2023年3月
河出文庫
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『女二人のニューギニア 』
1968年(昭和43年)、36歳の有吉佐和子は同級生の文化人類学者 畑中幸子に誘われ、パプアニューギニアの奥地を訪れる。近代文明は何もない暮しの日々、"こんなはずではなかったのだ"と言いつつも、人間観察をする作家の逞しさ。
(ミシマ社サポーター 佐々木僚子さん)
2023.03.27
青幻舎
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『ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ 』
写真家の福島さんの老人への思いがぎっしりつまっている。配達を始めた当初はシャッターをきれずにいた。少しずつ少しずつ心開かれ、お互いに気持ちを開いていくことで正面からレンズを向けられるようになっていく。彼らはちゃんと生きている!ということを伝えたい。
(ミシマ社サポーター 貝谷京子さん)
2023.03.20
早川書房
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『透明な膜を隔てながら 』
言語同士の間に立ちはだかるのは「言葉の壁」ではなく、普段は目に見えず、しかし決して越えることのできない「透明な膜」だ。そんな表現の巧みさに惹かれて手に取ったのが、この台湾出身の芥川賞作家・李琴峰さんのエッセイ集でした。在日外国人、セクシャルマイノリティなどの様々な生きづらさを抱えている彼女は、世の中の理不尽や悪意により、何度もどん底を経験します。そんなときに救ってくれたのは「知識と文学の力」だったと言います。泥臭く不格好に、でも誰よりもひたむきに生きることと向き合っている彼女の言葉が、ひとつひとつ重みを伴って心に響きます。
(ミシマ社 山田真生)
2023.03.15
文春文庫
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『霊長類ヒト科動物図鑑 』
「傘が嫌いなので、すこしぐらいの雨だと濡れて歩く」(「無敵艦隊」本文p.38)まさに向田邦子らしい。私が向田邦子のように自分を、人間を、日常をも見ることができたらと思うと、何をみてもワクワクしてしまう。彼女は私に「人間とはこんなものだ」「人間ってこんなに可笑しいんだ」と語る。まさに向田哲学とも言うべきものである。
彼女の言葉によってかたちづくられる人間は皆どこか愛おしい。いや、人間は皆愛おしい存在であるのだ。(ミシマ社デッチ 菊地彪)
2023.03.06
新潮社
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『母親になって後悔してる 』
おそろしく残酷なことを言っているのに、きっとこのことばで救われるひともいるんだろうと思います。親にはそう思っていてほしくない、と思う反面、それを赦すことでひとりの人間の率直な実感をはじめてちゃんとまもって、認めることになる。なかなか読み進められない本ですが、それくらい力とそれぞれの思いがあるテーマなんだと思います。
(ミシマ社 オオボリ)
2023.03.03
ミシマ社
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『ちゃぶ台10 特集:母語ボゴボゴ、土っ! 』
津村さんの「オブラートは永遠に」が好きです。日本語っておもしろいな、奥深いな、美しいなとあらためて感じました。ちなみに私はオブラート自体に接した回数は数回しかありません。
(ミシマ社サポーター 星野靖子)
2023.03.02