明日の一冊

2024年4月

韓国文学の中心にあるものイースト・プレス

韓国文学の中心にあるもの

斎藤真理子

翻訳家による韓国文学の案内書なのですが、作品紹介や批評をはるかに超えています。文学が根を張る土壌とは何か、人が生きる傍らに言葉がどのように存在し、生をそれでも先へとつないでいく力になるか、ということが、あらゆる具体的な記述や引用から滲み出て滴り落ちるように伝わってくる本です。
日本による植民地支配、朝鮮戦争、軍事独裁、経済危機といった暴力に歴史を通じて晒され、生きること、思うこと、考えることのままならなさを骨身に染みるほど経験してきた人びとが紡いできたからこそ、韓国文学は強靭な足腰と繊細な感覚を持っていて、本当の意味でおもしろく美しい言葉も花開くのだと思いました。
今そんな文学を読める立場にあることの幸せを噛みしめながら、そして、恥ずかしながらほとんど知らなかった隣国の歴史への責任を自問しながら、これからもこの本を何度も読み返し、新しい作品と出会い、借り物でない粘り強い言葉の海に身を浸したいと願っています。

ミシマ社 角智春

2024.04.23

指先から旅をする文藝春秋

指先から旅をする

藤田真央

あるテレビ番組でとっても楽しそうに鍵盤に指を走らせる若きピアニストを見ました。
自分が子どもの時、発表会で弾いたモーツァルトのソナタでした。「なんて優しい音なんだろう」この本は、ヨーロッパでたくさんの人を笑顔にしてくれた、彼のコンサートとリサイタルの記録です。

(ミシマ社サポーター Hamiさん)

2024.04.15

この世をば 藤原道長と平安王朝の時代朝日新聞出版

この世をば 藤原道長と平安王朝の時代

永井路子

大河ドラマのブームで源氏物語の関連本が本屋さんに多く並んでいますが、永井路子さんは史書をよく読んで物語を紡ぎ出しているということで、おかげで人物像と一層豊かに思い描くことが出来ました。

(ミシマ社サポーター 狭間さん)

2024.04.01

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