第166回
最相葉月さんエッセイ集『母の最終講義』発売のお知らせ
2024.01.17更新
デビュー30周年記念エッセイ集を刊行します!
2024年、ミシマ社から刊行する書籍1冊目は、最相葉月さんによるエッセイ集『母の最終講義』です。明日1月18日(木)より、全国の書店で発売になります。
余命宣告を受けた父との対話、約30年にわたる母親の介護の日々と別れ、取材先で出会った人や旅のこと、コロナ禍の人生相談から考えたこと...など、47本を収録した一冊です。
いやぁ、ついにこの日がやってきた〜! うれしいうれしい! みなさま、どうか書店へダッシュしてください、手にとってください、じっくりお楽しみください、という気持ちが前のめりになってしまってうずうず、という状況が実は年末からつづいておりました。昨年末に見本ができあがったとき、あまりの本の美しさに感動し、2023年最後にこんなにもうれしい仕事ができるなんて...と寒いオフィスでわたし(ノザキ)は人知れず感極まっていたのです。ついに、明日が、発売日です。
最相葉月さんの仕事について誰かに語ろうと思ったら、まずわたしは、最相さんがノンフィクションライターとして、科学技術と人間の関係性、スポーツ、精神医療、信仰などをテーマに取材・執筆をつづけてこられたこと、『絶対音感』『星新一』『青いバラ』『セラピスト』『証し』などの傑作ノンフィクション作品を数々書き上げてこられたこと、読売新聞の「人生案内」の回答者を長年つとめられており、ものすごい回答がたくさんあること、それらの一部はミシマ社から『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』として本になっていること、さらには瀬名秀明さんとの共著『未来への周遊券』や、産婦人科医の増﨑英明さんとの共著『胎児のはなし』もぜひ読んでほしいということを、勢いよくお話しすると思います。
でも、わたしがもっとも魂をこめてお伝えしたいのは、そのどれでもなく、「最相葉月さんのエッセイ」について、です。ぽつりぽつりと世にうみだされてきた『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』などのエッセイ集があります。そこに収録されているのは、多くが新聞連載として書かれたり、単発で雑誌に寄稿されたりしたものたちです。原稿の字数がきっちり決まっている。締め切りが刻々とやってくる。その状況でうみだされたエッセイの言葉は、時代を色濃く反映する内容でありながら、時が経ってもなお、普遍的なことと感じられるものばかり。しかも、最相さんという人が、ことばから、文体から、一話の展開から、一冊から、滲みでているのです、あまりにも...。
そして、『母の最終講義』です。
この一冊も、南日本新聞「朝の文箱」で連載されていたものを中心に、新聞や雑誌に寄稿されたものを集めて一冊になりました。以下、目次です。
第一章 「余命」という名の時間
「余命」という名の時間/宗教を語る言葉が欲しい/島育ちのご縁から/ワクチン集団接種を前にして
第二章 母の最終講義
第二幕が開いて/母の最終講義が始まった/介護の知恵をつなぐ/手芸という営み/いつもすべてが新しい/揺るがぬ岩より高野豆腐/新しい日常は別世界/リモートで、さようなら
コラム ごくろうさま
第三章 相対音感
相対音感 共に生きていくために/季節ものが消えるゲリラサイン会/バイオミミクリー/宇宙探査を支える人たち/風呂敷に魅せられて/半世紀の恩恵/あえて、見ない、知らない、やらない/支援はいつもむずかしい
第四章 さみしい一人旅
さみしい一人旅/未熟な旅行者/枕をもって旅をする/カプセルで見る夢/「森のくまさん」を歌った日/コロナ下の教会で/闇に差す光
コラム ウソ日記
第五章 人生相談回答者
「する/される」を超えて/認知症者の片想い/御用聞きからしか見えない現実/正当にこわがる/歳末助け合いに思う/ヤングケアラーを探せ/心のもちよう、という前に
コラム 二番手の命
第六章 ありがとうさようなら
師/本を捨てる/たそがれの婚礼家具/オリーブの島で世界を考える/ドキドキをくれた人たち/コロナ禍とジャーナリスト/また会う日まで/競技場にて/絵を捨てる
あとがき
特装版をつくりました!
本の装丁は、脇田あすかさんに手がけていただきました。思わず息をのむ、やわらかく、うつくしく、芯のとおった佇まいです。通常版からして、とてもきれいな本なのですが、今回は、なんと、「特別装丁版」をつくりました。装丁が、2パターンあります! 特別装丁版は、限定500部、すべて最相葉月さんのサイン入りです。
(『母の最終講義』通常版・帯あり)
(『母の最終講義』通常版)
(『母の最終講義』特別装丁版・帯あり)
(『母の最終講義』特別装丁版・帯なし・裏表紙)
(左:通常版、右:特別装丁版)
本をつくる純粋な楽しさを味わいながら、制作チームで話し合いを重ね、かたちにすることができました。ぜひ書店で出会っていただけたらと願っています。
お取り扱いのある書店は、下記ページよりご確認ください。
刊行記念イベントを開催します。
さらに2月6日(火)には、刊行を記念したトークイベントも開催いたします。最相葉月さんと、イラストレーターの佐藤ジュンコさんによる対談「書いて、生きるということ」。
デビュー30周年を迎えた最相葉月さんに、今回初めて、「書いて、生きる」というテーマで、その足跡を振り返り、お話をいただきます。『辛口サイショーの人生案内』シリーズで装画を描いてくださった佐藤ジュンコさんは、仙台に暮らしながらイラストレーターとして、「描いて、生きる」を続けています。佐藤さんの最新刊『マロン彦の小冒険』の「おわりに」では、「これからも私はどうにかこうにか描いて生きて暮らしていきたい」と綴られました。今の時代に、書いて、生きるということ。ご縁がありましたらぜひ、ご参加ください。
東京堂書店での現地参加と、オンライン参加を受け付けています。
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さて、まだまだお知らせしたいこと(してくださいね、とミシマガ編集部に言われていること)が、書き終わってないのですが、つい長くなってしまいましたので、本日はここまで〜。
・ミシマ社編集チーム渾身の「ミシマ社通信特別編」をつくりました!
・書店でフェアを開催します!
これらはまた近日中に、お知らせいたします。