祝増刷！！『ぼけと利他』に届いたお便りをご紹介します！

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第123回

祝増刷！！『ぼけと利他』に届いたお便りをご紹介します！

2023.01.10更新

　こんにちは！　ミシマガ編集部です。
　先週4日の公開よりご好評いただいている、伊藤亜紗さんと平川克美さんの対談『「利他」の行き着く先は「共有地」！？～平川克美×伊藤亜紗『ぼけと利他』と『共有地をつくる』をめぐって～』はすでにお楽しみいただきましたでしょうか。

　その伊藤さんが、村瀨孝生さんの往復書簡が一冊の本になった『ぼけと利他』の増刷が決定しました！

『ぼけと利他』伊藤亜紗・村瀨孝生（ミシマ社）

　年末のSNS上で、2022年に読んだ本を振り返る読者の方々による「今年の一冊」や「2022年のベストテン」などの投稿に、選ばれることが多かった本書。
　ネガティブなイメージに捉われやすい「ぼけ」ですが、この本でお二人の臨場感のある往復書簡のやりとりを味わっているうちに、「ぼけ」の視点こそが社会を生きやすくするヒントであることに気づかされます。ぼけをテーマに、ペットの話から宇宙飛行士の話まで、絶え間なく場所を変えながら共鳴しあう二人の対話に引き込まれて、「面白すぎて読み進めない」というご感想も！

　じわじわ読者の熱い声に推されている『ぼけと利他』。本日はおはがきで届いたご感想の一部を紹介させていただきます。

『ぼけと利他』に届いたお便り

　手紙でのやりとりというのが、今の時代に面白かったです。伊藤さんと村瀨さんが次はどういう返事をしようかと考えている様子が、昔に文通していた人に送る手紙を考えている自分に重なります。素敵な本でした。

　二人の著者による往復書簡の形をとってボケ（認知症）の人への介護と接し方の方法を探り、同等に生き方もお互いに具体的な率直な意見をぶつけあって見つけていこうとする姿勢に共感をもちました。自分も80代半ばの母が施設に入居するにあたって、他人事で済まされず、いろいろと参考になりました。

「毛は手がかかる」「溜め」「自分の足に『歩きますか？』と聞く」「待ち」など高齢者とかかわるときに自分もなんとなく感じていたこと、不思議に思っていたことが言葉になっていて、思わず「そうそう」と思うことが多く、楽しく読みました。

　もう少し前に読みたかった！
　母が「大人の階段」をとっとと駆け上がる前、少しずつ変化することに母自身も私もうまく対応できず。仕方なかった、あの時とは言え。

　本を読みながら私自身が「よりあい」の一員になっていくようで、"ふうっ"とため息をつきながら肩の力をぬきつつ読みました。

　「見る」って深くて広い動作なのだなあと思いました。簡単に「わかる」なんて言えない・・・。

伊藤さん、村瀨さんの視点を貸してもらいながら、死ぬことも含めた「分からないこと」を受け止め「分かる」ことを整理できて、心打たれています。往復書簡という形でなければ届き得なかった境地に連れていってもらえました。感謝。

　思えば、人と人が一緒にいることは不思議なことです。一緒に暮らす夫婦でも会話が噛み合わなかったり（伊藤さんによる10通目「どこまでもいける、いま・ここ」をぜひお読みください）、反対に「荒ぶる」ぼけのある人の「抗い」が、介護の助けになったり。（村瀨さんによる1通目「答えを手放す」、ミシマガジン連載時の記事を公開中です）

【試し読み】ミシマガ連載時の村瀨さんの一通目「答えを手放す」

　人と人は、一緒にいるためになにができるのか。そんなことを考えると途方に暮れてしまいそうですが、往復書簡の形でシンクロする二人の言葉から、大きな示唆をもらえます。全人類におすすめの一冊、ぜひお楽しみください！