08更新
みなさまこんにちは。いきなりですが問題です。
今年の父の日は何月何日でしょうか? ヒントは日曜日です。
母の日に比べて、見落とされがちな父の日(ミシマ社調べ)。正解は来週末の日曜日、6月16日です。母の日の贈り物には、カーネーションという定番がありますが、父の日は思いつきません(黄色のバラが定番らしいです。知らなかったのは私だけかもしれませんが・・・)。
ミシマガ編集部は、本を贈ることを提案します!
そこで、今日と明日は、父の日特別企画でお送りします!!
本日は、「ミシマ社メンバーが父に贈る一冊」。どんな本を贈るのでしょうか?
よその家のお父さんの話って、聞いていておもしろいですよね。
『ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう』スティーヴン・ホーキング(NHK出版)
「父に贈る一冊」・・・なかなか難題でした。というのも、私と父、全然、趣味嗜好が違うのです。
お互いが読んだ本の話をすることもあるのですが、「ふーん」「へぇー」くらいの距離感。
でも昔、『ホーキング、宇宙を語る』について話したときには盛り上がった記憶があって本書を選びました。
今回、父の目線を想像しながら巡った本屋さんの棚は、いつもと違って見えて、「本を贈る」って面白いなとあらためて感じました。
みなさまもぜひ。
『数学の贈り物』森田真生(ミシマ社)
10年ほど前だっただろうか。父が急に数学の参考書を買い、問題を解き始めた。
聞いてみると、どうやら数学の先生になりたいらしい。え、今から? と驚いたが、数学おもろいわ、などと言いながら参考書を開いていた姿はなんだか新鮮だった。
『数学の贈り物』のなかに、「学びが終わるということはない」という一文がある。父はこの一文をまだ読んではいないが、心で知っているような気がする。
私の父は声がでかい。何歳になっても好奇心が旺盛である。困っているひとがいるとすぐに力になろうとする。でも、家族には無神経。
この本を読んだときに私が感じた、なにか透き通った気持ちの良さのようなものを、そんな父にもあげたいと思った。
父はいま、学習塾で数学を教えている。なんだか毎日楽しそうだ。本の感想を聞きがてら、たまには実家に帰ろうかな。
『世界一うつくしい昆虫図鑑』クリストファー・マーレー/著、熊谷玲美/訳(宝島社)
幼い甥っ子がいる。たぶん、昆虫が気になるお年頃・・・のはずだ。父にとっては初孫で、たまに帰省すると、甥っ子の前でデレデレしている。父は理系の研究職なので、図鑑の類は持っている方だと思うけど、結構難しいものも多い。だからこの本を孫と一緒にめくりながら、「この虫は〇〇って言うんだよ・・・云々」と物知りじいちゃんになってくれたらいいな、と思う。
『しあわせしりとり』益田ミリ(ミシマ社)
父の日に贈る一冊をあれこれ悩みながら、ミシマ社本のなかにいる「父」のことを考えた。『数学の贈り物』の著者、森田真生さんが、目の前の息子に父として向き合うまなざし。久住邦晴さんの遺稿をまとめた『奇跡の本屋をつくりたい』に収録された、娘・クスミエリカさんのあとがき。そして益田ミリさんのエッセイ集『しあわせしりとり』のなかの「父のいない父の日」。
私の母も、ちょうど一年前の6月、父を亡くした。つまり私は、祖父を亡くした。一年が経ってもなお、私はどうしても祖父の死を受け入れられないのだが、「父がいない世界を、わたしは、わたしの時間配分で受け入れていきたかった」というミリさんの言葉に、何度も深く救われた。「父に」贈る一冊を選ぶという企画に期待を膨らませた父が泣く可能性があるけれど、今年は初めて「父のいない父の日」を迎える母に、『しあわせしりとり』を贈ろうと思う。
『cook』坂口恭平(晶文社)
父に贈る本を選ぼうと本屋に行って、足が止まった。父がどんな本を読むのか、そういえばよく知らない。
本屋の各ジャンルを2週ほど回って、諦めた。やめたやめた。こういうのは、ジャンルで選ぶもんじゃない。
というわけで、通りすがりで目が合った本をプレゼントすることにした。前からちょっと気になっていた、異色の料理書。
店頭でめくりつつ、父が読んだら面白がってくれるかを考える。うーん、見当もつかない。贈った後に感想を聞いてみよう。これを機に、どんな本が好きなのか改めて聞いてみるのも良いな。
父との会話を想像しながらレジへ向かった。
『あの金で何が買えたか』村上龍(角川文庫)
バブル崩壊後の90年代後半、萎んでいく日本経済とは反対に、銀行の「不良債権」だの、倒産した企業の「債務超過額」だのは、何千億、何兆億と膨れ上がりました。この本は、「もしその金があったら何が買えたのか」を検証する本です。そして、そのことは父の日とはまったく関係ないです。
私が父に贈るのは『あの金で何が買えたか』というタイトルに込めた(勝手に)、自嘲とお礼のメッセージです。父に「あのグローブが欲しい」とねだって買ってもらったとか、「塾に通いたい」と言ったらお金を出してもらったとか、高校も私学だったりとか、そんな思い出がたくさんあります。しかし、私がそのグローブで一生懸命練習したのかと言ったらそうではないし、塾はサボった数の方が多い気さえするし、今も父にお金を出してもらった、運転免許を取得できるかの瀬戸際に立っている・・・。ああ、あの金で・・・
社会人になった今度こそ、立派な人間になりたいと思います。お父さんも人生を楽しんでください。
みなさまも、父に贈るならどんな本がいいか、ちょっと考えてみてください。これがなかなか、難しいんです。
私はまず、「お父さんの趣味はなにか」を考えました。これが意外に思いつかなかったです。「お父さんは何が好きだっけ?」 そんなことを考えていると、次第に自分が子どものころの思い出とか、父から、父がまだ子どもだったころの話を聞いたこととか、いろんなことを思い出しまして、けっこうジーンときました。
ぜひお父さんに贈る一冊、探してみてください!!
編集部からのお知らせ
昨年のミシマガジンでの「父の日特集」では、tupera tuperaさんにご登場いただきました!
こちらも合わせてごらんください! →「tupera tuperaと父の日特集 お父さんはおもしろい!」
2019年度ミシマ社サポーター、募集中です。
ミシマ社では、日々の出版活動を応援してくださるサポーターを募集しております。2013年に「サポーター制度」が始まって以来、サポーターのみなさまといろんな活動をご一緒してきました。「サポーター制度」についての考え方は、下記をご一読いただけますと幸いです。
また、サポーター制度の具体的な活動について知りたい方は、こちらをご覧ください。
現在、2019年度のサポーターを募集しております。サポーター期間は2019年4月1日〜2020年3月31日です。ミシマ社メンバー一同、これからもっとおもしろいことを、サポーターのみなさまとご一緒できたらうれしく思います。お力添えをいただけましたら幸いです。
2019年度ミシマ社サポーター概要
募集期間:2019年1月3日〜2019年3月31日
サポーター期間:2019年4月1日〜2020年3月31日
※ 募集期間以降も受け付けておりますが、どの時期にご入会いただいても、更新時期はみなさま来年の4月で統一です。ご了解くださいませ。その年の特典は、さかのぼって、全てお贈りいたします。
2019年度のサポーター特典
以下の特典を毎月、1年間お届けいたします(中身は月によって変わります)
* ミシマ社サポーター新聞(1カ月のミシマ社の活動を、メンバーが手書きで紹介する新聞)
* 紙版ミシマガジン(年2回発行・・・の予定です!)
*『ちゃぶ台』をはじめとした、今年度の新刊6冊ほど(何が届くかはお楽しみに!)
* ミシマ社で作ったグッズや冊子
* サポーターさん限定イベントのご案内
* ミシマ社主催イベントの割引
・・・などを予定しております!(※特典の内容は変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。)
お申し込み方法
新規でサポーターのお申し込みをご希望の方は、下記項目を、お電話、FAX、メール等にてご連絡くださいませ。
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ミシマガ「サポーター限定サイト」を公開します
サポーターのみなさま、大変おまたせいたしました。ミシマガ上で「サポーター限定サイト」がついにオープンします。サポーター限定サイトでは、ミシマガに掲載しきれなかった取材の裏話や、よりディープなミシマ社の日常風景などをお届けする予定です。サイトを閲覧するための登録方法など、詳しくは、2019年4月特典に同封する案内をご覧ください。