2019年5月
もりのこと
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『ちいさないきものと日々のこと 』
お気に入りの作家さん達が製作した本です。すり減った気持ちも柔らかくしてくれる感じがするんです。大切なともだちに贈りたいと思う本です。
2019.05.31
中央公論新社
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『ドミトリーともきんす 』
高野文子が科学者を描いた本、というと乱暴になってしまうのですが、今も読んでほしい科学者たちの言葉、思いなどを高野文子という人はシンプルな線で、シンプルに描いています。それぞれの章の最後に加えられた解説や本の紹介も分かりやすい。
(ミシマ社サポーター 深澤香里さん)
2019.05.29
新潮文庫
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『満願 』
6つの短篇集です。全てゾッとします。冒頭の「夜警」で引き込まれました。
(ミシマ社サポーターさん)
2019.05.27
紀伊国屋書店
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『誰も知らないわたしたちのこと 』
妊娠29週で胎児に病気が見つかった。パートナーや家族はいい顔をしない。カトリック国イタリアでは中絶に厳しい制限があるため、主人公はたった一人、イギリスで処置を受ける。医師は「あなたの選択だ」というが、自由を手に入れたようにみえて本当は奪われていたのではないか。主人公の悲しみはどう変化していくのか。新型出生前診断が広がる今、目を背けてはならない現実が描かれる。
*『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明 著)好評6刷、話題沸騰中です!2019.05.24
ちくま新書
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『ゲノム編集の光と闇 人類の未来に何をもたらすか 』
2018年秋、中国の研究者が「ゲノム編集をした受精卵から双子の赤ちゃんを誕生させた」と発表した。遺伝子組換えよりはるかに簡単というゲノム編集とは何か。その技術の誕生から危惧される未来の思考実験まで、科学報道の第一線で活躍する著者が解説する。種を絶滅させる「遺伝子ドライブ」やネアンデルタール人の脳を再現した「ネアンデロイド」など、新奇な発想に引き込まれる。
*『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明 著)好評6刷、話題沸騰中です!2019.05.22
新曜社
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『まなざしの誕生 赤ちゃん学革命 新装版 』
『胎児のはなし』を書きながら何度も思い出したのが、三木成夫の『胎児の世界』とこの本だった。赤ちゃんは周囲の働きかけがないと何もできない未熟で受け身の存在ではなく、新生児のときから実に多くのことができる能動的な存在なのだ。著者曰く、「『心をもつ者』として扱われることによって、またそのことだけによって、心は発生し成長するのだ。」。胎児が泣いたり笑ったりする表情が見えるようになって、心の起源について、ますます謎が深まった。
1988年刊行、2006年新装版。
*『胎児のはなし』(最相葉月、増﨑英明 著)好評6刷、話題沸騰中です!2019.05.20
ミューレンブックス
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『てくてく青空登山 』
「登山」といっても、たとえば「品川富士」と呼ばれている東京の品川神社など、一見、山かな?と思うような「低山」がメイン。小さな楽しみを見つける天才、安西水丸さんの哲学を、随所に感じます。たとえば雨の日の登山は、合羽のフードに落ちる水の音が落ち着くから、いい。山頂での絶景は望めないけれど、「敗け惜しみ」と認めつつ「それゆえに出合う風景もある」。読んでいるうちから、すぐにでもふらっとどこかへお出かけしたくなる、この季節にぴったりの一冊です。
2019.05.17
亜紀書房
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『あげものブルース 』
序盤に「この謎、なんと30年後に解明されることとなるのです!!」というコマがあります。「あげものマンガで壮大だなー(笑)」と思ってたら、マジで、これは大河ドラマでした。さらに、ビートルズの通称「ホワイト・アルバム」がこの作品に大きく関係していると言ったら、みなさん、更に混乱するでしょう。説明不可のおもしろさ。そしてちょっと、感動。「とにかく読め、話はそれからだ」という気持ちです。装丁デザインがこれまた最高で、1ページ目から、やられます。
2019.05.15
平凡社
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『野見山暁治 人はどこまでいけるか 』
人生の先輩に話を聴く、平凡社さんの「語り下ろし自伝シリーズ」。画家・野見山暁治さんの巻で強く印象に残ったのは、戦地でのお話です。配属されたソ連国境近くの満州は、一面雪景色、雲と霧におおわれ、昼夜の区別もないような場所。ある日ふと地面に落ちていたみかんの皮の色に、野見山さんは涙します。「世の中には色があったんだ」。いま生きている、この世界の豊かさ、そして、戦争の悲惨さをひりひりと感じ、このページは何度も読んでしまいます。
2019.05.13
中央公論新社
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『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす 』
本書では日本と欧米の雇用の違いを「ジョブ型」と「メンバーシップ型」に区別してわかりやすく説明している。
日本の雇用は「メンバーシップ型」で、それは一度会社(組織)に入社すれば立場は安泰だが、業務選択の自由度が低いというものだ。
その逆が特定の職務に特化した「ジョブ型」で、こちらは欧米に多い。
世間では働き方改革が叫ばれているが、そもそもの労働雇用の形態が変化しなければ大きな改革も生まれないのではないかと考えさせられる1冊。2019.05.10
白水社
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『ぼくのともだち 』
人間関係での悩みはいつの時代も尽きないものだ。
ともだちがほしくてもなかなかできず苦しむ主人公の姿は、コミュニケーション能力が重視される現代にも共通する。
今ともだちがいなくてつらくかなしい思いをしている人にもぜひ読んでもらいたい1冊。
さらにかなしい気持ちになってしまうかもしれないけれど、遠い昔にこんな人もいたんだな、と少しぐらいは気が楽になるかもしれない。2019.05.08
白水社
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『ブルックリン 』
1950年代を舞台にアイルランドからニューヨークのブルックリンに移住した少女の青春物語。
自分は神奈川県出身なので上京した経験はないけれど、
この本を読むと見知らぬ土地で生活を始めた人の不安感や、それが徐々に解けていく感じがありありと伝わってくる。
描かれた時代設定や国は違っても、きっとそれは共感できるはず。
ちょうど4月が終わり人間関係も固まり始め、少しずつ新しい生活に慣れてきた人に読んでほしい1冊。2019.05.06
東京大学出版会
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『未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学 』
東大政治学の先生が、東京の女子校生たちと政治とは、民主主義とは、選挙とは、生きるとは、人と一緒にいることとは、といったことをともに考えていく一冊。混沌とする世界を若者と政治学者が考えていく。
(ミシマ社サポーター 上原隼さん)
2019.05.01