第69回
『菌の声を聴け』刊行記念特集 タルマーリーのクレイジーで豊かな新刊をご紹介!
2021.05.27更新
こんにちは、ミシマガ編集部です。明日はいよいよ、『菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案』の発売日です!
『菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案』渡邉格・麻里子(ミシマ社)
渡邉格さんの前作『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』刊行後の8年間の、タルマーリーの活動や思考の軌跡が凝縮した一冊です。
今回のキーワードの一つは「循環」。「菌が快適に発酵するには?」、そのことをクレイジーなまでに突き詰めて考え実践してきたタルマーリーが、野生の菌の声を聴きながら「地域内循環」の世界を築こうとする姿が描かれています。
タルマーリーの地域内循環図(イラスト:寄藤文平さん)
そんなタルマーリーの実践と提案に、「発酵」「移住」「ものづくり」「食の安全・フードロス」「街・地域づくり」「中小企業の経営・倒産」「商品の値段のあり方」、そして「地球環境」などなど、これからの世界を生きるヒントがつまっています!!
本日は、『菌の声を聴け』の刊行を記念し、本書の魅力をご紹介します!!
渡邉格さんから本書の刊行に寄せてコメントをいただきました!
「菌の声を聴け」は、考えるより先に行動してしまうクレイジーな私(渡邉格)の生き様を描いた物語です。
「腐る経済」でパン職人だった私ですが、今は鳥取県でビールを作っています。
私は美味しいビールを追求していません。それより、意味のあるビールを目指して作っています。それはなぜか・・・が、この本に書いてありますよ。
こんな時代だからこそ、「生き延びるための技とは何か・・・」興味のある皆さんにこの本が届きますように。
仕掛け屋ハセガワ制作・書籍紹介パネル、営業チームイチオシです! 書店で探してみてください!!
「はじめに」を公開します!
人間が生き延びるということは、他者を破壊するということなのだろうか? 他者を破壊せずに共存する方法はないのだろうか? この問いを探るために、自分の人生を振り返りながらこの本を書いた。
私(渡邉格)は鳥取県の山奥の智頭町で「タルマーリー」という店を経営し、パンとビールを作っている。パンやビールは菌による発酵でできる発酵食品だ。この発酵菌に魅せられて、ここ智頭町に辿り着いた。
智頭町に来てから私は、パン職人からビール職人へ転向した。
ビール作りでは麦芽とホップで麦汁を仕込んだあと、前回作ったビールの澱、つまり酵母を放りこむ。麦汁は一時間以上も煮沸をしたあとの、いわば死の海だ。ところが酵母がシュワッと広がり液体の中に拡散していくと、しばらくは何もなかったように静まり返るのだが、次の日にはその液体から泡が噴き出してくる。この様子を見ていると、地球内部からエネルギーが噴き出してくるような感じがして、地球の始まりもこうだったのかな、と遠い昔に思いを馳せる。
さて、こうして見えない微生物との対話が始まる。小さな微生物たちが、五〇〇リットルタンクに入った麦汁をビールに変化させると思うと、なかなか壮大な仕事だ。
菌を通じて見ると、生命とは不思議なものである。各自が好き勝手に生きているのに、全体はバランスよく調和する。結果としてアルコールという、人間にとって有益なものが生まれる。
一方で、人間社会ではさまざまなルール設定がされていて、みんなその範囲の中で生きている。お互いにとって不利益を被らないようにルールがあり、この社会は順調に発展してきたようにも見える。
が、今、私たちが直面している現実世界では、多様な動植物たちが人間の活動によって次々に滅びているし、これからも滅びていく未来が見える。
本書を書くにあたりあらためて記憶を辿っていくと、我ながら、恐ろしくクレイジーな人物像が浮かびあがった。しかし、やりたいことを愚直なまでに追求することは、一つひとつの行動を楽しみながら記憶していく作業だったと気づく。
大量生産・大量消費システムで「みんな同じがいい」という社会の雰囲気は、私にはとても息苦しくて、私の人生はこの雰囲気との闘いだった。そうして私は、ちょっと変なモノをつくる職人になった。
こんなクレイジーな人生はあんまり参考にならないかもしれないけれど、楽しみながら何かのヒントを共有してもらえたら幸いである。
POPもいい味!! こちらも書店で展開します!
タルマーリー式! パン・ビール職人と野生の菌たちが織りなす循環する世界展
『菌の声を聴け』発売と同時に、本書の魅力とタルマーリーさんの活動をおさめたパネル展を開催します。
その名も「タルマーリー式! パン・ビール職人と野生の菌たちが織りなす循環する世界展!」
本日は、その中の一部をご紹介します! 社内での評判、かなり好評です!
『タルマーリーのパンづくり』
『麹の採集』
『循環』
タルマーリー式! パン・ビール職人と野生の菌たちが織りなす循環する世界展
開催書店情報
〈関東〉
◆茨城県
・TSUTAYA ララガーデンつくば
◆東京都
・隣町珈琲
・胡桃堂書店
・マルジナリア書店
・ブックファースト 自由が丘店
◆神奈川県
・アカデミア 港北店
・アシーネ金沢八景店
・ブックファースト 青葉台店(ミニサイズでの展示)
・アカデミアくまざわ書店 橋本店
・くまざわ書店アピタテラス新綱島店
・紀伊國屋書店 横浜店
〈関西〉
◆京都府
・丸善 京都本店
〈中国〉
◆鳥取県
・本の学校 今井ブックセンター
◆広島県
・ウィー東城店
・啓文社 BOOKS PLUS 緑町
・廣文館 フレスタ三次店
・MARUZEN 広島店
〈九州〉
◆宮崎県
・未来屋書店 宮崎店
タルマーリーのクレイジーで豊かな選書フェア
先日、ミシマ社編集チームが「『菌の声を聴け』と合わせて読むのにオススメの本」の選書をお願いし、渡邉格さんに3冊の本を選んでいただきました。
(今週の「明日の一冊」コーナーでご紹介中です!)
この度、『菌の声を聴け』の刊行を記念して本書と、格さんとミシマ社からのオススメ書籍が並ぶ 「タルマーリーのクレイジーで豊かな選書フェア」を、4書店で開催します!
タルマーリーのクレイジーで豊かな選書フェア
開催書店情報
・青山ブックセンター 本店(東京都)
・本の学校 今井ブックセンター(鳥取県)
・啓文社 BOOKS PLUS 緑町(広島県)
・ジュンク堂書店 高松店(香川県)※6月初旬から開催予定
『菌の声を聴け』CMをつくりました!
みなさまはミシマ社動画制作プロジェクト、そしてミシマ社YouTubeチャンネルをご存知でしょうか?
「『菌の声を聴け』について紹介したい! しかしこの不思議なタイトルの本の魅力を、どうやって伝えるのがいいか・・・?」
ミシマ社営業チームはいろいろ考えたのち、「そうだ! CM動画を作ろう!!」と思い立ち、動画制作プロジェクト見習い・営業スガがCMを制作しました!
できばえ、いかがでしょうか?
ベストをつくしました! このCMを観て、そして『菌の声を聴け』を手にとっていただけたら嬉しいです!営業スガ談
今までも「ちゃぶ台」各誌で、「菌本位」のパンづくりの現場から、これからの社会や経済について提言してきたタルマーリーさん。(同時発刊の『ちゃぶ台7』には、インタビュー「お金を分解する」が掲載されています!)
『ちゃぶ台7 特集:ふれる、もれる、すくわれる』(ミシマ社)
思えば「菌本位」という言葉もクレイジー。そして今回のまえがき、ご覧になられましたか?
タルマーリーさんの「クレイジーさ」そのものを世の中に投げかける一冊、ぜひご一読ください!!
編集部からのお知らせ
明日開催!5/27(金)タルマーリー×平川克美「クレイジーで豊かな小商いのはなし」
『菌の声を聴け』の発売日に、その著者の渡邉格さん・麻里子さん(タルマーリー)と、『21世紀の楕円幻想論』『小商いのすすめ』でおなじみの平川克美さんの対談が、MSLive!で開催されます!
開催日時: 5月28日(金)19時~21時(休憩を5分はさみます)
※イベント翌日に、申込者全員にアーカイブ動画をお送りします。
出演: タルマーリー(渡邉格・麻里子) 平川克美
参加費:1,500円+税
2012年に『小商いのすすめ』が発刊されて以降、「小商い」は時代のキーワードとなりました。そこで平川さんが書かれたのは、事業の規模や起業のスタイルの話ではなく、人間が本当に必要としているものを、こつこつと作り、届け、支え合う「小商い」という生き方の話でした。
そんな「小商い」を、クレイジーとも言えるほどの試行錯誤を繰り返しながら実践し続けているのがタルマーリーです。本書には、鳥取県の智頭町を拠点に、野生の菌によるパンとビール作りをする二人が、菌の声を聴きながら、世の中で常識とされる製法を脱し、続けるほどに地域経済が循環し、自然とも共生できる道を見出すまでの道のりが綴られています。
一方で平川さんも、この10年ほどのあいだに、会社を縮小してついには畳み、喫茶店の店主となり、銭湯と自宅と喫茶店という半径500m圏での暮らしにたどり着かれています。
働き方、暮らし方を見直す人も多い昨今の状況のなか、いまあらためて、生き方としての「小商い」について語らっていただきます。
(ミシマ社の本屋さんショップ「クレイジーで豊かな小商いのはなし」紹介ページより)
本イベントは、大阪・天王寺にあるスタンダードブックストアさんに書籍の販売をご協力いただいております。店頭、およびオンラインストアにて、『菌の声を聴け』のサイン本をお求めいただけます。