明日の一冊

2020年2月

阿・吽小学館

阿・吽

おかざき真里

空海と最澄が描かれている漫画です。空海の思想や人生に肉薄しているのを強く感じました。ただ人生を伝記的になぞるのでなく、「本当にふれたかったもの」に接近しようとする著者の岡崎さんの技術とセンスを伴った野心にドキドキします。作中、空海が瞑想に入る場面や、若き日に山野を駆け回る姿の絵を栄福寺に置けたらなぁ、なんて妄想もしています。『坊さん、ぼーっとする。』にも空海の生の言葉や密教経典の引用が登場しますよ。

『坊さん、ぼーっとする。』著者 白川密成さん

2020.02.21

本屋、はじめました 増補版 ─新刊書店Titleの冒険ちくま文庫

本屋、はじめました 増補版 ─新刊書店Titleの冒険

辻山良雄

今回、発刊記念のトークでお世話になる書店Title(タイトル)創業のお話。Titleのことは、信頼する複数の友人が熱く語っているのをみて以来、東京で一番行ってみたい本屋さんでした。まず少しだけ読むつもりが、読み始めて気がついたら数時間経っていました。面白いだけでなく「生活」というキーワード、「コンテンポラリー(同時代)」という問題意識等、『坊さん、ぼーっとする。』でも描いた僕の宗教観と照らし合わせて共感も強いです。

『坊さん、ぼーっとする。』著者 白川密成さん

2020.02.19

誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ毎日新聞出版

誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ

高橋源一郎

 新聞連載を楽しみに読んでいる「人生相談」の個人的にも待望の書籍化です。なぜかひとつひとつの相談を読み終えた時に、声を出して笑ってしまうことが多いのですが、そこに笑いの要素がなくても、髙橋さんが心の底から腹を決めて、相談者がどう感じようとも、自分の考えていることを、渾身の正直さで伝えようとしていることに感銘を受けるからだと思います。『坊さん、ぼーっとする。』を書く時にも、間接的に影響を受けていると思います。

『坊さん、ぼーっとする。』著者 白川密成さん

2020.02.17

校正者の日記栞社

校正者の日記

牟田都子

校正者の牟田さんの2019年、1年間の日記。先日ある人が、「仕事の技術は粘りから生まれる」と言うのを聞いて、思い浮かべたのが牟田さんでした。校正の方が入れてくださった提案の鉛筆は、本には印刷されません。でも、かけてくださった時間とエネルギーの痕跡は、観念的な意味ではなくて、物理的な体感として読者に伝わるということを、編集の仕事をするようになって痛感しています。牟田さんの恐ろしい仕事量と読書量への衝撃も大きかった一冊です。

ミシマ社 星野友里

2020.02.16

いっぴきちくま文庫

いっぴき

高橋久美子

昨年12月に「ちいさいミシマ社」から発売になった『今夜 凶暴だから わたし』の詩を書かれた高橋久美子さんのエッセイ集。バンドから脱退して「いっぴき」になった高橋さん。何をするのもしないのも、すべて自由。最初はその状況にとまどいながらも、ひとつひとつ自分で動き、考え、決めて、どんどんパワー全開になっていく過程が清々しくて、読み手にも力が湧いてきます。組織に所属していたとしても、心持ちは「いっぴき」でいたいと思った一冊でした。

ミシマ社 星野友里

2020.02.15

私の恋人新潮文庫

私の恋人

上田岳弘

平成の日本を生きる主人公には、10万年前のクロマニヨン人だったときの記憶と、大戦中に収容所で絶命したユダヤ人だったときの記憶がある。そしてどの人生でも、理想の女性を追い求めている。・・・なんだかすごく無理がある設定に思えるのに、気づけばすんなり物語の世界に没入し、人類の過去や未来といった壮大なものさしでものを考える主人公の視点に、同化している。あらすじを知らずに読み始めたので、あまりに予想外の世界に連れて行かれて唖然、そして爽快でした。

ミシマ社 星野友里

2020.02.14

南の島に雪が降るちくま文庫

南の島に雪が降る

加東 大介

戦地での話である。役者である著者は、兵士達に声をかけ、知恵を絞り手足を使い、演芸場を作り、芝居をした。明日死にゆく者をもたのしませることができるもの、それは芸なのだ。

(ミシマ社サポーター Hamiさん)

2020.02.05

習得への情熱―チェスから武術へ―みすず書房

習得への情熱―チェスから武術へ―

ジョッシュ・ウェイツキン

才能・努力・運・不運など、誰でも考えたことはあるでしょう。色々な指南に、科学として研究されてもいます。本書は、自分なりの方法を発見するために辿るべきプロセスならある。と言い学びへの開かれたアプローチを語ります。自ら次、次とその道のトップに辿りつきます。The Art of Learning・・・読んで実践するしかないでしょ。

(ミシマ社サポーター 下光博之さん)

2020.02.03

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