第27回
はんぷく
2020.11.08更新
「トーキョーでキョートみつけた」は、東京で京都に通ずるものを見つけることだったんだっけ・・・あたり前かもしれないが、書きはじめたとき、何を見つけるのかはわからなかった。いい着地をしてみせたいと思いつつ、したくない気もある。また、できる筆力を持ちあわせていないとも言える。
予想外に今年の大部分を、東京から離れ京都で過ごすことになった。電車に乗ることが減り、毎日一度は自転車に乗っている。いやがおうでも京都で暮らしていた過去の自分が思い出される。朝や夕方、自転車で鴨川沿いの道を走ることが好きだった。夜、橋を渡るとき、街灯を映し光る川面や、柳の上空の月に目を奪われる。高校の通学、大学の通学で自転車に乗っていたわたしが、今のわたしと併走している。わたしは変わっているはずだ。でも変わらず生じる好きな気持ちは、一体なんなのだろうか?
ギターの練習から派生して、歌を作った。
「やなぎ」
瞳の奥に姿が揺れる
かかる前髪を分けて
鼻先に戸惑う
指の腹 触れるものは
冷たくてかたいボタンのよう
それもいつか外れてしまえ
叶うわけない 愚かだな
瞳の奥で緑の揺れた
影のあとを追うばかり
抜けていく川風
「砂漠の月」
好きの手前には何があるの?
好きの向こうには何が待つの?
忘れるならば言葉を呑んで
月のかがやきは今夜だけなの
まるくまるく 砂漠の果てに
好きの手前には何があるの?
好きの向こうには何が待つの?
忘れるならば覚えたくない
月の満ち欠けは思い次第だ
編集部からのお知らせ
【YouTube Live 「ヨーロッパ企画の生配信」 @ヨーロッパ企画公式チャンネル】「ギターで曲をつくって木暮晋也さんに聴いてもらう夜」
早織さんが、今回の連載でも書かれている「砂漠の月」を演奏されています。(37分ごろ〜)
「ギターで曲をつくって木暮晋也さんに聴いてもらう夜」
ギタリスト・木暮晋也さんが再降臨。アコギをはじめたての面々が、曲を作ってきて指南をうけます。
出演:石田剛太 酒井善史 永野宗典 藤谷理子 ゲスト:木暮晋也(You Tube配信ページより)