明日の一冊

2026年1月

本を読めなくなった人のための読書論亜紀書房

本を読めなくなった人のための読書論

若松英輔

「本を読めなくなった」という状態をダメだと否定するのではなく、まず「内なる自分からのサイン」ととらえる。そこから己々が本とどう接していくかを考えていく作業が何とも心地よく感じられました。最近本を読めないな〜とモヤモヤしている方にオススメしたい一冊です。

(ミシマ社サポーター 正満良さん)

2026.01.14

涙の箱評論社

涙の箱

ハン・ガン

ハン・ガンさんの作品を読んでみたくて手に取った一冊。「純粋な涙」を探すという不思議な物語は、junaidaさんのイラストと静かに響き合い、まさに「大人の童話」と呼びたくなる世界でした。透き通った文章の美しさが心地よく、読み進めるほどに感情がやわらかくほどけていきます。涙を流すことは弱さではなく、心を整える行為なのかもしれない。そう思わせてくれる、静かな余韻の残る一冊でした。

(ミシマ社  西川和希)

2026.01.09

北京の台所、東京の台所ちくま文庫

北京の台所、東京の台所

ウー・ウェン

料理研究家ウー・ウェンさんが、ふるさと北京の食文化と生活の知恵と、大人になってからの東京での暮らしを、ふたつに架け橋をわたすように綴っています。私はこの本ではじめて、中国、とくに北京の台所や食卓を目に浮かべ、うっとりしながら楽しみました。慣れ親しんでいるはずの中華料理を一歩踏み込んで知ることで、その理屈がぐっと腑に落ちるのもおもしろいです。日中関係の緊張が連日報じられる今こそ、この本を強くおすすめします。

(ミシマ社 角智春)

2026.01.08

友がみな我よりえらく見える日は幻冬舎アウトロー文庫

友がみな我よりえらく見える日は

上原隆

事故で盲目になった人、ホームレス、離婚して独りで暮らす男性など、側から見ると不幸な境遇に置かれた人々の暮らしが淡々と丁寧に綴られてるノンフィクション。生活の細部に現れる、その人の生き様や矜持に心が震えました。とても静かで染み入る本で、映画『PERFECT DAYS』が好きな方にはぜひ本書も読んでほしいです。

(ミシマ社 山田真生)

2026.01.07

射手座大百科すみれ書房

射手座大百科

石井ゆかり+射手座研究会

あるある~と共感しながら読める射手座の教科書のような一冊。射手座の友人にプレゼントしました。石井ゆかりさんの12星座の本はたくさん出ていますが、イラストつきの大百科として刊行されたのは初めてだそうで、はやく自分の星座(乙女座)が出ないかな...と心待ちにしています。

ミシマ社 佐藤美月

2026.01.06

禁色新潮文庫

禁色

三島由紀夫

昨年は三島由紀夫生誕100年でした。『仮面の告白』のあとにこの本を読んだら、どちらも同性愛小説でした。読み通すのに1ヶ月ぐらいかかりましたが、三島の文章が読者フレンドリーなのでで文庫版で720ページにしては完読しやすいと思います。主人公は見た目で損をしたため青春時代を逃したコンプレックスがある老作家・檜俊輔と、誰しもが振り向くハンサム青年・南悠一の二人。彼らは作中ずっと他者を軽蔑するか、自分が他者に軽蔑されるのを恐れるかしています。軽妙で美的な相手役(男女問わず)たちがことごとく振り回されてとんでもなくひどい目に遭い、それでいて二人も喜びにひたるわけでもない。彼らが人間らしくもあり、まったく人間らしさがないとも思える、不思議なお話です。

ミシマ社 営業チーム 須賀紘也

2026.01.05

往復書簡「希望の回路」株式会社クラシコム

往復書簡「希望の回路」

青木耕平、中島洋一

「北欧、暮らしの道具店」の運営などで知られるクラシコム代表の青木耕平さんと編集者の中島洋一さんが、「希望」をテーマに深く思考する往復書簡集。「希望のつくり方を教えてください」と直球で訊ねる中島さんに、青木さんが答えていくその答えかたが衝撃的で、2-3ページ読んではもう一度読み直して...と咀嚼しながら読書した一冊です。高校登山部の頃、歩幅を小さく、できるだけ低い段差を見つけてこつこつ登って頂上目指していたときの、「歩きかた」を思い出しました。

ミシマ社 野崎敬乃

2026.01.04

おんぶにだっこ集英社

おんぶにだっこ

さくらももこ

「熟練し、洗練された魂で生きている人は本当にすばらしい」。この一文に惹かれて手に取りました。おなじみの爆笑やほのぼのはなく、幼年期(2歳頃の記憶もあってすごい)の出来事が淡々と綴られたエッセイ集です。善悪の判断、生と死、人を傷つけると自分も苦しくなること。私自身の思い出もよみがえり、思いがけず自分の根っこを見つめなおす読書になりました。

ミシマ社 長谷川実央

2026.01.03

一本草 花が教える生きる力徳間書店

一本草 花が教える生きる力

珠寳

著者の肩書、花士(はなのふ)は、「草木花に仕える者」「自然の運行に従う者」という意味を込めた造語なのだそうです。そして花にかかわる行為、呼吸の仕方から道具の扱いにいたるまで、すなわち日常生活のすべてを「花をする」と呼ぶ。本書では、その「花をする」にまつわるエピソードが端正な文体で綴られていて、読んでいるだけで気持ちが整います。お正月におすすめの一冊です。

ミシマ社 編集チーム 星野友里

2026.01.02

ページトップへ