第8回
YouTubeライブを振り返る その3
2020.12.19更新
「一冊!Live」、アーカイブを振り返る完結編。
皆さんこんにちは。株式会社カランタのワタナベです。毎週月曜日の17時から約30分間、ゲストをお招きしたトーク番組をYouTubeで配信しています。その名も「一冊!Live」。今年の5月11日から始めて、直近の12月14日放送の第28回配信で、いったん年内の配信を終えました。
ということで、今回も、前々回と前回に続きまして、「YouTubeライブを振り返る」をお届けします。10月5日配信の第19回から、12月14日配信の第28回までを振り返ります。どうぞ!
【過去記事リンク】
連載第6回「YouTubeライブを振り返る」2020.10.24更新(第0回から第10回までをご紹介)
連載第7回「YouTubeライブを振り返る その2」2020.11.29更新(第11回から第19回までをご紹介)
ひとつ壁をとっぱらった状態で話ができる
配信19回目は、出版社「トゥーヴァージンズ」の住友千之さんをゲストにお招きしました。2015年設立の同社の営業部門をほぼひとりで担う住友さんに、社名の由来からグループ会社のこと、またカランタチームを書店員に見立て、本の営業トークもしていただきました。前職から書店現場を足で回ることを長く続けてきた、鍛えの入った営業・住友さんが繰り出す「優しいお人柄に満ち溢れた書籍紹介」は必見です。適当にやらず、目の前のことにちゃんと気持ちを向けて接する「住友スタイル」はYouTube越しにも届くのか、この配信を見た書店さんから後日、「トゥーヴァージンズさんの本を置きたい」という打診があったとか。まさに動画の32分ころに住友さんが「一冊!取引所」に参加して書店さんとの新たな関係が広がったことを話してくださったのですが、さらに嬉しいできごとになりました。私もかつて出版営業のはしくれとして尊敬してやまなかった営業・住友さんの神髄に今回改めて触れることができ、ワタナベ感無量です。
◆「一冊!Live vol.19 ゲスト:住友千之さん(トゥーヴァージンズ)」 2020/10/05
やりたいことがいっぱいありすぎて
節目となる配信第20回目は、ゲストに「一冊!取引所」開発パートナー社でもあるミシマ社の営業チーム・新居さんと池畑さんに満を持してご登場いただきました! 私ワタナベの古巣でもあるミシマ社。ふたりとも新卒でミシマ社に入ってくれて、そこから一緒に働いた戦友でもあります。現場を支えるお2人に、改めましての会社紹介と、営業の日々の話を伺いつつ、自然と内容は「一冊!取引所」の使い勝手や機能の要望などにまで広がっていきました。ミシマ社の営業は日々の活動量がとても多いので、話せば話すだけアイデアが湧いて出てくる感じです。なので今回の放送では、ふだんよりも代表・蓑原と技術担当・今氏の発言するターンが多く、会話は盛り上がり、司会者としては嬉しい展開に。「やりたいことがいっぱいありすぎて」というのは、今氏が途中ふとつぶやいたひとこと。いただいたご要望は開発案件として預からせていただき、順番をつけて目下実現すべく進めているところです。いただいた要望を力に変えて、もっと使いやすくなるようにしていきます!
◆「一冊!Live vol.20 ゲスト:ミシマ社営業チーム(新居さん 池畑さん)」 2020/10/12
本を売ることがきっかけで地域運営の担い手に
第21回の配信は、ひさしぶりに書店さんがゲストです。「ふやふや堂」店主・齋藤直己さんにお話を伺いました。齋藤さんは、群馬県桐生市で地図製作のお仕事をしながら、事務所の一角に書店スペースを設け、営業日を決めて書籍販売をしています。それを始めた経緯から、本の仕入れのこと、お店の日常などを伺いました。さらに齋藤さんは、今年3月から、徒歩2分のカイバテラスという場所に姉妹店「百ー百ー堂(どーどーどう)」を立ち上げ、運営なさっています。ある意味「好き」の延長で身の丈にあった量の本を売ることから本屋を始めた齋藤さんが、「お店」ということで地域の商店組合に誘われ、気づけばそこから地域運営の担い手になってしまったというお話はとても興味深かったです。いま「一冊!取引所」の開発をしているエンジニアさんが桐生在住ということで、今氏の会社が桐生にオフィスを立ち上げる準備があり、ふやふや堂さんとはリアルな地域のご縁も広がっていきそうな予感に満ちた回となりました。
◆「一冊!Live vol.21 ゲスト:齋藤直己さん(ふやふや堂店主)」 2020/10/19
「クリスマスに贈りたい絵本」を3分プレゼン!
第22回は、ゲストに出版社4社をお招きして、「クリスマスに贈りたい絵本」をご紹介いただく企画。お越しくださったのは、小さい書房の安永則子さん、現代企画室の江口奈緒さん、アノニマ・スタジオの安西純さん、ミシマ社の池畑索季さんです。皆さま過去に単独でゲスト出演いただいたことがあり、その点では冒頭、リラックスムードでしたが、今回は、「3分間で絵本をプレゼンテーションする」というミッションがあるため時間を追うごとに緊張感の漂う展開に。ですが、終わってみれば、どの絵本も「読んでみたい!」というもので、さすがのプレゼンに一同唸りました。どんな絵本が紹介されたかは、ぜひ本編をご覧いただきたいです。また、「一冊!取引所」のサイト内で、「リードリスト機能」を使い4冊の絵本を「合同注文書」の形にまとめつつ、記事化もしてみました。「YouTubeを確認する時間がない!」という方は、こちらをどうぞ。
◆「一冊!Live vol.22 クリスマスに贈りたい絵本 ゲスト:小さい書房さん、アノニマ・スタジオさん、現代企画室さん、ミシマ社さん」 2020/10/19
三浦半島の南端、「本と屯」に行ってみたくなる
第23回のゲストは、アタシ社のミネシンゴさんをゲストにお招きしました。神奈川県三浦市、マグロが有名な海の街、三崎の商店街に「本と屯」という蔵書室を構え、夫婦で本編む出版社を営んでいます。「アタシ社のことを知らない方はもちろんのこと、高校生や大学生くらいの年代の若者にミネさんのことを知ってほしいなあ」という思いがあり、ご出演をお願いしました。というのも、ミネさんご夫婦の活動というのが、単に「出版」というふうな(本を作っている)だけではない領域にまで広がりがあり、ですが、それは明らかに三崎唯一の出版社であるアタシ社だからこその唯一無二なことで。ええ。言葉が足らずうまく伝えられないのですが、私は、ミネさんのお仕事に触れるにつけ、いい意味で自分自身の仕事観が揺さぶられるのです。気になった方は、ぜひ本編を御視聴いただきたいです。そしてアタシ社の本は、熱量高いのでオススメです。
◆「一冊!Live vol.23 ゲスト:ミネシンゴさん(アタシ社)」2020/11/02
街の景色のなかに本屋があること
配信第24回は、熊本県天草市からゲストにお2方をお招きしました。「本屋と活版印刷所」の永田有実さん、「本屋と活版印刷所の屋根裏」の森本千佳さんです。ミシマ社の本が好きで本屋をやりたい永田さんと、活版印刷をしている長島さん、それを応援したい森本さんご夫婦が出会ったきっかけから、お店をやろうと決めた経緯、そして商店街の一角に物件を見つけて、開業準備のあれこれも、いろいろ伺いました。実際に本屋をやってみて、見えた景色、変わった景色。本屋が街の景色を作るということ。ワタナベ個人的には、ここ数年来「読者」として交流させていただいていたおふたりが「本屋」になったということが、とてもとても嬉しく、感慨深く・・・。「一冊!取引所」を活用して、取り扱い出版社も増えており、画面越しに「一冊!取引所」コーナーがあるのを目にして、わたしは司会をしながら、押し寄せる感動の波をおさえるのに必死でした。やりたいことがあるのなら、やったらいい。また天草にお伺いします。絶対行きます!
◆「一冊!Live vol.24 ゲスト:永田有実さん、森本千佳さん(本屋と活版印刷所、本屋と活版印刷所の屋根裏)」2020/11/09
自分が心から好きな本を「住み開き」で売る
配信第25回は、「しかのいえ本の茶屋」の鹿野青介さんをゲストにお招きしました。鹿野さんは、出版社で30年以上勤めあげたのち、東京都北区上十条の自宅をベースとしてコミュニティスペース「暮らすLaboratory しかのいえ」を昨年6月に立ち上げ、その一環で今年の7月から本の販売も始められました。家を開放するという「住み開き」というスタイル。さて、「住み開き本屋さん」をやるということは、いったいどういうことなのか? 鹿野さんは、本の在庫数や仕入れ額、どんな本が売れたのかなど、まさにこの間、ラボラトリーで得たご自身の経験を隠すことなくお話しくださいました。私がこの「一冊!取引所」に専属でかかわるようになって実感しつつあったこと、それは「読者」と「売る人」の敷居がボーダーレスになりつつあるのではないか? ということなのですが、鹿野さんも同様の感覚をお持ちで、また鹿野さんご自身が実践者であり、その生の声を伺うことができ、とても貴重な機会となりました。鹿野さんとは、まだまだ話し足りないので、「しかのいえ」行かねば。
◆「一冊!Live vol.25 ゲスト:鹿野青介さん(しかのいえ本の茶屋)」2020/11/16
NEVER TIRE OF THE ROAD
配信第26回は、ゲストに山口県岩国市のヒマール・辻川純子をゲストにお招きしました。ヒマールさんは2012年よりご夫婦でショップを営みながら、2019年からは出版業も始められるという、ひとことでは伝えきれない多面的な魅力を持った存在です。この「一冊!取引所」には、「書店」ユーザーとしても、「出版社」ユーザーとしてもご参加してくださいました。わたくし、ミシマ社営業時代から本の販売やイベント開催などでやり取りを重ねさせていただきましたが、そのご縁が今も続いていて大変に有難いです。ヒマールさんは自分のなかの文化的な世界を拡げてくれるような存在というか。版元としての1冊目『NEVER TIRE OF THE ROAD 旅に倦むことなし アンディ・アーヴァインうたの世界』を出そうと決めた経緯もすごくて。決してひとことでは伝えきれないヒマールさんのエネルギッシュな魅力が画面越しに伝わるといいな。ぜひご覧いただきたいです。
◆「一冊!Live vol.26 ゲスト:辻川純子さん(ヒマール)」2020/11/30
屋久島発・所有したくなる雑誌づくり
配信第27回は、世界自然遺産の屋久島で出版社「キルティ」を営む、国本真治さんをゲストにお招きしました。キルティさんは、「サウンターマガジン」という雑誌を年2回刊行しており、その3号目『SAUNTER Magazine Vol.3』が11月に刊行したばかりです。その雑誌づくりや内容については後半で伺いつつ、前半は、国本さんが屋久島に行くきっかけやその後、「サウンターマガジン」を立ち上げる流れをお話しいただきました。家族との移住や出版の立ち上げなど、パワーが要ることを笑顔で軽やかに話す国本さんの雰囲気に引っ張られ、和やかに楽しくトークは進行したのですが、いま動画を改めて見て感じるのは、勝手な想像ですけど、国本さんはおそらく、あらゆる分岐点で自分の心に照らしながら「リスクを取る決断」を重ねてきたのだろうな、ということ。その観点からいうと、動画の5分50秒ごろに「さすがにちょっとなかなか限界、うまく、だましだましやるのも限界がきて」と仰っていたことが印象に残ります。つまり、どこに素直になるか。そんな国本さんがリスクを取り妥協なく作った「サウンターマガジン」をご紹介できて嬉しい。来年刊行予定の書籍も今から楽しみです。
◆「一冊!Live vol.27 ゲスト:国本真治さん(キルティ)」2020/12/07
vol.28 ゲスト:左右社 営業部さん
配信第28回は、ゲストに左右社営業部のお2人、青柳さんと中村さんにお越しいただきました。初の趣向で、おふたりとも亀と狼の「パペット」を手にご出演。「一冊!Live」史上最高にほっこりする画面に場は盛り上がりました。冒頭、ロゴマークが亀である理由を伺うと、「飼っているから」というシンプルな回答で思わずのけぞりそうになりつつ、「左右社」という社名の由来は、書家の石川九楊先生の命名とのことで、興味深かったです。詳しくは本編をぜひ御視聴いただきたいのですが、左と右を合わせると「尋」そして「友」という漢字が生まれ、そこから「友とともにあり、つねに人間と社会の本意を尋ね求める出版活動を願って」命名されたとのこと。また、スタッフ全員が企画も編集も営業もやるとのことで、デザイン的にも優れた感覚がある左右社さんの本づくり。そこに共通して感じていた「ジャンルを超えた親しみやすさ」の理由が分かった気がします。書影画像だけではわからなかった本の特徴も知れて。あー。やっぱり坂口恭平さんの『Pastel』は買おう。読書欲がそそられます。
◆「一冊!Live vol.28 ゲスト:左右社 営業部さん」2020/12/14
年内の配信はこれにて一旦終了。皆さまよいお年を!
以上、3回連続で「YouTubeライブを振り返る」をお送りしました。毎週カツカツで運営をしており、急なオファーにもかかわらずゲスト出演を快諾してくださった上記の皆さまには感謝しかありません。快くお引き受けくださったことで、どうにか続けることができました。また、御視聴いただいた皆さま、YouTubeに溢れる数多ある動画のなかからこの「一冊!Live」をクリックしてくだったことが大変有り難く、毎週の配信を続ける励みとなりました。ときどきいただく「観ましたよ!」という生の声にどれだけ力をいただいたか。本当にありがとうございます。
この場をお借りして、この間、ゲストに出演いただいた皆様、御視聴くださった皆様に御礼申し上げます。
今年の年末年始は、新型コロナウイルスで外出を控えることになりそうですから、もし、「一冊!Live」のアーカイブで気になる回があれば、ちょこっとでもご覧いただけると嬉しいです。そのワンクリックが、皆さまの「本との新たな出会い」の一助になったとしたら・・・。司会ワタナベ、祈るような気持ちでおります。
それでは皆さま、よいお年をお迎えください。現場からは以上です。