第159回
『マロン彦の小冒険』発刊特集
2023.09.11更新
まだ暑さは続いていますが、9月です。
9月といえば、栗。
栗といえば、マロン彦。
そんなピッタリの季節に、『マロン彦の小冒険』が発売となりました!(9日にリアル書店先行発売、15日にネット書店でも販売)
ミシマ社からの佐藤ジュンコさんの著作の刊行は、これで3冊目です。
1冊目は、コーヒーと一冊シリーズで、『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』
2冊目は、手売りブックスシリーズで、『佐藤ジュンコのおなか福福日記』
そして今回は、ちいさいミシマ社レーベルからの刊行です。
(左)『佐藤ジュンコのおなか福福日記』、(左)『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』(ともにミシマ社)
マンガも吹き出しのテキストも、すべてジュンコさんの手描きで、一冊一冊が、手から手へと届けられていく。そこは、この3冊すべてに共通しているところ。
そして、『マロン彦の小冒険』がこれまでの2冊と違うところは・・・主人公が佐藤さんではないところです。そんな初めての試み、マロン彦という存在について、本書の「はじめに」でこんなふうに書いてくださいました。
「はじめに」
十年近く前のある日、ふと思いたって持ち歩いていたノートに描いた落書きが「マロン彦」、栗尾根(くりおね)マロン彦の始まりです。それから毎年秋、栗の季節になると「栗尾根マロン彦のたらちねロマン飛行」と題して、マロン彦のイラストを描きためていました。
ミシマ社のウェブマガジン「みんなのミシマガジン」で新たに連載を始めるにあたり、このマロン彦を主人公にした「マロン彦の小冒険」を描こうということになったのが、二〇一八年の春。秋だけの付き合いではなく、一年を共に過ごすようになり、五年が経ちました。描き続けるうちに愛着も湧き、友だちのような分身のような、生活の一部のような不思議な存在です。
この連載が始まるまでは、手紙や日記に近い内容、自分の目で見て感じた小さな半径の中の出来事しか描いたことがありませんでした。自分以外の誰かについての物語を描いたのは、これが初めてです。とはいえマロン彦と作者である私との境界は曖昧で、描かれている出来事も現実のものなのか、あくまでも物語、非現実なのかも曖昧です。
さらに、ページが進むにつれて世の中の出来事が色濃く反映されてくるようになります。私の感じて言葉にできずにいるもやもやを、マロン彦が代わりに悩んで、考えて、憤り、抗い、祈る。そんな場面も増えていきます。いま振り返ってみると、マロン彦の小さな冒険は、この五年間の世界と私の記録、私にとっての小さな冒険でもありました。
この連載が始まった2018年は、まだコロナ前でしたが、連載の途中で、マロン彦たちの小冒険もまた、コロナのある世界で繰り広げられることになります。本書の元になったミシマガジンでの連載では、先の見えない日々のなか、元気いっぱいではないマロン彦の姿が毎月届くたびに、どこか励まされるところがあった気がします。
コロナだけではなくて、不穏なことや納得のいかないことも多い日々を、できるだけ気分よく生きる小冒険のおともに、ぜひ本書を手元に置いていただけたらと思います。
最後に、佐藤さんからミシマガ読者のみなさまへ、いただいたメッセージを掲載します!
本が出るときはいつも、無事に本が完成して本屋さんに並べてもらえた喜びで胸いっぱいです。たくさんの方に手に取って買って楽しく読んでもらえるといいなぁ、気に入ってもらえるといいなぁ、という期待と、ほんのちょっぴりですが心配や不安もあります。とはいえ、やっぱりとてもうれしい。私の描いたものが私だけのものではなくなって、たくさんの「わたしたち」、みんなのものになっていくような感触があって、それもまたうれしいのです。編集者さんやデザイナーさん、校正者さん、出版社のみなさん、本屋さんのみなさん、そして読んでくださるみなさんと、本を通してつながっているようで、ありがたくてうれしいです。
今回の『マロン彦の小冒険』は、この5年間の間に経験したさまざまな共通の出来事があり、私個人の生活の中での出来事も、プンスカしたりしょんぼりしたり、じーんとしたり楽しかったり、いろんなことがありました。5年分のいろんな気持ちを詰め込んだこの本は、自分自身のことを書き綴ったこれまでのどの本よりも、私そのものかもしれません。そう思うと、少し気恥ずかしい気もするのですけれど。たくさんの方の手を経由して、いろんな街のたくさんのお店に並んで、たくさんの皆さんが手に取ってくれることを、やっぱりとってもありがたくうれしく思います。みなさんの暮らしの近くに置いて、親しくなっていただけたら、私もマロン彦もとても幸せです。どうぞよろしくお願いします。
サイン本情報
9/9(土)の発売に合わせて、下記店舗にて販売いたします。
※サイン本は数に限りがございます。在庫がなくなり次第、販売終了となります。
※店舗により、入荷・販売開始のタイミングが多少前後する可能性がございます。
最新の在庫・販売状況は各店舗へ直接お問い合わせください。
【東北】
〈宮城〉
くまざわ書店 エスパル仙台店
くまざわ書店 アリオ仙台泉店
あゆみBOOKS 仙台一番町店
丸善 仙台アエル店
八文字屋書店 セルバ店
ヤマト屋書店 仙台三越店
カネイリミュージアムショップ6
〈福島〉
ジュンク堂書店 郡山店
くまざわ書店 福島エスパル店
くまざわ書店 会津若松店
岩瀬書店 八木田店プラスゲオ
Books&Cafe コトウ
【関東】
〈千葉〉
ジュンク堂書店 柏モディ店
〈東京〉
くまざわ書店 武蔵小金井北口店
本屋 Title
ジュンク堂書店 池袋本店
〈神奈川〉
有隣堂 テラスモール湘南店
本屋・生活綴方
【中部】
〈新潟〉
知遊堂 三条店
〈愛知〉
丸善 名古屋本店
【関西】
〈京都〉
マヤルカ古書店
丸善 京都本店
【中国】
〈島根〉
今井書店 グループセンター店
【九州】
〈福岡〉
六本松 蔦屋書店
ジュンク堂書店 福岡店
丸善 博多店
〈沖縄〉
ジュンク堂書店 那覇店
『マロン彦の小冒険』マロン彦「名・迷」シーン大公開パネル展!
『マロン彦の小冒険』発刊を記念し、下記の書店さんにてパネル展を開催します。
ジーンと来たり、クスッと笑ったり、なるほどとうなずかされたり。そんな名シーンと迷シーンをお届けします!
※店舗により、入荷・販売開始のタイミングが多少前後する可能性がございます。
〈宮城〉
・あゆみBOOKS 仙台一番町店
〈茨城〉
・リブロひたちなか店
〈東京〉
・ブックファースト自由が丘店
〈神奈川〉
・有隣堂 テラスモール湘南店(開催予定)
〈九州〉
・ジュンク堂書店 那覇店
編集部からのお知らせ
『マロン彦の小冒険』イラスト原画展開催!@Books&Cafeコトウ(福島市)
本作の発刊を記念したイラスト原画展が、福島のBooks&Cafeコトウさんで開催されます!
期間:9月28日(木)〜10月13日(金)
11時〜18時30分
※火曜休み
会場:Books&Cafeコトウ(喫茶スペース)
住所:福島県福島市宮下町18-30)
料金:ワンドリンクオーダー制(¥500程度。テイクアウト可)。