第137回
いしいしんじが三崎に帰ってくる! 次の土日はいしいしんじ祭(2)
2023.03.21更新
こんにちは、営業チームのスガです。
今週の土日(25.26日)は、三崎(神奈川)でいしいしんじ祭が開催です!
いしいさんの半生記にして、小説家としての生き方を綴った『書こうとしない「かく」教室』や、かつての三崎での生活を描いた『みさきっちょ』(アタシ社)。『書こうとしない「かく」教室』にも登場する魚屋「まるいち」さんの人々が登場する小説『港、モンテビデオ』(河出書房新社)。そのほかにも、三崎を舞台とする文章を書かれてきたいしいさん。
夕暮れの三崎で写真撮影
これがまるいちです。「宇宙一の魚屋」。後日、ここに、さかなクンを連れて行ったことがあります。「宇宙一でしょ?」ときいたらさかなクンも、「宇宙一です!」といっていました。『書こうとしない「かく」教室』p65
道のところどころ転がっている毛の丸い塊は、もともと猫である。
港はどこも猫を多く抱え、それは船荷を荒らす鼠を駆除するため昔の船乗りが飼った名残だが、いっとき、世界でもっともにぎわった港といわれる三崎にも、やはりその分だけ猫が多く、船があまり出なくなったいまは、神社の境内や路地で野良猫として生きるようになった。『港、モンテビデオ』(p12)
三崎堂書店さんにも「ソックス」という猫が立ち寄ります(写真は撮れず・・・)
三崎堂書店さんは、いしいしんじ祭当日も『書こうとしない「かく」教室』サイン本(限定書き下ろし小説つき)販売します!
商店街の端の「日の出」のバス停に着いた。「夜霧」「ニコニコ」など、飲食店の看板のむこうに、住んでいた家がむっくり建っている。
ふたり歩きながら
「おとーさんのいえ、あれ」
「うん、そや」
「はいってみたかったなー!」
「あかんなあ、カギもってへんし。いまはもう、だれもすんでへんねん」
「え」
先に、トトト、とひとひは駆けていき、
「とぉ、あいてる」
「え?」『きんじよ』p98.99
そんな、いしいさんの「母港」三崎でのお祭り。
実はMSLive!でも、三崎、そしていしいしんじ祭を味わっていただけます。
3/25(土)18:00~「三崎を『かく』ための作戦会議」※特製特典冊子あり!
三崎堂書店のむかい、『みさきっちょ』を出版したアタシ社の蔵書室「本と屯(たむろ)」で開催するトークイベント。
ゲストは湯浅学さん、戌井昭人さん、「クラムボン」の原田郁子さんという、ことなる表現を生業とする三人。そして三崎の人気者・のじさん。
僕は、まるいちの店員、三崎名物のんちゃんの話を書いた。むろん実在する。五年ほど前、ものすごく忙しいゴールデンウィークの真っ昼間、まるいちのおかみさん美智世さんが、のんちゃんに五百円玉を手渡し、
「ごめん、いま手が離せないから、これでアルミ箔買ってきて」
といった。サランラップだったかもしれない。いずれにせよのんちゃんは買ってこなかった。あとできいたところでは、まっすぐコンビニにいって紙パックの酒を買い、石んところに座ってチューと飲んだ。それで帰りづらくなってトンヅラした。
みんなのミシマガジン『きんじよ』第46回「まぐろわなげ みさき まるいち」
「『きんじよ』第46回「まぐろわなげ みさき まるいち」は、前回のいしいしんじまつり開催のタイミングで掲載されており、今回のゲスト4人全員が登場し、いしいさんや三崎との縁が語られています。
この翌日はみんなで実際に三崎を「かき」ます! 三崎をかくならどこでかくか。港で? 宇宙一の魚屋? 神社の絵馬・・・?
そしてどうやって書くか。文章や、歌や、演劇にとって、町や港とはどういう意味を持つか。トークイベントでたてた作戦をもとに、三崎の街中で「かく」模様を収めた冊子を、作戦会議参加者の皆様にお送りいたします実際に書く模様を収めた冊子を、作戦会議参加者の皆様にお送りいたします。
文章、演劇、音楽など、それぞれ日ごろから行っている表現が、三崎とどのように結びつくのか。注目です!
いしいしんじ祭2日目のプログラム
【いしいしんじからの開会宣言】
しばらくのあいだ、遠洋航海にでかけてはいても、いまも三崎は、自分にとっての「母港」だと思っています。
ひさしぶりに帰港して、盛大に、「いしいしんじ祭」をとりおこないたいと思います。
小説あり、音楽あり、鉄割あり(としかいいようがない)、ごはんあり、散歩あり、ピチピチ跳ねる2DAYS。みなさんひとりひとり、まぼろしの猫となって、最高の魚(みさき)にかぶりつきましょう!
(いしいしんじ祭紹介ページより)
※1日目のプログラムはこちら
●1日目:3/26(日)プログラム
〈1〉ライブ:いしいしんじの港町ツアーと路上朗読会
時間:13時〜
場所:三崎商店街のあちこち
料金:無料
いしいしんじ本人が三崎下町をご案内するお散歩ツアー。今回のお祭りにむけて書き下ろした掌編を路上で朗読する時間も!
いしいしんじ縁の下町のあちこちを、ぜひ散策ください。
〈2〉音楽ライブ:「外国の旗 新聞紙 小魚の群れ 空き缶」
出演:いしいしんじ かもめ児童合唱団
スペシャルゲスト:原田郁子(クラムボン)
時間:開場:15時半、開演16時
場所:三崎館本店 大広間
料金:3000円
※ご予約された方は、当日受付にてQRコードをご提示ください。
※当日ご来場順の入場です。(自由席)
※三崎港までの道が渋滞の可能性が高いです。お時間に余裕をもってお越しください
三崎いしいしんじ祭の最後のコンテンツとなる音楽ライブ「外国の旗 新聞紙 小魚の群れ 空き缶」を三崎港目の前の旅館「三崎館本店 大広間」で開催!!
いしいしんじによる書き下ろし掌編の朗読と、三浦が誇る音楽隊「かもめ児童合唱団」のライブ、スペシャルゲストにクラムボンの原田郁子さんをお迎えして、一夜限りのスペシャルライブを行います。夕陽が落ちかけてくる時間、港町で最高の音楽に浸りませんか?
●お祭り参加には1000円の参加券をお買い求めくださいませ。いしいさんが書いたオリジナル三崎下町MAPと、書き下ろし掌編7つがもらえます
●書き下ろし掌編について
三崎下町の商店街にある7つのお店でもらえます。↓
《三崎館本店 本と屯 牡丹 MP まるいち ichi ポパイ》
イベント以外にも、いしいさんがこの祭のために書き下ろした掌編小説を探して、商店街の料理店を回ったり、猫を探したり、漁港を眺めたりと、いしいさんが「生きることの練習」をやっていたと語る、三崎の時間を体感できそうです。
「書くこと」というのを、ぼくは、ここで一生懸命やっていたわけですけど、書くということをしながら同時に、生きることの練習をやっていた。この世に自分が生きているというのは、こういう感じなんだな、ということを、毎日毎日手探りで確かめるみたいに生きていた。寝て、次の日が来るわけですね。それで起きたら、次の日が来た! それだけで嬉しい。さあ、なにを書こう。どんな魚を食べようか。どこの磯に潜ろうか。『書こうとしない「かく」教室』p76.77
そして、三崎や祭の雰囲気をお伝えできるMSLive!「三崎を『かく』ための作戦会議」の配信も! 現地で、もしくは普段過ごされている町で、三崎やいしいさんの世界を味わっていただけますと嬉しいです!