第77回
あの仲野徹先生による「初」のエッセイ集を刊行します
2021.08.20更新
本日のミシマガジンは、今月発売となる新刊2冊のうちの一冊『仲野教授の 笑う門には病なし!』担当編集による制作裏話です。(文・編集チーム 野崎)
『仲野教授の 笑う門には病なし!』という本を刊行いたします。著者は、大阪大学医学部教授・仲野徹先生。関西では、「あの仲野先生」と言うとだいたいのところで通じる(気がする)存在、おもろいおっちゃんの代名詞的存在、笑顔がとにかく眩しい、一度顔を見たら忘れられない存在、大先生なのに親しみやすさがすごい存在・・・。
とはいえ「だれやねん」という方へ、ご説明をば。これまでに名著『エピジェネティクス』(岩波新書)やベストセラー『こわいもの知らずの病理学講義』(晶文社)など、数々の本を書かれています。かなりの読書家ゆえ、自身の本の執筆にとどまらず、読売新聞の読書委員や書評サイト「HONZ」のレビュワーを担当、おもしろ書評をバンバン世に送り続けておられる方でもございます。せっかくなので今回のエッセイ集を編集する過程で知ったことを言いますが、どうやらバンバン送っているのは書評だけでなく、朝日歌壇にもせっせと投稿して見事掲載されたことが過去数回あるらしい・・・。(『仲野教授の 笑う門には病なし!』p162「一月三十一日の奇跡」参照)
今回の本は、そんな仲野先生による、初のエッセイ集。
日本医事新報社が発行する雑誌『日本医事新報』に連載中のコラム「なかのとおるのええ加減にいきまっせ!」より、77本を厳選して一冊に凝縮させた内容です。そもそも仲野先生がコラム執筆を始められたきっかけは、本書をお読みいただくとして、その連載が書籍化にいたるまでを少しばかりこの場に記しておきたいと思います。
2014年に始まってから現在もつづくこの連載、毎週連載(開始から1年間は月3回)という超ハイペースな更新頻度と、仲野先生の日常に起こる出来事がいちいち面白いので、昼休みの楽しみとしてはもってこい。頻繁に医事新報社のWebを訪れ続けた結果(雑誌に掲載された原稿がWebでも読めるのです)、私の社内PCは「な」と打つと「なかのとおるのええ加減にいきまっせ!」と変換されるまでに成長していました。
そして仕事中の、すごく忙しそうな同僚にちょいちょいっと声をかけては、この連載について熱弁、コラムに書かれる仲野先生に起きた出来事を、まるで自分に起きたかのように熱弁。どんなに忙しくても大いに笑ってくれる人が多い職場なので、その笑いで私は上機嫌に午後の仕事をスタートさせるということを続けていたのです。ところが事態は突然急変しました。ある日、目の前には目を疑う文字が。
「定年を機に雑誌での連載は終了するつもりです」
待って、待って待って、早まらないで! 仲野先生がもうすぐ定年ということもあまりよく知らなかったのですが、どうやら現在64歳、2022年の3月には定年を迎えるとのこと。そして連載を終了するつもりって、ちょっと! しばし動揺。(・・・私の上機嫌な午後が・・・失われてしまう・・・)仲野先生のコラムを読んだ私はもとより、私から又聞きした同僚までもが爆笑するコラム、それはもう、もっともっと笑いたい人に届けなくては。その勢いで、最後まで突っ走り、完成したのが本書です。
鼻毛の話、タイ古式マッサージの話、渾身の語呂合わせを披露する話、地震と台風の話、マニキュアを塗ってみた話、趣味の義太夫の話、師匠の話、ラダックを旅した話、教育の現場で考えた話、カレーの話・・・あらためて本になったエッセイを読んでいると、仲野先生の頭の中に入り込んでいるような気分になり、普通の日をこんなにおもしろくすごせるのか、自発的に! という感動が込み上げてきます。
最近あまり本を読んでいないな、という方。忙しくて、なかなか時間が取れないし、という方。ぜひこの本を、一度本屋さんでぱらぱらとめくってみてください。77のエッセイが収録されていますが、どれも2ページで完結する短い話です。お昼休みに、寝る前に。とても読みやすいけれど、読み重ねていくと、一冊を通してちょっと知的になれると思います。それが仲野教授の凄みです。
明日、8月21日よりリアル書店先行発売。ぜひみなさんよろしくお願いします。
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2019年にミシマ社の少部数レーベル「ちいさいミシマ社」の第一弾として『仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう』という本も刊行しています。大阪に馴染み深い12名と仲野先生による対談集、ぜひ合わせてお楽しみください。
編集部からのお知らせ
発刊記念・オンラインイベントを開催します!
最相葉月×仲野 徹
「辛口サイショーと仲野教授の 笑う門には人生案内!」
『辛口サイショーの人生案内DX』と『仲野教授の 笑う門には病なし!』の同日刊行を記念して、著者の最相葉月さんと仲野徹さんにご対談いただきます! インタビューの名手である最相さんと、対談経験が豊富で優れた聞き手でもある仲野さんが、交代でインタビュアーとなって、それぞれの新刊や、お互いの仕事について質問します。最相さんは、科学や医療を題材とした文章を数多く発表してこられました。仲野さんは、病理学の研究者でありながら、無類の読書家で、新聞の読書委員も務めておられます。文理の境界を超えて思考し、書いてこられたお二人のお話は、盛り上がることまちがいありません!
◎開催日時 9/1(水)19:00~ 20:30(休憩を5分ほどはさみます)
※イベント翌日に、申込者全員にアーカイブ動画をお送りします。
◎出演 最相葉月(ノンフィクションライター)、仲野徹(大阪大学医学部教授)
◎定員 50名
◎参加費 1,650円(税込)