第174回
『謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?』発刊!!
2024.05.17更新
こんにちは。ミシマ社編集チームのホシノです。
本日5月17日(金)、『謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?』(若林理砂著)が発刊となります!
若林さんのこれまでの著書『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』と『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』は、いずれもミシマ社のロングセラー。満を持して発刊される3冊目の内容は・・・。
本の始まりは、この「みんなのミシマガジン」で連載されていた、「健康番長若林理砂先生のバッチコイ!」でした。この連載全体、その中でもとくに、「歩くと体がかゆくなります」という相談に回答している回のアクセス数が、長い期間にわたり、群を抜いて多いということが続いたのです。
そこから、もしかすると、「病院に行くほどではないけれど、ちょっと困っている症状」というのは、みんなが何かしら抱えていて、解決策を知りたいと思っているのかもしれない、というお話を若林さんとしました。そして、イベント「この症状、『気』のせいですか?」を開催。参加者から謎の症状を募集したこのイベントは大盛況となり、その内容と連載を合わせて、書籍にしましょう!ということが決まったのでした。
64の謎の症状、自分が当てはまる症状を読んで参考にしていただく、というのはもちろんですが、この本の楽しみ方は他にもあります。謎の症状とその解説、章の間のコラムを順に読み進めると、東洋医学の身体の捉え方が、具体例と理論を合わせて理解できるような構成になっているのです。
『謎の症状』目次
そして、本書の大きな特徴がもうひとつ。中国四千年の歴史に育まれてきたさまざまな医学古典が多数引用されて、それを元に、謎の症状が解明されていることです。若林さんの驚異的な知識量にまず圧倒されるのですが、何千年前の人も、同じ症状に悩んでいたのだなと思うと、それだけで少し、心が軽くなったりもします。
・・・ついつい語りすぎてしまいましたが、魅力満載の一冊、ぜひ、本屋さんでお求めいただけたら嬉しいです。
本日のミシマガでは、発刊を記念して「はじめに」を公開いたします。
『謎の症状』はじめに
「どうしてこうなるんだろ・・・?」と思うけれど、病院に行くほどのことではないし、行くとしても、いったいどの診療科で受診したらいいのか皆目見当もつかない・・・という体にまつわるお悩みをお持ちの皆さま。こんにちは、鍼灸師の若林理砂です。
東洋医学を専門とする、鍼灸師や漢方を知っている薬剤師、東洋医学外来の医師なら、そのお悩みに答えを持っているかもしれません。
本書では、ミシマ社のイベント「この症状、『気』のせいですか??」に寄せられた質問をベースに、さまざまな謎の症状を、東西医学を取り混ぜて解明していっています。
私たち鍼灸師が「謎の症状」に遭遇する確率は非常に高く、おそらく医師よりもかなりの高頻度だと思われます。理由の一つが、問診にかける時間の長さです。
東洋医学ではさまざまな訴えをこと細かに聞いて、それらを総合して治療方針を決めます。なぜなら、まったく関係がないように見える症状であっても、同じ根っこを持っていることが多々あるからです。ですので、小一時間かかる鍼灸の施術中にしゃべりながら問診を続けていることがあります。こうすることで、一見脈絡のない「謎の症状」が、パズルが解けていくようにピタッとはまっていきます。
「謎の症状」を解く鍵は、中国四千年の歴史が育んだ医学古典です。西洋医学はどんどん更新されていく医学ですが、東洋医学は過去の膨大な臨床の蓄積である医学古典を読み解き、その中に似たような症例はないかを探していくのです。
たとえば、「めまいがする、みぞおちがつかえる、口の中が苦く感じることがある」と一般の方が聞いたら、まったく脈絡を感じないでしょうが、我々は医学古典にある「口苦咽乾目眩」「脇下鞕滿」(口が苦く喉が渇きめまいがする。肋骨の下部が固く、つかえる感じがする)などの記載を覚えているので、「ああ、小柴胡湯を飲めば治るな」と瞬間的に判断できるのです。
また、「謎の症状」の中には、西洋医学的に解明されているものも少なくありません。それらに対しては、西洋医学的・東洋医学的な解答の両方を提示しています。これは、現代に生きる鍼灸師には必須のスキルです。「これはまずいぞ」という症状に遭遇した際に現代医学の医師と連携ができるよう、共通言語となる西洋医学の基礎を学んでいるからできることです。
本書は読み進むほど、謎が深い症状が登場するようになっています。体にまつわる「なんじゃこりゃ!?」に東洋医学がどんな答えを出していくか、楽しんでいただければ幸いです。
若林理砂
最後に、若林さんからのビデオメッセージをお届けします。