第168回
くどうれいん『桃を煮るひと』が「ついに」6刷!
2024.02.01更新
食エッセイ集『桃を煮るひと』
2023年6月に刊行した、くどうれいんさんのエッセイ集『桃を煮るひと』。
くどうれいん『桃を煮るひと』(ミシマ社)
岩手・盛岡の書店〈BOOKNERD〉から発行された衝撃のデビュー作『わたしを空腹にしないほうがいい』から5年がたち、小説、エッセイ、絵本、児童書、歌集...多方面でめっちゃ、めっちゃいい作品をのこしてきたくどうさんが、満を持して解禁した、2作目の「食エッセイ集」です。
『桃を煮るひと』目次
このたび重版しました、ついに6刷へ。
「うっわ〜 桃の季節とかぶっとる」
本を発売した当初、今思えばあまりの計画性? 想像力? のなさに自分(たち)でもびっくりしてしまうのですが、タイトルを『桃を煮るひと』にして、装丁にこんなにどっぷり「桃」を据えておきながら、実際の桃の旬についてまったく考えていませんでした。
旬がいつか知らなかった、というよりは、そっちの旬を考えている余裕がなかったんだ...。
果物店やスーパーにならびはじめた桃を眺めて、書店にならびはじめた『桃を煮るひと』を眺めて、「わっほ〜い!」となったあの気持ち。それからというもの、「わっほ〜い」はとまらず、発刊前に2刷が決まり、発刊直後に3刷、4刷と版を重ね、勢い止まず5刷が、そして昨年末についに、6刷となりました。
帯が変わったよ〜!
家事なんかしてる暇ないくらい忙しい自分と、
いきいきと夕飯を作る自分をどうしても両方やりたい。
本書に収録した「大根の面取り」(100頁)の中にある、この一節。
帯にも引用しているのですが、じりじりと、なんとか仕事を家事を生活をやっていく自分を、自分が最前線で応援する、そんな熱と気力がうまれる言葉だな、と読むたびに思っています。
この言葉はずっと帯に据えたまま、版を重ねるごとに、ちいさな喜びが増えていっているのをご存知でしょうか...?
デザイナーの脇田あすかさんが、果物シールのような、おもわずうなり声がでてしまうような、かわいい! と発声してしまうような、本を抱えてダッシュしてしまうような、素敵なしかけをつくってくれました。
10,000部突破! からの18,000部突破! うれしい、ほんとうにうれしい...。
おめでとう! ありがとう!
「ついに6刷へ」と書いてきましたが、いちどここで冷静になってみましょう。
6という数字はそこまでキリがいいわけでもないし、「ついに5刷」と言ったってよかったし、「ついに10刷」とこれから言える日がきたっていいはず...なんなら累計部数は18,000部で、2万部突破! となれば自他共にさらなる盛り上がりが予想されるし、なぜに「6刷」をそんなに祝うのじゃ?
・・・・・・ちゃんと、理由があります。
遡ること、2023年6月19日。『桃を煮るひと』の一般発売日は6月14日だったので、発売日から5日目のことです。当時、3刷と4刷が同時に決まり、今振り返っても、とてもはしゃいでいたと思います。
この日は月曜日で、朝出社すると、あるものが届きました。
「祝!! 5刷&6刷 おめでとう」
「週あけには5&6刷が同時に決まると思いますので先に祝っておきます」
そう書かれた葉書。うお〜・・・
まずはほんとうに心からうれしかった、そして、浮かれていてはならぬ...と真顔になった。
私はこの一枚をずっと机に飾りつづけ、著者であるくどうさんはみずからたくさんの販促イベントに出演くださり、全国各地の書店員さんが伝道師かついちばんの読者となってくださり、これまでのくどうさんのファンの方も、今回はじめて読まれた方も、ほんとうに楽しみに読んでくださり、そのひとつひとつを通して、この葉書に「やっとおいついた...」。と、内心ほっとしている今この瞬間、です。
じつはこのはがきを送ってくださったのは、「ミニトマト」(25頁)に登場する、手塚真生さん。ありがとう! と言いたいし、おめでとう! と言いたいです。そしてそれは、くどうさんにも、書店員さんにも、読者の方々にも。
まだまだ、末長く、この本を待っている人に届けていきたいなと思っています。まだこれから『桃を煮るひと』を読む、という方、ぜひ本屋さんで手にとってみてください。
そして、本の中に入っている「読者はがき」は、ミシマ社一同、とてもありがたく読んでいます。そして著者の方にも、いただいた言葉をお届けしています。なにか思ったことがあれば、ご感想をお寄せください。お待ちしております。
(文責 ミシマ社編集チーム ノザキ)