第10回
周南市の平井さん
2022.04.17更新
こんにちは。すっかり春の陽気ですね。今月は新学期や新年度を迎えた方も多いのではないでしょうか?ミシマ社サポーター制度も、この4月から2022年度がスタート。そして、サポーター制度を始めてちょうど10周年を迎えました。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。
そんな始まりの季節に、数年前とあるサポーターさんから「お店を始めます」とお便りをいただきました。まだお会いしたことがなく、お店のことも気になったので、今回このコーナーへのご登場をお願いしたのですが、いただいた文章を読んで驚きました。実はこれまでにも何度か近くでお会いしていたのです! 全国にいらっしゃる、ミシマ社サポーターさん。今日もどこかの街角で、すれ違っているかもしれません。
サポーターNo.431 平井多美子さん(山口県)
はじめまして。山口県周南市で百日紅(ヒャクジツコウ)という小さなカフェを、60年以上前に建てられた実家の離れを改装して、娘と2人でやっています。カフェのスタートは2019年の4月からですが、その前に2013年から、主に県内産の有機農産物を使った食品加工をスタートしました。
なぜ始めることになったのか。それは40代の10年間を市民活動支援センターで働いていた影響が大きいです。そこで私はそれまで出会ったことのない人たちに、たくさん出会うことができました。苦しんでいる人をほっとけなくて、沖縄から北海道、ときには海外のデモや集会にまで電動車椅子に乗って参加する、重度の障がいをもつ女性。いかにも強面で最初は威嚇されたけれど、親しくなるにつれて自分の生い立ちや日雇いの仕事のことなどを話してくれた男性。第二次世界大戦のとき家族で満州に移り住み、敗戦後命からがら帰ってきたことを話してくれたのは、私に環境保全型農業を教えてくれた師匠のような人。いろいろな方からお話を聞くたびに、私の中の勝手な思い込みがどんどん崩れていきました。同じときを生きる人たち、当たり前だけどそれぞれに全く違う人生があることに衝撃でした。センターでのたくさんの出会いは今でも宝物です。
その時期に知り合った環境保全型農業のグループは、変わり者の集団でした。でも一般の常識から行動も考え方もズレた人たちといると私は楽しくて居心地が良かった! どっぷりハマり米作りもやりましたが、やがて食・農・環境のことをもっと知って、考えて、行動していく仲間を増やすきっかけづくりがしたくなって、センターを辞めて起業することにしました。
初めは仲間の農家さんから生姜を買い、シロップを作りました。素人でしたので、県の農業技術者だった仲間からアドバイスをもらいました。それと上関原発の反対運動に参加しているご縁から、祝島ひじきを使ったお菓子などを製造し知り合いのお店に卸したり、イベント出店を続けました。
ミシマ社との出会い
そんな2015年のこと、周防大島で開催された島のマルシェに出店していたとき、ミシマ社の三島さんとその夜に講演をされる内田樹さんに初めてお会いしました。何かを買っていただいた記憶があります。そこからぐっとミシマ社への親しみを感じ、たぶんサポーターになったように思います。
ミシマ社を知ったのは『現代の超克』からでした。中島岳志先生に興味を持って集めた本のうちの一冊で、読み終わってすぐ娘にも薦めました。娘はそれから民藝関係の本を読んだり、日本民藝館にも行きました。
そんなふうにミシマ社の本から広がった世界はいろいろあります。
『となりのイスラム』もとても面白く、もっと話が聞きたい!! と娘と2人でミシマ社の京都オフィスで行われた内藤正典先生と中田孝先生のお話し会に参加しました(この時が初ミシマ社!)。最近は山口県にも実習生として海外の方がたくさん働きに来られています。その前に読めていてよかったなと思う一冊でした。
それまで自分が全く知らなかった作家さんやジャンルの本でも、次はどんな本かなと楽しみにできるのは、ミシマガやミシマ社通信でつくっている方々の人柄が垣間えるからかもしれません。出版社から本を見るようになったのも、ミシマ社を知ってからでした。
ご縁から始まった、ブックカフェ
その後、だんだん出店することに疲れてきたこともあり、加工場の空きスペースを改装してカフェを始めました。カフェを始めてしばらくしたとき、自由が丘のミシマ社でデッチ(編集部注:ミシマ社でお手伝いをしてくれている学生さん)をしていた女性がお客さまとして来てくれました。本棚にミシマ社の本が数冊置いてあったので不思議に思い、声をかけてくれました。ミシマ社サポーターだと話すと、彼女は隣町に住んでいて、お仕事しながら店舗を持たないイベント出店する本屋をしていると教えてくれました。嬉しいご縁だと思い、後日、カフェで月1のブックカフェをしないかと誘い、始めることになりました。
毎月3人でテーマを決め、それぞれのおすすめ本の紹介をしたり、彼女は新刊本を販売し、私たちはその日だけのスペシャルメニューのランチやデザートを出しています。コロナウィルスの影響でお休みのときもありましたが、少人数だけど本好きが集まる居心地の良い空間と時間になってきたかなと思う今日この頃です。
今後もカフェでの出会いを楽しみながら、できることを増やしていけたら幸せだなと思っています。
ちいさな加工場 百日紅
営業日時:木・金・土曜 / 10:00〜16:00
毎月第2水曜は山口市のわっか屋さんへ出店
毎月第3日曜はブックカフェ リブロ
住所:山口県周南市都町3-10
電話:090-6834-1802
フェイスブック:@hyakujitsukou.yamaguchi
インスタグラム:@hyakujitsukou
編集部からのお知らせ
2022年度のサポーターのご案内
ただいまミシマ社では、私たちの出版活動を応援してくださる「ミシマ社サポーター」を募集しています(詳細はこちら)。サポート期間中はミシマ社から毎月、ささやかな特典をお届けいたします(中身は月によって変わります)。
【サポーター期間:2022年4月1日~2023年3月31日】
*募集期間以降も受け付けておりますが、次年度の更新時期はみなさま2022年の4月となります。途中入会のサポーターさまには、その年の特典をさかのぼって、すべてお贈りいたします。
サポートの種類は3つあります。下記よりお選びください。
◎ミシマ社サポーター【サポーター費:30,000円+税】
いただいたサポーター費のうち約25,000円分をミシマ社の出版活動に、残りをサポーター制度の運営に使用いたします。
【ミシマ社からの贈り物】
* ミシマ社サポーター新聞(1カ月のミシマ社の活動を、メンバーが手書きで紹介する新聞)
* 紙版ミシマガジン(非売品の雑誌。年2回発行・・・の予定です!)
*生活者のための総合雑誌『ちゃぶ台』(年2回発刊)
* 特典本に関連するMSLive!(オンライン配信イベント)へのご招待
※特典の内容は変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。
◎ウルトラサポーター【サポーター費:100,000円+税】
いただいたサポーター費のうち約95,000円分をミシマ社の出版活動に、残りをサポーター制度の運営に使用いたします。
【ミシマ社からの贈り物】
上記のミシマ社サポーター特典と同じです。
◎ウルトラサポーター書籍つき【サポーター費:150,000円+税】
上記の特典に加えて、その年に刊行するミシマ社の新刊(「ちいさいミシマ社」刊も含む)をお送りいたします。いただいたサポーター費のうち約100,000円分をミシマ社の出版活動に、残りをサポーター制度の運営に使用いたします。
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