第74回
『三流のすすめ』発刊!!
2021.07.24更新
先週17日(土)、リアル書店での先行発売がスタートした『三流のすすめ』。来週26日(月)にはオンライン書店を含めた公式発売日を迎えます。
先週末、入荷した本書を早速ご自身で購入してお読みくださったという書店員さんからのメールに「おもしろいですね!」という赤字大文字のご感想が。嬉しい・・・!!
本日は、安田登先生のことをよーくご存じの、NHK Eテレ「100分de名著」プロデューサー秋満吉彦さんによる、『三流のすすめ』と安田先生の解説紐解き、本書「はじめに」の公開、アロハシャツの安田先生による動画書籍紹介の3本立てでお送りします!
怪人「三流」面相
そのとき・・・怪人がやってきた・・・。
これは別に江戸川乱歩の小説のパクリではありません。そう、本当に「怪人」がやってきたのです。怪人の名は安田登さん。安田さんが弊社にやってきたのは忘れもしない2017年12月12日のこと。NHK Eテレで毎週月曜22時から放送中の「100分de名著」の講師候補としてお話をお聞きしてみたいとお呼びだてしたのですが・・・。
「実はぼくCGの会社を友人と立ち上げちゃいまして」「前職ではロルフィングをやってました」「高校時代にハングライダーを自作しちゃったのが読書の魅力に目覚めたきっかけ」「故郷の漁師町の同級生はほぼみんなヤンキーで」・・・って、ちょっと待ってください。能楽師だってお聞きしていたのに、いったいあなたは何者? ・・・その実体は、話題が変わるたびにカメレオンのようにくるくると相貌が変わる、怪人二十面相顔負けの超ド級の「怪人」だったのです。その破天荒ぶりは「平家物語」を解説していただいた番組でも遺憾なく発揮されました。解説と朗読を一人でやってしまう離れ業をやってのけたのは後にも先にも安田さんだけ。そのマルチな「語り」の迫力に、司会の伊集院光さんも度肝をぬかれていました。
そんな安田登さんの魅力の秘密がようやくわかりました。『三流のすすめ』という本で自らその手の内を暴露されたのです。そっか、三流って、実は「多軸型人間」のことなんだ。思い返せば、ぼくが出会った魅力的な人って、いずれも「三流」の人でした。そして、仕事に関しては浮気性のぼくも、もしかしたらその素質が? ここはひとつ、この本を教本にして安田さんに弟子入りしてしまおう。
会社や組織にしがみついて息苦しい思いをしているあなた、この本を読んだら、固く煮詰まった視界ががらがらと崩れ落ち、澄みわたった風景がみえてきますよ。
――秋満吉彦
『三流のすすめ』はじめに
「三流でいいんじゃない?」
昨年、コロナ下の六月、オンラインイベントのタイトル案が出版社から送られてきました。それが冒頭のものです。
それに対して、私は「三流で」ではなく「三流がいいんじゃない?」にしませんか、と提案しました。三流がいい? おや、どういうこと? と思われた人も少なくないでしょう。
三流の本来の意味は「いろいろなことをする人」です。
試験勉強を始めると別の本を読みたくなる。なにかをやっていても目移りをして、すぐほかのことに手を出してしまう。そんな人は、一つのことに満足できずに、いろいろなことに手を出します。いろいろなことに手を出すから、一つのことがなかなかものにならない。むろん、その道のトップになどはなれはしないし、世の中に認められて有名にもなれない。大金持ちにもなれません。
でも、それがいいのです。
それが三流の人の生き方で、なかなか楽しい。そして、じつはこの生き方こそが、昔の賢人・君子たちにとっての理想の生き方でした。
本書では、古今東西の書物をひもときながら、そのことを明らかにしていきます。
もしなにかうまくいかない、窮屈、苦しい・・・そんなことを感じている人がいたら、一度、問い直してみてほしいと思います。
今までの自分はめざしている方向が違っていたのかもしれない。自分がめざすのは、本当は三流的な生き方だったのに、世間の無言の圧力で一流をめざしていたのではないか、と。
このコロナ下、社会が機能不全を起こしていることの根底には、皆が一流をめざすという目標設定そのものが間違っていた、ということもあるのかもしれません。
三流がいい。
三流じゃないと、動かないことも多い。そのことに気づいていただきたい。そう思って本書を書きました。
発刊にあたり、安田登先生から読者へのメッセージ
編集部からのお知らせ
いとうせいこう×安田登「一流めざすの、やめません? ~「三流」頂上対談!」アーカイブ動画を期間限定配信中です!
『三流のすすめ』の発刊を記念して開催した、安田登さんといとうせいこうさんとの対談イベント「一流めざすの、やめません? ~「三流」頂上対談!」のアーカイブ動画を期間限定配信中です。
安田登×内田樹「三流がいいんじゃない?」対談記事をお読みいただけます!
『三流のすすめ』ができるきっかけとなった安田登さんと内田樹さんの対談「三流がいいんじゃない?」をミシマガにて公開中です。時空間スケールが壮大、かつ愉快なお二人による三流対談の一部をお楽しみください!