第99回
前田エマさん初の著書『動物になる日』を発刊します!
2022.05.05更新
こんにちは。ミシマガ編集部です。
来月6月に、ちいさいミシマ社より新刊『動物になる日』(前田エマ 著)を刊行します。レーベルとしては、今年3月に刊行した能楽師の有松遼一さんによる『舞台のかすみが晴れるころ』につづき、これで7作目。またひとつあたらしさを読者の方々に届けるべく、著者の前田さんと担当編集は現在、猛烈なラストスパートの真っ只中です。
と、ここまでつらつらと書いてきましたが、そもそも「ちいさいミシマ社」って・・・? という読者の方もおられると思いますので、まずはレーベルの説明からはじめていきましょう。
レーベル「ちいさいミシマ社」とは?
レーベル「ちいさいミシマ社」は、2019年からはじまりました。その名の通り、「ミシマ社」よりも何かが「ちいさい」のです。何がちいさいのか? どうしてちいさいのか? 代表の三島が書いた、レーベル立ち上げ時の文章がこちらです。
書籍レーベル「ちいさいミシマ社」は、2019年7月にスタートします。
ミシマ社よりさらに「ちいさい」をめざしたい。
レーベル名「ちいさいミシマ社」にはそのような思いを込めました。具体的には、ミシマ社より少し高い価格設定をし、少部数の本を出します。わかりやすくするためにあえてこの表現を使いますが、ミシマ社は「一人でも多くの人々のもとへ」、ちいさいミシマ社は「一人へより濃く」届く本をめざします。もちろん、込める熱量はどちらも変わりません。
「一人でも多く」と「一人へより濃く」。出版の醍醐味と言えるこのふたつを、書店と共存するやり方を探るなかで実現していきたいです。
このような思いのもと、それぞれのタイプに応じて書店への卸条件を分けることにしました。
ミシマ社は従来通り七掛けで書店へ直卸する。ちいさいミシマ社は、書店完全買い切りで、60パーセントで卸す(リアル書店限定)。つまり、「ちいさいミシマ社」では一冊を届けてもらうことで、書店側にしっかり利益が出る。数多く販売することをめざしてもらう必要がない。そういう条件下、出版社側も、「より売れる」ことを意識するより、「より喜ばれる」本づくりに徹することができる。書店は届けることに、出版社はつくることに専念。大量生産・大量消費の時代が終わった今、書店と出版社、それぞれにある本来の良さを、それぞれがより発揮するための一歩になることを願っています。
「ちいさいミシマ社」のちいさい取り組みが、出版界の未来にとってもちいさい光になればこれ以上の喜びはありません。
ミシマ社 三島邦弘
ちいさいけれど、大きな一歩。そう信じて一冊一冊、つくってきました。
これまでに刊行してきたラインナップは、この6タイトルです(2022年5月時点)。
◉『仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう』(仲野徹 著、2019)
◉『ランベルマイユコーヒー店』(オクノ修/詩、nakaban/絵、2019)
◉『今夜 凶暴だから わたし』(高橋久美子/詩、濱愛子/絵、2019)
◉『最初の晩餐』(常盤司郎 著、2020)
◉『岩とからあげをまちがえる』(大前粟生 著、2020)
◉『舞台のかすみが晴れるころ』(有松遼一 著、2022)
前田エマさんによる初小説『動物になる日』
そして、レーベル7冊目になる次作は・・・今年の6月に、前田エマさんによるはじめての単著にして、初の小説作品『動物になる日』を発表します!
前田さんはモデルとして活動するほか、ラジオのパーソナリティや、写真やドローイングの作品制作、ウェブマガジンの編集長や勉強会の主催など、多才でエネルギッシュな勢いが光る、とってもおもしろい方です。
上記のお仕事にとどまらず、「OZ magazine」や「FUDGE」などの雑誌でエッセイ連載をもち、出版社クオンのウェブマガジンでは「韓国文学と、私。」というコーナーを担当するなど、執筆の仕事にも取り組まれています。
ミシマ社が発刊する雑誌『ちゃぶ台』にも、これまでに「習字のこと」(6号)、「中学の頃」(7号)をご寄稿いただきました。今月発刊する最新刊『ちゃぶ台9』には、最新エッセイ「高校受験」を掲載しています。
今回の小説の執筆期間はおよそ3年。今年で30歳になる前田さんが、幼少期からこれまでに抱えてきた自身の感覚を全力投球し、今回収録する表題作「動物になる日」と初小説作品「うどん」がうまれました。
装丁デザインは脇田あすかさん、装画・挿画は大杉祥子さんに手がけていただきました。銅版画やリトグラフで刷られた原画は本当に美しく、ぜひたくさんの方に、書籍とともに原画を見ていただく機会をつくっていきたいと思っていますので、本も、原画展も、ぜひ楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。
展覧会と先行発売のお知らせ
『動物になる日』の刊行を記念して、東京・銀座「森岡書店」にて先行発売と展覧会を開催いたします。前田エマさんにとっての初の著書ができるまでの軌跡と、装画の原画展示を予定しております。ぜひ足をお運びください。
(詳細は「ちいさいミシマ社」Twitterやミシマ社ホームページにて随時ご案内いたします)
森岡書店 銀座店
住所:東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階
会期:2022年6月7日(火)〜6月12日(日)
営業時間:13:00〜19:00、月曜休
電話:03-3535-5020